八牧浩行 2015年3月24日(火) 18時16分
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春の選抜高校野球大会が甲子園球場で開催され、32校が頂点を目指して戦っている。プロスポーツでもないのに5万人収容の甲子園球場が連日満員になるほどの盛況で、全国にテレビ中継され高い人気を誇る。 写真は同大会開催中の甲子園球場(3月22日)。
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春の風物詩、センバツ高校野球大会が甲子園球場で開催中だ。地域ごとに選抜された32校が頂点を目指して戦っている。この全国規模の野球大会が夏に初めて開かれたのは1915年というから、ちょうど100年。今でもプロスポーツでもないのに5万人収容の甲子園球場が連日満員になるほどの盛況で、全国にテレビ中継され高い人気を誇る。
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母校が甲子園に出場したので応援に行ったが、チケット売り場は朝早くから長蛇の列。春と夏の大会期間中、根っからの高校野球ファンが全国から押し寄せる。観客の一人は「球場の雰囲気は最高。一度来たらやみつきになった」と顔をほころばせた。
経済成長著しい中国では、サッカーやバスケットボールなどで限定的な大会はあるものの、このような伝統の国民的な大スポーツイベントは見当たらない。東京五輪(1964年)、札幌五輪(1972年)長野五輪(1998)なども、国民的な広がりのあるスポーツ大会があってこそ成功した、と言える。北京五輪(2008年)は国威発揚には役立っただろうが、その後、国民大衆にスポーツが浸透したとは言い難い。五輪時の巨大施設もほとんど活用されていないという。
中国のスポーツ大国としての次の目標はサッカー・ワールドカップの開催。中国チームの監督に欧州の有力指導者を招請しているが、草の根の国民スポーツを根付かせることが先決だろう。まずサッカーで1敗も許されないトーナメント方式の大規模高校大会を開催してはどうだろうか。日本の10倍に達する多くの高校から勝ち上がった大会はさぞや迫力があり人気を呼ぶ違いない。
わが母校・静岡高校は静岡中学時代の1926年夏、第12回大会で全国制覇しているが、この時の決勝の相手は大連商業(旧満州代表)。当時、日本の領土とされていた朝鮮、台湾、満州からも代表校が甲子園大会に出場していた。その5年後、1931年の第17回大会では、台湾代表の嘉義農林(現・嘉義大学)が、同じく準優勝に輝いた。昨年ヒットした台湾映画『KANO 1931海の向こうの甲子園』は、この快挙を達成した実話を基に描かれている。朝鮮地域からは平壌中学などが出場していた。
戦後、これらの学校が甲子園に出場することはないが、野球やサッカーの高校対抗大会を、日本、中国、韓国、台湾などが開催地持ち回りで開くのも一案かもしれない。国際理解を深める有意義な青少年交流の場になるのではないだろうか。(八牧浩行)
■筆者プロフィール:八牧浩行
1971年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務取締役編集局長等を歴任。この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務めたほか、欧州、米国、アフリカ、中東、アジア諸国を取材。英国・サッチャー首相、中国・李鵬首相をはじめ多くの首脳と会見。東京都日中友好協会特任顧問。時事総合研究所客員研究員。著・共著に「中国危機ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外国為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。
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