中国の7〜9月成長率、6.7%増と横ばい、公共投資や不動産が下支え、加速の兆し見えず、実態は「5%前後」とも

Record China    2016年10月23日(日) 14時40分

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中国国家統計局が発表した今年7〜9月期のGDPは、物価変動の影響を除いた実質で前年同期比6.7%増えた。 2 期連続の横ばいで加速の兆しは見えず、実態は「5%前後」との声もある。写真は中国の地下鉄。

2016年10月22日、中国国家統計局が19日に発表した今年7〜9月期の国内総生産(GDP)は物価変動の影響を除いた実質ベースで前年同期比6.7%増となった。成長率は4 〜6月期から2 期連続の横ばい。拡大する公共投資や不動産が下支えした。加速の兆しは見えず、実態は「5%前後」との推定値もある。

中国政府が設定している16年の成長率目標は、3月の全国人民代表大会(全人代)で下方修正した「6.5〜7%」。7〜9月期は、この範囲に収まった。1〜9月の成長率は6.7%で、通年でも目標を達成する公算が大きくなった。

1〜9月期の分野別では、企業の設備投資や公共投資の動きを示す「固定資産投資」が8.2%増(1〜6月期は9.0%増)だった。政府や国有企業の投資が21.1%増と大きく伸びる一方、民間投資は2.5%増にとどまり、民間部門の不振を公的部門が穴埋めする構図が続いている。

中国政府が今年1月に発表した15年のGDPは、前年比6.9 %増。14年(7.3%増)から減速した。天安門事件後の1990年(3.9%増)以来、25年ぶりの低水準で、中国政府が掲げた「7%前後」という15年の成長率目標も下回った。成長率が政府目標を割り込んだのは2年連続で、世界第2位の中国経済は14年以降、減速傾向が鮮明になっている。

16年の成長率も、リーマン・ショック後の09年1〜3月期(6.4%)以来の低水準だった1〜3月期から3四半期連続で横ばい。景気持ち直しの動きは依然として鈍いままだ。

今後の焦点は、鉄鋼や石炭の生産能力削減。中国政府は今年2月、鉄鋼で1億〜1.5億トン、石炭で5億トンの生産能力を20年までに減らす計画を公表した。これにより計180万人の失業者が出るとされ、削減が本格化すれば、景気を下押しする可能性がある。中国の景気が健全な形で下げ止まったとみるのは早計で、引き続き世界経済の波乱要因となる恐れもある。

一方、中国政府発表の成長率については正確さを疑問視する声が上がっている。米CNNは英調査会社キャピタル・エコノミクスの専門家、ジュリアン・エバンス・プリチャード氏の「実際の成長率は政府発表より低い。7〜9月期は5%前後」との推定値を紹介した。

この中でプリチャード氏は「政府が発表するGDPの数字は安定しているが、そこから中国経済の実態は見えてこない」と指摘。「近年の経済回復は結局、融資拡大と不動産市場の高騰を原動力とする一時的な現象で、長続きしないだろう」とした上で、「今後は融資を抑え、不動産市場を沈静化していく必要があり、結果として成長率はより不安定になることが予想される」と述べている。(編集/日向)

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