延期のメキシコ高速鉄道建設、再び中国企業が落札か=日本は発電所、深海油田開発が有望―駐メキシコ大使が記者会見

八牧浩行    2015年3月4日(水) 8時39分

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山田彰・駐メキシコ大使(写真左)は、メキシコ政府が高速鉄道プロジェクトを無期延期する方針を示したことについて、いずれ動き出し再び中国の企業グループが落札するとの見通しを明らかにした。

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2015年3月3日、山田彰・駐メキシコ大使は日本記者クラブで記者会見し、このほどメキシコ政府が高速鉄道プロジェクトを無期延期する方針を示したことについて、いずれ動き出し、再び中国の企業グループが落札するとの見通しを明らかにした。

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同事業は中国企業がいったん落札した後、メキシコ政府が「透明性を確保するため」として発注を突然取り消した経緯がある。この事業にはこの中国企業1社だけが応札。同大使によると、落札した中国企業コンソーシアムに参加しているメキシコ企業が、大統領夫人が建てた邸宅用資金を供与したとの疑惑が浮上したため、透明性を確保するため再入札することになった、という。その後、メキシコ財政の主要収入源である原油価格が下落したため、「無期延期」方針が打ち出された。

同大使は、「中国はこのプロジェクトに採算度外視の低い応札価格を提示、各国の他の競合会社はとても太刀打ちできない。日本の新幹線が受注するのは難しい」と指摘。いずれ再び動き出し、再入札でも「中国企業が落札すると見られている」と明かした。

中国外交部の洪磊副報道局長は3月2日の記者会見で「中国企業の合法的な権益を守ってほしい」と言明。メキシコ政府に要求する考えを示している。

問題となったのは、首都メキシコ市と同国中部のケレタロを結ぶ約210キロメートルの高速鉄道プロジェクト。中国の国有鉄道建設大手、中国鉄建が同事業を約44億ドル(約5200億円)で受注したと発表したが、メキシコのペニャニエト大統領が決定を取り消したとしている。

同大使は、日本企業にとって有望なインフラ開発分野として、技術的に優位でシェアの高い大型複合ガス火力発電所、再生可能エネルギー(風力、原子力)や天然ガスパイプライン、メキシコ湾深海油田開発、港湾整備、首都国際空港建設などを挙げた。(八牧浩行

■筆者プロフィール:八牧浩行

1971年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務取締役編集局長等を歴任。この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務めたほか、欧州、米国、アフリカ、中東、アジア諸国を取材。英国・サッチャー首相、中国・李鵬首相をはじめ多くの首脳と会見。東京都日中友好協会特任顧問。時事総合研究所客員研究員。著・共著に「中国危機ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外国為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。

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