人民網日本語版 2016年11月13日(日) 8時0分
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日本企業は経済と地縁政治の霧の中で方向性を見失っていると、中国メディアは伝えた。
日本企業は経済と地縁政治の霧の中で方向性を見失っている。第一財経のサイトが伝えた。
トランプ氏が米大統領選で勝利し、日米が苦心して進めてきた環太平洋経済連携協定(TPP)の先行きが読めなくなってきた。日本企業は寒々しい気持ちに襲われている。
ここ2年ほど、重大な資本引き上げの動きをたびたびみせてきた日本企業は、今の中国は改革開放初期のように日本からの投資を必要としないとの見方を示しつつ、大な政治的変動の中にあっても中国という大きな市場を失うわけにはいかないとの判断も示す。日本最大の企業ロビー活動団体・日本経済団体連合会(経団連)はTPPの推進を重要なロビー活動に位置づけるが、最近、中国を訪問した際には、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)や日中韓自由貿易協定(FTA)のような中国が参加する地域経済一体化に向けた協力を推進する姿勢もうち出した。
また日本の企業と元政府高官は現在の日本政府よりも実務的で、日中はアジアでのインフラ開発や「一帯一路」(the belt and road)を含む第三国市場で協力できるとの見方を示し、日本政府にアジアインフラ投資銀行(AIIB)への参加を検討するよう呼びかけている。深層にある原因は、日本企業の世界での競争力が低下して、危機感が募っていることにある。
中国で長らく学び、働いてきた日本国際協力銀行北京代表処の野本和宏代表は、「一部の日本企業は中国での競争と発展にマイナスの懸念を抱くが、私が考える最大の阻害要因は競争力不足だ。日中企業の差はすでに小さく、一部の日本企業はすでに中国企業に追い抜かれている」と話す。同行は日本の政策性銀行で、日本の政府開発援助(ODA)の有償資金協力について責任を負い、職能は中国輸出入銀行に似ている。
経団連の榊原定征会長は、「自分の目にした中国の経営環境は改善されつつあり、日中企業の協力関係もますます良好になっている。日本の対中投資が回復し、引き続き増加することを特に願う」と述べた。
▽日本企業の競争力が追いつかれ追い越されている
商務部(商務省)が発表した貿易統計データをみると、2015年の日本の対中投資額(金融分野を除く)は前年比25.2%減少して、32億1000万ドル(1ドルは約105.6円)になった。日本の対中投資は3年連続で減少している。
日本で、「日本に対する中国の投資の吸引力は低下しつつあり、ベトナムなどの新興エコノミーにかなわない」といった世論の声に一定の支持が集まることはやむを得ない。在中国日本企業のビジネス協会が発表した報告でも、「日本企業の中国での経営はますます難しくなっている」との見方が示された。
だが日本の対中投資の減少は氷山の一角に過ぎず、より深層レベルの原因を探るべきだ。今年6月に中国日本商会が発表した「中国経済と日本企業2016年白書」では、「ここ数年、中国の投資環境には変化が生じ、人件費の上昇、労働力確保の難しさなどといった問題があり、この影響で、日本の対中投資が減少している」との見方が示された。
だが11年から13年にかけて、日本企業の対中投資額が過去最高に達したことを忘れてはならない。野本代表は、「現在の投資額は3〜4年前よりいささか少なくなったが、これは3〜4年前の投資額が過去最高だったからだ。長期的なスパンで比較すれば、現時点の日本の対中投資は少ないとはいえない」と指摘した。
中国国際経済交流センターの張暁強常務副理事長(執行局代表)も、「ここ数年、日本の投資額は過去数年間の歴史的ピーク時に比べて減ってはいる。ピーク時には100億ドルに達し、ここ数年は少ない年で20億ドルにとどまるが、相殺すると、個人的に把握した状況では、資金の純流出はみられない。外資系企業の直接投資のストックを累計すれば、香港地区を除くと、日本が現在、米国を抜いて1位で、金額は1千億ドルを超える」と指摘した。
野本代表は仕事で在中国日本企業と接触する機会が多く、一部のIT企業や製造業企業に聞いたところでは、「日本企業の大部分の製品と技術はすでに中国企業に追いつかれており、一部の分野では、中国企業の技術がすでに日本企業を追い抜いているという。そこで今、日本企業はこれまで競争力が高くなかった分野で他社と競争せざるを得なくなっている」のだという。
