激しい攻防の末…一家団らんの幸せをもたらしてくれた日本製のテレビ―中国人学生

日本僑報社    2015年9月10日(木) 21時50分

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青島農業大学の蒋暁萌さんは、日本製の液晶テレビを購入したときのことについてつづっている。写真は中国のテレビ売り場。

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日本を訪れる中国人観光客の“爆買い”が話題になる一方、中国の一部の極端な人々は事あるごとに「日本製品ボイコット」を口にする。日本製品は中国人にどんな印象を与えているのか。青島農業大学の蒋暁萌さんは、日本製の液晶テレビを購入したときのことについて次のようにつづっている。

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私は父と電器屋さんに出かけた。「お父さん、これだよ。シャープの液晶テレビ」。テレビの前に立った父は店員に新しい機能について説明してもらい、そして何のためらいもなく“同時に2つの番組が楽しめる”そのテレビを注文した。これで、家のリモコン取り合い合戦がやっと終わった。

私は高校生になってからは、家族が団らんすることがだんだん少なくなった。そんなある日、せっかく家族がそろって一緒に夕飯を楽しもうとしたところで、合戦の幕が開いた。父は料理を食べながら、こっそりとリモコンを自分の近くへ動かした。そして、「今晩、いい試合あるぞ。ああ、ドキドキする」と何度も言った。母と私は聞こえないふりをしてニュース番組を見ていた。

夕飯の後、母と私が台所にいるうちに、父はリモコンを手に入れ、スポーツチャンネルに切り替えてしまった。その時、母が居間に戻り、こっそりと父に寄り添って座った。そして、しばらくするとチャンネルが突然替わった。びっくりした父はやっと母のところにリモコンがあるのを見つけ、目を丸くして母を見ながら、「大事なところなんだ。さっさとチャンネル替えろ!」と怒鳴った。「あなた、ずるいわよ。私が台所にいるうちにテレビを一人占めするなんて。今日のドラマ最終回だから、ちょっと見せてよ。お願い!」という母は歯ぎしりをするような顔で言った。

それからの数秒、父も母も動かなかったが、突然父が飛び立ち、母の手をつかみ、リモコンを奪った。しかし、父はチャンネルを替えようにも、替えられない。母が身体でテレビを遮ったからだ。父は一生懸命隙間を探し、剣士のようにリモコンを差し込む。母は腕を伸ばして腰をひねって、父の攻めを防ぐ。その画面がまるでタンゴでも踊ってるようで、娯楽番組よりも面白いと思った。しかし、自分の好きなアイドル歌手が出る番組が楽しみだった私は、2人が争っているうちにチャンネルを替えようとした。しかしその瞬間、テレビのディスプレイが黒くなった。結局、それぞれがぷんぷんと部屋に戻った。

その晩はいつもより寂しいと感じた。家族が一緒に楽しめるためにも、何かいい方法を考えるべきだ。古いテレビが壊れたから、新しいテレビを買わなければならない。そして、今日テレビが壊れたことはいいチャンスかもしれないと思った。私はたくさんの商品を調べて、あるテレビを見つけた。それは同時に2つの番組を見ることができるシャープ液晶テレビだった。それで父とデパートへ行って、1台注文。次の日、新しいテレビが家にやってきた。それからというもの、両親はまるでテレビに魔法をかけられたようにいつも早めに帰り、夕飯を食べながら一緒にテレビを見た。やっと一家団らんの幸せが始まったのだ。

「八百万の神」がいるという話を聞いたことがある。発明者の知恵と生産者の誠意によって作られたテレビにもきっと1つの神がいるだろう。その心をこめる製造技術と使用者のための創意工夫で生まれた神様のおかげで、私の家族が一緒に団らんして楽しめるようになったのだと思っている。(編集/北田

※本文は、第六回中国人の日本語作文コンクール受賞作品集「メイドインジャパンと中国人の生活」(段躍中編、日本僑報社、2010年)より、蒋暁萌さん(青島農業大学)の作品「テレビがくれた喜怒哀楽」を編集したものです。文中の表現は基本的に原文のまま記載しています。なお、作文は日本僑報社の許可を得て掲載しています。

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