米国は日中両国を重視、日本は中国との関係強化を図るべき=アジアインフラ投資銀行に日本も関与を―「重層的地域としてのアジア」著者

八牧浩行    2015年3月8日(日) 8時11分

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6日、「重層的地域としてのアジア―対立と共存の構図」 などの著者で、アジア政治に詳しい大庭三枝・東京理科大教授は日本記者クラブで「アジアにおける地域制度とその意義を考える」と題して講演。日本は日米同盟を基礎としつつ中国との関係強化を図るべきだと強調した。

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2015年3月6日、「重層的地域としてのアジア―対立と共存の構図」(有斐閣) などの著者で、アジア政治に詳しい大庭三枝・東京理科大教授は日本記者クラブで「アジアにおける地域制度とその意義を考える」と題して講演した。「米国は中国を経済的にも安全保障的にも無視できない相手とみなし、同盟国・日本に対すると同様に重視している」と指摘した上で、日本は日米同盟を基礎としつつ中国との関係強化を図るべきだと強調した。発言要旨は次の通り。

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中国はしたたかな外交を展開している。米国のリバランス(アジア重視)政策は、日本では「中国封じ込め」と受け止める向きが多いが、そうではない。米国は中国を経済的にも安全保障的にも無視できない相手とみなし、同盟国・日本に対すると同様に重視している。米国は中国に融和的であり、南シナ海への海洋進出の動きを非難する国々に同調していない。航行の自由確保などを要求するものの、言葉を選び外交的な手段で解決するよう求め、特定の国に肩入れしない。

中国脅威論は根強いが、19世紀型の植民地支配期や冷戦期のようなパワー・ポリティクス(権力政治)の時代にはならない。中国の台頭は止められず、日本にとって日米同盟を基礎としながらも、中国との関係強化が重要である。日中間で既に行われている防衛当局同士の交流などをさらに進め、武力紛争を防ぐ仕組み作りが不可欠だ。

中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)に、日本も関与すべきである。中国がアフリカなどで進めているような2国間のプロジェクト投資より、AIIBのような多国間の枠組みの方が適切だ。東南アジアや先進国を含め多くの国の参加が既に決まっている。 米国は警戒的ともいわれるが、そうではなく、はしごを外される懸念もある。ビジネスチャンスもあり、シミュレーションを実施して適切に対応する必要がある。

アジアではASEAN(東南アジア諸国連合)などさまざまな地域制度が重層的に設立されており、地域「構築」の試みが重要性を増している。各国は内部に対立を抱えつつも共同で安定と繁栄を実現させようと政策協調や協力を進めている。(八牧浩行

■筆者プロフィール:八牧浩行

1971年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務取締役編集局長等を歴任。この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務めたほか、欧州、米国、アフリカ、中東、アジア諸国を取材。英国・サッチャー首相、中国・李鵬首相をはじめ多くの首脳と会見。東京都日中友好協会特任顧問。時事総合研究所客員研究員。著・共著に「中国危機ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外国為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。

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