<日本人の中国観光は復活するか>上海政府が日本人客呼び込みへ躍起―来春オープンの世界一の展望台ビルや上海ディズニーランドをアピール

八牧浩行    2015年9月29日(火) 13時24分

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日本を訪問する中国人観光客が急増、“爆買い”が話題になっているが、訪中日本人観光客は極端に低迷。日本人観光客を招致しようと中国政府や上海市が躍起になっている。写真は東京ビッグサイトで開催された「上海セミナー」。

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日本を訪問する中国人観光客が急増、“爆買い”が話題になっているが、訪中日本人観光客は極端に低迷。日本人観光客を招致しようと中国政府や上海市が躍起になっている。経済活性化のほか人的交流で日中関係の改善につなげたいとの思惑もあるようだ。

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8月の中国人訪日客は前年同月比133%増(約2.3倍)の59 万人に達し、月別で過去最高を更新した。中国景気低迷や上海株価急落などを受けて、中国人訪日客が減少するとの懸念もあったが、影響は全くなかった。今年通年では昨年(241万人)の2倍以上の500万人に達すると予測されている。

ところが中国への日本人観光客は極端に落ち込んでいる。中国を訪問した日本人は昨年1年間で、前年比5.6%減の271万人にとどまった。その大半がビジネス関係者とみられている。観光客の減少は円安・人民元高が大きな要因だが、日中関係の緊迫した政治状況や大都市の環境悪化も背景になっている。北京五輪や上海万博があった2000年代初めには多くの旅行プランが発売され、旅行代理店店頭に案内パンフレットがあふれたが、最近は目立たない。

こうした中、中国への日本人観光客を招致しようと、中国当局が躍起になっている。東京ビッグサイトで9月27日まで開かれた、世界最大級の旅のイベント「ツーリズムEXPOジャパン2015」では、大きなブースを設置。パンダの縫いぐるみが愛嬌をふりまきながら、中国各地の世界遺産や伝統民芸品を紹介していた。

このイベントに合わせ東京ビッグサイト会場で、「上海セミナー」が開かれ、日中の観光に携わる官民関係者ら約50人が参加。上海市旅遊局の程梅紅・副局長らが「上海には観光資源が多くある。サービスの向上に努めているので、安心して中国においで下さい」とアピールした。中国から来たスタッフによると、観光プロモーション、観光展示会などの開催やコンベンション誘致など様々な文化交流事業を展開中という。

上海・浦東地区に建設中の「上海タワー」は高さが世界2位の632メートル。126階の展望台は583メートルに位置し、展望台として世界一の高さとなる。さらに、中国本土で初の上海ディズニーランドが浦東国際空港近くに来年春オープン。計画では東京ディズニーリゾートの2倍の規模で、目玉の「シンデレラ城」は高さ60メートルと世界中で最も高くなる。九州など西日本からの日本人観光客の集客を狙っているという。

日本人観光客の誘致は、中国各地でも熱を帯びる。北京市旅遊発展委員会の任江浩処長は「文化と歴史を融合させ観光の目玉にしたい。北京では春は花見、夏は郊外での避地、秋は収穫と体力増進、冬は春節祭りなど四季折々に楽しめる。日中の観光客が相互にもっと行き来するようになれば、日中はさらにウインウインの関係を築くことができる」と語っている。

中国経済は減速傾向にあるが、農村地域の都市化が進行、中産階級は4億人以上に拡大している。チャンスとリスクが混在するものの14億人の世界最大の消費市場は不変だ。中国人の訪日だけでなく日本人の観光客ももっと訪中し交流すれば、日中関係はさらに深化し共存共栄の道を歩むことができるだろう。(八牧浩行

■筆者プロフィール:八牧浩行

1971年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務取締役編集局長等を歴任。この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務めたほか、欧州、米国、アフリカ、中東、アジア諸国を取材。英国・サッチャー首相、中国・李鵬首相をはじめ多くの首脳と会見。東京都日中友好協会特任顧問。時事総合研究所客員研究員。著・共著に「中国危機ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外国為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。

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