中国・中央経済工作会議が開幕、GDP成長率6.5%を軸に討議=国内政治基盤の強化に力点―16年の政策目標 

八牧浩行    2015年12月19日(土) 10時10分

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中国経済政策の運営方針を指導部が話し合う「中央経済工作会議」が、北京で開幕。会議で打ち出される来年の政策目標が注目されている。2016年の実質国内総生産(GDP)成長率は、6.5%を軸に議論される見通し。写真は人民大会堂。

2015年12月18日、中国経済政策の運営方針を指導部が話し合う「中央経済工作会議」が、北京で開幕。会議で打ち出される来年の政策目標が注目されている。2016年の実質国内総生産(GDP)成長率は、6.5%を軸に議論される見通し。15年の成長率見込みの6.9%からさらに減速する。

関係筋によると、今年の同会議の焦点は、経済政策よりも国内政治基盤の強化、汚職・腐敗の追放、人民解放軍の近代化などに充てられる見通しだ。主なポイントは次の通り。

(1)高速成長から安定成長への転換に向けた構造改革が中心議題となるが、規制緩和や税負担の緩和は大胆に推進されないだろう。

(2)GDP成長率目標については6.5%を軸に議論される。

(3)人民銀行と財務省は今年以上に積極的な金融・財政政策を展開するが、金融緩和の継続、準備率の引き下げなどが主軸となる。

(4) 国有企業改革で大きな前進は期待はできない。業務の改善、効率化が推進されるが、民営化や行き詰った国有企業の破たん処理などの抜本策には踏み込まないだろう。大型国営企業同士の合併を推進しているが、「破たんさせるには大き過ぎる」企業を創りだすだけで、過剰設備、過剰在庫の問題は解決しないのではないか。

(5)会議の大きなテーマは「都市化」であり、政府は2000万人の違法な移住労働者に対して、現在雇用されている場所での居住許可を与えると、発表した。これらの労働者に対して、教育、医療、などの社会サービスを供与するという新たな政策の裏付けが求められる。

(6)深刻な国家問題となっている環境対策に積極的に取り組む姿勢をアピールするだろう。

(7)指導部は経済改革路線が順調に進行していると強調し、国内政治基盤の整備が先決と主張。人民解放軍に関し、20年来で最も重要な構造改革と近代化が進められている。綱紀粛正、汚職追放が経済界のリーダーにも及んでいる。

中国では、国内の景気減速が鮮明となる中、割安な人件費やインフラ投資に頼った従来の経済構造のままでは限界に直面するのは必至。大気や水の汚染も深刻になっており、このままでは国民の不満が高まり、体制を脅かしかねない。政府は2016年から始まる「第13次5カ年計画」で産業の高度化と環境対策に全力を投入する構えだが、難局を乗り切ることができるか。(八牧浩行

■筆者プロフィール:八牧浩行

1971年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務取締役編集局長等を歴任。この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務めたほか、欧州、米国、アフリカ、中東、アジア諸国を取材。英国・サッチャー首相、中国・李鵬首相をはじめ多くの首脳と会見。東京都日中友好協会特任顧問。時事総合研究所客員研究員。著・共著に「中国危機ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外国為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。

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