八牧浩行 2017年3月3日(金) 15時20分
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写真展「憲法と生きた戦後〜施行70年―定点観測者としての通信社―」が、東京国際フォーラム3月12日まで開催されている。戦後憲法の下、国民が一体となって平和国家を築いた70年が甦る。
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写真展「憲法と生きた戦後〜施行70年―定点観測者としての通信社―」(公益財団法人 新聞通信調査会主催)が、東京・千代田区の東京国際フォーラム・ガラス棟ロビーギャラリーで3月12日(日)まで開催されている。太平洋戦争敗戦から東日本大震災、オバマ米大統領の被爆地・広島訪問まで歴史的な写真約70点が展示され、戦後憲法の下、国民が一体となって平和国家を築いた70年が甦る。入場無料。
【その他の写真】
太平洋戦争敗戦後、憲法草案作業から1947年5月3日の憲法発布に至る過程で、昭和天皇や連合国軍総司令部(GHQ)のマッカーサー最高司令官、吉田茂外相らが登場する写真は興味深い。この70年間の政治・経済・外交・社会事件や世相を振り返るともに、通信社、新聞社の報道活動が紹介されている。この中には、激動の時代を投影したものが多く、日本と世界の歴史に登場する貴重な写真ばかりだ。
「三島由紀夫自殺」「カンボジアPKO」「湾岸戦争」などの生々しい記憶も甦る。国会を群衆が取り巻いた「1965年安保反対デモ」や「2015年の安保法案反対デモ」なども印象的だ。
1章「再起」〜終戦から新しい憲法制定へ
2章「平和」〜自衛隊発足と新安保闘争
3章「成長」〜高度経済成長の時代と憲法を巡る課題
4章「転期」〜冷戦終結と国際社会の流動化
5章「漂流」〜米中枢同時テロと本格化する自衛隊海外派遣
6章「模索」〜憲法施行70年と改正の議論
この写真展を主催した新聞通信調査会の長谷川和明・会長(元時事通信社編集局長)は次のように語っている。
日本国憲法が施行されてから今年の5月3日で70年になります。この間、世界各地で朝鮮戦争、ベトナム戦争、アフガニスタン戦争、中東戦争、イラク戦争、シリア内戦など、領土獲得を目指す激しい国家間の争いやイデオロギー・宗教対立に基づく血なまぐさい戦いが相次ぐ中で、私たち日本は幸運にも、外敵の侵入など大きな試練を一度も受けることなく、安心で安全な平和国家として生きてこられたことを心から感謝せざるを得ません。これも太平洋戦争の敗戦という貴重な経験から学びとった国民一人ひとりの平和への熱い思いと新憲法の平和主義のもとで官民一体となって国家の建設・運営に当たってきた賜物といえます。
来年はまた、明治維新から数えて150年になります。戦前、戦中、それに終戦までの期間が「明治憲法」の時代だったとすれば、終戦から昭和の残り期間と平成の今日までは「昭和憲法」の時代に当たります。終戦直後、中学校の社会科授業で、公布されたばかりの日本国憲法について、国民主権、基本的人権、平和主義が新憲法の三つの基本理念、と教えられた世代の一人である私にとって、これは戦後の混乱期の貧しい生活の中にあっても絶対見失ってはならない崇高な理想と映りました。日本政府がマッカーサーからの示唆で、憲法問題調査委員会を設置、本格的に改正作業に乗り出したのが1945年10月25日。その後、何度も改正を繰り返し、1946年10月7日、衆院で憲法改正案を可決成立、同年11月3日公布、47年5月3日施行、という憲法制定の歴史はそのまま、日本の新しい時代の始まりの歴史でもありました。
私たちは今、平和な時代にあるといっても、それがいつまでも続く保証はありません。昨年6月の英国のEU (欧州連合)離脱と同年11月の米大統領選でのトランプ氏の当選はほとんどの人の予想を覆すものでした。もはやこれまでの常識的な判断や見方では時代の変化を読むことができなくなったということです。まさにこのような時だからこそ、基本的人権を尊重し、平和主義に基礎を置く昭和憲法制定の歴史を振り返り、憲法の在り方を考え直してみる時といえます。(八牧浩行)
■筆者プロフィール:八牧浩行
1971年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務取締役編集局長等を歴任。この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務めたほか、欧州、米国、アフリカ、中東、アジア諸国を取材。英国・サッチャー首相、中国・李鵬首相をはじめ多くの首脳と会見。東京都日中友好協会特任顧問。時事総合研究所客員研究員。著・共著に「中国危機ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外国為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。
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