黄 文葦 2016年10月24日(月) 14時40分
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高田馬場の街で、この不動産屋の看板を見た際に、思わず笑ってしまった。日本の不動産屋には中国人のお客さんが増えてくることが垣間見えた。筆者撮影。中国語で読むと「いらっしゃいませ」に聞こえる。
高田馬場の街で、この不動産屋の看板を見た際に、思わず笑ってしまった。日本の不動産屋には中国人のお客さんが増えてくることが垣間見えた。
私は不動産会社に勤める数人の友人がいる。彼らがよく中国で人気No.1のメッセージングアプリと言われる「WeChat」のモーメンツに自社の物件写真を載せたりしている。このような独特な中国人向けの「SNS式」の営業ルートで、月に3〜5件ぐらい物件を成約させると言われる。
近年、日本の不動産業界の風向きが変わったと感じつつある。特に、東京23区の中、外国人住民が一番多い区である新宿区の街を歩くと、「外国人向け」「外国人専門」「外国人歓迎」のような不動産屋の看板をよく目にする。しかも英語・中国語・韓国語で書かれてある。即ち、外国人が日本で部屋を探しやすくなったという感触である。「部屋が探しやすい」は「住みやすさ」の第一歩である。
私は街で散歩する際に、それら「グローバル風」の看板を写真撮影、中国国内の友人に見せる。因みに、中国では、「有図有真相」というネット用語がある。所謂、写真があれば、真実が見えるということで、それで、私は写真で日本の真実を伝えたくなった。
この前、中国国内の友人から連絡があり、娘さんが間もなく日本留学にくるので、一人暮らし用の部屋を探したいと話していた。友人が娘さんに付き添って日本へ来る予定なのだが、自身の日本滞在期間は一週間のみなので、この期間中、是非娘の住まいを見つけてほしい、手伝ってくださいと頼まれた。
私は早速、不動産会社に勤める友人に頼んだ。相手も速やかに、数カ所の物件の写真を送ってくれた。私は中国にいる友人に転送。先に写真を見たおかげで、友人と娘さんが物件の状況を大体把握できたそうで、日本に来て翌日、二人は不動産会社の車で、何か所かの部屋を下見し、当日、部屋を決めた。翌日、資料審査など手続きし、たった3日間で入居の態勢が整えられた。
娘さんが順調にお気に入りの部屋に入居できたことに、友人は「日本の不動産会社の効率はすごい。外国人にも便利だ」と満足げに話してくれた。「外国人が来日する前に部屋を案内してあげる」、それは日本の不動産業界の新しいサービスのスタイルである。
私は12年前の自分の部屋探しの体験を思い出した。その時、神奈川県にある大学の大学院を卒業し、東京で就職を決めた。ただ、東京での部屋探しには大変苦労した。気に入った部屋があったが、保証人が必要だと言われた。親戚に頼んだのだが、不動産会社から「収入証明書」など提出してくださいと言われ、親戚は「個人情報なのに」と難色を示し、結局その部屋は借りられなかった。当時、不動産会社には「外国人不可」の物件が多かったそうである。
現在、外国人も部屋を借りる際に保証会社を保証人代わりに利用できるようになった。十数年を経て、外国人にオープンな姿を見せる不動産会社は増えているとはいえ、外国人お断わりのケースもまだある。不動産会社の友人から聞いたエピソードだが、ある大家さんは部屋を外国人に貸す前に必ず面接し、「面相」を見る。つまり、いい人なのか、顔を見て判断する。それは奇妙な発想。やはり、現在でも一部の大家さんは外国人利用客に不安を抱いているのだろう。
この数年間で、日本の不動産業では、中国人従業員と利用客の両方が増えていると思われる。中国人が日本の高級住宅を買うこともよく聞かれている。確かに、外国人客の経済力がアップすることで、不動産業界をもっと活性化・グローバル化させる。しかし、「経済力」はすべてではない。外国人が日本で部屋を探しやすくなったという風向きから、日本のサービスの柔軟さが見えた。
数年前に私がマスコミに勤めていた際に、横浜にある不動産会社を取材した。その会社は外国人に熱心なサービスを提供する。担当者に感想を求めると、「今、中国にもたくさんの日本人がいるでしょう。われわれが在日中国人に優しく接してあげると、向こうにいる日本人がきっと同じように優しくされていると信じる」と語った。その話は、克明に私の心に刻まれている。その方の思いは「不動産」を越え、雲の上に響き渡る…。日本と中国、両国の政府にも、両国の会社にも、両国の人間同士にも、「お互い様」精神があればいいと思う。
■筆者プロフィール:黄 文葦
在日中国人作家。日中の大学でマスコミを専攻し、両国のマスコミに従事。十数年間マスコミの現場を経験した後、2009年から留学生教育に携わる仕事に従事。2015年日本のある学校法人の理事に就任。現在、教育・社会・文化領域の課題を中心に、関連のコラムを執筆中。2000年の来日以降、中国語と日本語の言語で執筆すること及び両国の「真実」を相手国に伝えることを模索している。
在日中国人作家。日中の大学でマスコミを専攻し、両国のマスコミに従事。十数年間マスコミの現場を経験した後、2009年から留学生教育に携わる仕事に従事。2015年日本のある学校法人の理事に就任。現在、教育・社会・文化領域の課題を中心に、関連のコラムを執筆中。2000年の来日以降、中国語と日本語の言語で執筆すること及び両国の「真実」を相手国に伝えることを模索している。Facebookはこちら「黄文葦の日中楽話」の登録はこちらから
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