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「当時の中国人では考えられないことだった」=祖母が見た日本人―中国人学生

日本僑報社    2015年12月3日(木) 22時40分

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大連東軟情報学院の楊天鷺さんは、自身の父親と祖母の言葉、そして周恩来氏の詩を日中関係に重ね合わせている。写真は京都・嵐山の周恩来首相記念詩碑。

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日中友好のシンボルとも言える石碑が、京都の亀山公園にある。これは、中国の周恩来氏が京都留学中に作ったと言われる詩「雨中嵐山」を刻んだもので、中国人観光客の来訪者も多い。大連東軟情報学院の楊天鷺さんは、自身の父親と祖母の言葉、そして周恩来氏の詩を日中関係に重ね合わせている。

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かつての中国人の多くが、日本という国に対してネガティブな、マイナスの気持ちを持っていたのは事実だと思います。70年前には戦っていたわけですから、お互いを敵視する気持ちは当然です。戦争の被害を受けた人たちが、相手国の国民を憎むのも当たり前だと思います。私が幼稚園の頃も、テレビでは必ずいくつかのチャンネルが「抗日」をテーマにした番組を放送していました。その中の中国人ヒーロー・ヒロインは、みんなかっこいい善人ばかりでした。逆に日本人は必ずと言っていいほど、ずるくて怖くて乱暴で、そして……ちょっと申し上げにくいですが、変態おっさんのような感じを子供なりに感じていました。

そんな子供時代のある時、私は父にこんなことを聞きました。「パパ、あの日本人たちは、悪人なの?」。父はこう返事をしました。「生まれながらの悪人はどこの国にもいないよ。だから、誰に対しても悪人と決めつけて指を差すのは、賢い子のすることじゃないよ」。私はそれから、ピストルで日本人を撃つまねはしないようにしました。

また、私が中学生の時、「ねえ婆ちゃん、昔の話を聞かせて。日本人に会ったことがある?」と祖母に聞いたことがあります。祖母は「ええ、あなたよりもっと小さい時にね」と笑って答えました。南昌にあった祖母の住宅には、2階は祖母の家族、3階は日本人夫婦が住んでいたそうです。そのころ10歳ぐらいだった祖母は、時々上に上って、その日本人の奥さんと身振り手振りで話をし、遊んでもらうことがよくあったそうです。奥さんが妊娠した時はご主人が傍に付き添って、時々祖母にお湯を持ってくるよう頼んで、とても礼儀正しかったそうです。私は「日本人が怖くなかったの?」と聞くと、祖母は首を振って「全然怖くなかったわ。お湯を汲んで来た小学生の私に感謝を示してくれたのはその日本人だけ。あの頃の中国の大人では考えられないことだったのよ」と答えてくれたのを今でも覚えています。

最近は、戦争を知らない世代が多くなりました。日中国交回復から40年を経て、相互交流が当たり前の世の中になりました。当時の周恩来首相は、戦争は日本の一部軍国主義者の責任で、日本国民は被害者だったと中国国民に話したことを何度も読んだことがあります。これを読んで、私は父の話と祖母の言葉を噛みしめています。父は、相手を悪人と思ってはいけないと教えてくれました。祖母は、中国人より礼儀正しい日本人もいることを忘れてはいませんと言いました。目の前の相手がいい人だと信じる「心」があれば、言葉ができなくても必ず通じ合えると思います。

京都の嵐山には、桜のある景色を描写した故・周恩来元首相の詩碑があります。ピンクの桜と、緑の松は霧雨の中に煙っています。しかし、しばらくすると、雲間から太陽の光が差し始めたという内容です。あれは、中国と日本の関係に似ていると思います。将来、両国の間に、雲が消え、霧が晴れるような関係を築くのは、学生としての私たちの責任だと思います。皆さんも、これから生まれる中国人も、以前のような印象を持たない、与えないように、社会全体でこれからを考えて行くようにしたいものです。(編集/北田

※本文は、第八回中国人の日本語作文コンクール受賞作品集「中国人がいつも大声で喋るのはなんでなのか?」(段躍中編、日本僑報社、2012年)より、楊天鷺さん(大連東軟情報学院)の作品「日中両国民の信頼感はこのように高めましょう」を編集したものです。文中の表現は基本的に原文のまま記載しています。なお、作文は日本僑報社の許可を得て掲載しています。

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