2017年1月18日、韓国の今年度の大学入試で、14年4月に起こった旅客船セウォル号の惨事をテーマとした問題が出され、物議を醸している。韓国・聯合ニュースなどが伝えた。

17日、韓国のネット掲示板やSNSなどに、牧園大（大田市）の入試問題に関して受験生らの不満の書き込みが相次いだ。漫画・アニメーション学科の実技試験で、「セウォル号の惨事について状況描写をしなさい」との問題が出されたというのだ。ある受験生はSNSで「テーマを与えられた途端に皆がぎょっとしてしまい、何も描こうとしない人もいた」と証言、自身は「泣きながらなんとかして描いたけれど、これは違うと思って全部を黒色で塗りつぶして出てきてしまった」と告白した。また、別の受験生は「海底に沈む船、クジラ、黄色い風船などを描いたが、人の姿はとても描けなかった」と書いている。

この他、テーマを発表した試験監督官の様子について「複雑な表情を浮かべた後、力なく笑っていた」と伝えた受験生もいた。

受験生らの告発に韓国のネットユーザーも呼応、記事には「さすがにあんまりだよ」「この問題を出した教授はすぐに解雇処分にすべき」「描写するものなら他にいくらでもあるだろ。人間の心があるとは思えない」「情けない。やっていいことと悪いことがあるでしょ」と、大学を批判する声が多数寄せられている。

また、「全国民があのトラウマから抜け出せていないのに…」「世の中が狂ってきている。まともな精神を保って生きなきゃ」と嘆く声のほか、惨事当日の朴槿恵（パク・クネ）大統領の行動がいまだ謎に包まれていることを受け「当時の朴槿恵の状況描写に問題を変えれば？」とのコメントもあった。

なお、大学側は出題意図について「受験生が時事性のあるテーマをどのように視覚化するかを調べるため」と説明、「受験生らを苦しめる考えはなかった」と釈明した。（翻訳・編集/吉金）