▽日本メディアが悲観的ムードをまき散らしている
ここ2〜3年ほど、日本メディアは日本企業が中国で経営難に陥っているとか、中国の投資吸引力が低下したとかいう報道をたびたび行ってきた。野本代表は、「日本の新聞業界は大手4〜5社に独占されており、読者はこの主要4〜5紙を読むしかないが、どの新聞も中国経済に対する論調は非常に消極的なものだ。各紙とも中国経済は不安定だとする今後の見通しを示し、バブルがいつ崩壊するかとか、生活コストの上昇とかいったことばかり報じる。日本の対中投資の減少は日本メディアの中国経済に対する非常に消極的な見方と関係があり、一連の中小企業の対中投資を行うか、対中投資を増やすかの決定に影響している」との見方を示す。
だが実際の状況をみると、日本企業は中国に長くとどまりたいという気持ちが非常に強い。日本貿易振興機構(ジェトロ)がまとめた15年の調査データでは、在中国日本企業の今後1〜2年間の事業発展の方向性について、「拡大する」と答えた企業が38.1%、「現状維持」が51.3%で、「中国から撤退する」および「第3国に移転する」とした企業は1.7%に過ぎなかった。
最もわかりやすい例はユニクロを展開するファーストリテイリング社で、現在、毎年平均100店舗のペースで大陸部店舗を増やしており、特に二線都市、三線都市、四線都市での発展に力を入れている。同社の今後10年間の計画では、中国を含む海外市場GUブランドの店舗を1000店開設するという。現在の店舗数はまだ10店に満たない。
同白書によると、貿易では、15年の中国の輸出対象国の中で日本は2位に位置し、輸出額は1357億ドルに達した。輸入は3位で1430億ドルだった。投資では、中国に進出した日系企業は2万3094社に上り(12年末現在)、中国の外資系企業全体の7.9%を占め、国別では1位だ。在中国日系企業が直接的・間接的に雇用する従業員は1千万人を超える。
▽本当に得意なことで新チャンスを模索する
日本の対中投資の変化は、中国人が直面する産業構造のバージョンアップとより多く関連する。張常務副理事長の説明によると、「経団連審議員会の副議長でパナソニック会長の長栄周作氏の発言では、パナソニックは早くから中国に進出し、北京にブラウン管工場を作ったが、ニーズの変化にともない、この工場は閉鎖した。これは消費のバージョンアップがもたらしが産業の変化だ」という。
張常務副理事長は、「実際にはパナソニックだけではない。中国のブラウン管産業チェーンに入ったすべての企業が事業を転換している。販路が基本的になくなったからだ。今は液晶テレビの時代だ」と述べた。
多くの分野で、日本企業は引き続き中国企業とウィンウィンの発展を達成できる。10年以降、中国の自動車販売量は米国を超え、世界最大の市場になった。この世界最大の市場において、日系車は乗用車分野で引き続き強い勢いを示している。
東風汽車の竺延風会長は、「東風汽車はホンダや日産と協力しており、今年の中国での乗用車販売量は10%以上増加した。試算では、中国乗用車市場における日系車の割合は16%で、ドイツに次ぎ、300万台を超える。これは日本企業の自国での販売量とほぼ変わりない数字だ」と話す。
2回にわたって日中企業家及び元政府高官対話の準備に関わってきた同センターの魏建国常務副理事長は、「第1回対話に比べ、第2回では日中企業の不満は少なく、批判は少なく、提案や方法の提示が多かった。信頼が深まり、恐れの気持ちが減った。企業家は次は何かをするだろう。今回の対話では休む間もなく、互いに大いに笑顔と喜びの表情をみせ、前のようにしかめ面をして座り込み、お互いを非難しあっていたようなムードとは全く別物だった」と振り返った。
第2回日中企業家及び元政府高官対話の終了後に発表された「共同声明」では、日中双方はスマート都市、モノのインターネット(IoT)、ロボット、人口知能(AI)など幅広い分野で共同協力の方法をさらに掘り下げて模索していきたい考えであることが示された。勘の鋭い日本企業は中国が高齢化、大気汚染、都市の交通渋滞といった発展にともなう問題に直面していることを見て取り、こうした分野での日本の「得意技」をよりどころに、中国の経済社会発展の新たなチャンスをつかまえようとしている。(提供/人民網日本語版・編集KS)
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