もう使わなくなった日本製の洗濯機を、両親が捨てようとしない理由―中国人学生

日本僑報社    2015年11月12日(木) 10時38分

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改革開放を機に日本企業の対中進出が始まり、日本製品が中国庶民の生活を支えるようになっていった。山東大学の孫穎さんは、今なお自宅にあるというシャープ製の洗濯機と一家の思い出について作文につづった。資料写真。

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日本が中国に行ってきた援助の代表的なものに、改革開放政策の際の全面的な支援がある。同時に、日本企業の対中進出が始まり、日本製品が中国庶民の生活を支えるようになっていった。山東大学の孫穎さんは、今なお自宅にあるというシャープ製の洗濯機と一家の思い出について次のように作文につづった。

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うちにはとっておきの洗濯機がある。親の話によると、この洗濯機は結婚祝いとして祖父母からもらったそうだ。私が気になったのはその洗濯機のブランドだ。ふたの上にシャープというロゴがはっきり付いている。シャープが日本製品ということは、中学生になって初めて知った。30年も前に日本製の電器がはやっていたことにびっくりした。

30年前は大切にされた贅沢なものだけど、大きくて、洗濯とタンブル乾燥は別々で、洗濯に適する衣服もかなり限れている。だから、この洗濯機はあまり使われなくなっていった。最近、うちは新しいアパートを買った。引っ越した時、この洗濯機の存在に気付いた。「どうして捨てないの?」と母に聞いてみたが、母はしばらく黙って、「過去を思い起こすものだから。ずいぶんお金かかったよ」とだけ言った。

中国が改革開放を実行したばかりのころ、国民の生活水準はそんなに豊かではなかった。では、その高価で宝物のように扱われた洗濯機を買ったのはなぜなのか?「当時、中国製の家電はほとんどなかった」と父は教えてくれた。「しかも、買ってから機械の調子もずっといい。日常生活にどれほど便利をもたらしたか。うちがだんだん豊かになるのもずっと見守っていたやつだから、功臣みたいな感じで。だから、なかなか捨てる気になれないんだ」と言った。そうなんだ。母の言葉が、今ようやく分かった。

うちにはシャープのほかに、もっと多くの日本製品が日常生活に登場した。ソニーのプレーヤーとか、松下電器とか、キヤノンのデジタルカメラとか、どこでも日本製の影を見つけられる。これらの日本製品は私たちの生活を豊かにさせるのに大切な一役を買った。そういった日系企業の中国市場への大胆な進出ぶりに、私は心から拍手を送った。彼らの功績を抜きにしたら、中国の改革開放はだいぶ空しくなっていただろう。

このシャープの洗濯機は今でもうちに置いてある。私から見れば、これは過去を思い出したり、記憶を大切にすることより、なんとなく一種のありがたい気持ちも含まれている。これからもうちの変化を見守ってゆくであろうこの洗濯機のように、日系企業も将来、中国の発展と深くかかわっていくに違いない。(編集/北田

※本文は、第五回中国人の日本語作文コンクール受賞作品集「中国への日本人の貢献」(段躍中編、日本僑報社、2009年)より、孫穎さん(山東大学)の作品「とっておきの洗濯機」を編集したものです。文中の表現は基本的に原文のまま記載しています。なお、作文は日本僑報社の許可を得て掲載しています。

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