日本人の「お疲れさま」の意味がわからない!―中国人学生

日本僑報社    2017年1月1日(日) 16時0分

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外国語を学ぶ時、教科書で覚えた言葉の意味と実際に使われている言葉の意味に微妙な違いがあることを発見することもあるだろう。遼寧師範大学の于亮さんは、日本語の「お疲れさま」という言葉の理解に悪戦苦闘した様子を作文につづっている。資料写真。

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外国語を学ぶ時、教科書で覚えた言葉の意味と実際に使われている言葉の意味に微妙な違いがあることを発見することもあるだろう。遼寧師範大学の于亮さんは、日本語の「お疲れさま」という言葉の理解に悪戦苦闘した様子を作文につづっている。

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日本に留学した時、電車で「松山市、松山市駅です。長らくのご乗車、お疲れさまでした」という車内放送が耳に入った。「10分間しか乗っていないから、全然疲れていないのに」と不思議に思った。その日、講義が終わって同級生と一緒に研究室に戻った。友達の一人は、かばんを片付けてみんなに「これからバイトがあるんで、先に失礼します。お疲れさま」と言って研究室を後にした。ほかの人も「お疲れさま」と返事をした。90分の講義を受けただけでそんなに疲れていないと思うが、どうして「お疲れさま」と言うのかよくわからなかった。

その後、同級生の友達はみんな毎日帰る時に、「お疲れさま」「お疲れ」「お疲れさん」と言う。分からないけど、返事として、私も「お疲れさま」と言わざるをえなくなった。時間が経つにつれて、日本での生活にもだんだん慣れてきて、私も深く考えず自然に「お疲れさまでした」と言い始め、最初の疑問もいつのまにか消えていた。

学校だけではなくて、バイト先でも仕事が終わって帰る時、いつもこのようなあいさつを取り交わした。日本人が別れる時よく使う言葉は、「それじゃ」とか「またね」とか「バイバイ」なのだと中国で勉強したことがあるが、実際日本に行ってみると、それらの言葉を言うには言うが、「お疲れさま」のほうがよく使われているような気がする。その時の「お疲れさま」は、本当に疲れたかどうかには関係なくて、お別れのあいさつなのだろうと思った。

しかし、ある朝、学校に来た同級生は研究室に入った時、彼より先に来ていた私に「あっ、ウさん、お疲れさん」と言った。この「お疲れさん」はいったいどういう意味だろうか。別れる時でもないのに、という疑問を持った。ある日学校が終ってバイトに行くと、同じ店で働いている日本人の友達に「お疲れさまです」と言われた。まだ仕事を始めていないのに、「お疲れさま」なんて言ってもよいのかと思った。その後、すごく気になっていたから、その場面で使う理由を教えてもらった。

一つ目は、「ウさんが住んでいる所から学校が遠いにもかかわらず、学校の近くに住んでいる俺より早く学校に着いたのは、早めに起きたのか、あるいは速く自転車を走らせたのかどちらかでしょう。どちらにしてもきっと疲れたと思うから」と、同級生の友達が話してくれた。二つ目は、「ウさんは学校で講義を受けてもう疲れているのに、またバイトをしないとといけないから、たいへんだと思ってそう言った」とも話してくれた。

またある日、店でズボンを気に入って試着させてもらった。試着室から出たとたん、店の人に「お疲れさまです。いかがでしょうか」と言われた。その時は「もしかして試着室にいた時間が長かったから、私のことを皮肉っているのかな」と思ってしまった。

このようなことがあったので、もう一度「お疲れさま」の意味を考えなければならなくなった。お別れのあいさつとして形式的によく使われているが、「相手をねぎらう」という意味もまだ十分持っているということが分かった。それに、場合や相手によって使い方が違うわけである。いずれにしても、日本人はよく相手の立場に立って相手の気持ちを察して心配りをするということが理解できるだろう。この言葉を通して日本文化の一側面もうかがえるのではないかと思う。(編集/北田

※本文は、第一回中国人の日本語作文コンクール受賞作品集「日中友好への提言2005」(段躍中編、日本僑報社、2005年)より、于亮さん(遼寧師範大学)の作品「不思議な『お疲れさま』」を編集したものです。文中の表現は基本的に原文のまま記載しています。なお、作文は日本僑報社の許可を得て掲載しています。

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