Record China 2017年3月11日(土) 21時40分
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金正男氏の殺害事件をめぐり、北朝鮮が同国に滞在するマレーシア人を出国禁止とする「人質作戦」を仕掛け、マレーシア側も対抗措置を取った。友好国だった両国の対立は激化する一方だ。写真は北朝鮮。
2017年3月10日、金正恩朝鮮労働党委員長の異母兄・金正男氏の殺害事件をめぐり、北朝鮮とマレーシアの対立が激化している。北朝鮮は同国に滞在するマレーシア人を出国禁止とする「人質作戦」を仕掛け、マレーシア側も同様の対抗措置を取った。友好国だった両国の関係は険悪になるばかりだ。
北朝鮮外務省は7日、国営朝鮮中央通信を通じて、国内に滞在するマレーシア人の出国を一時的に認めないと、ピョンヤンにあるマレーシア大使館に通告したと発表。「北朝鮮国民が殺害された事件が公正に解決され、マレーシアにいる北朝鮮の外交官と国民の安全が完全に担保されるまでの措置」と説明した。
クアラルンプールの北朝鮮大使館には殺害事件に関与したとみて、マレーシア警察が重要参考人としている二等書記官や逮捕状を用意している国営高麗航空職員ら3人が閉じこもっているとされる。北朝鮮が「人質作戦」を打ち出したのは、マレーシア人と交換に3人を出国させる狙いとみられる。
これに対し、マレーシアのナジブ首相は「わが国民を事実上の人質に取る嫌悪すべき行為で、国際法や外交上の規範を無視したものだ」として、強く非難する声明を発表。その上で、対抗措置として、北朝鮮にいるマレーシア人の安全が保証されるまで、マレーシアに滞在するすべての北朝鮮国民の出国を禁止するよう、警察長官に命じたことを明らかにした。
1国の政府が、外国の外交官や犯罪に関わった疑いのない外国人の出国を認めない措置を取るのは極めて異例。日本メディアは国際法学者の「北朝鮮も国連総会で採択された国際人権規約にある自由権規約の締約国。自由権規約では『すべての者は、いずれの国からも自由に離れることができる』と定めている。北朝鮮の措置は明確に国際法に違反している。今回のように相手国の国民すべてを出国禁止にする措置は極めて異例で聞いたことがない」との見解を紹介している。
7日の時点でピョンヤンには大使館員と家族、国連職員ら計11人のマレーシア人がいたが、ロイター通信によると、うち国連世界食糧計画(WFP)の職員2人は9日に出国した。残り9人は足止めされたままだ。旅行者やビジネスマンはいないという。マレーシア国内に何人の北朝鮮人が滞在しているかは不明だが、つい最近までビザなしで入国できたことから、大使館員以外にも出稼ぎ労働者を中心に相当数が残っているとみられる。
自国民を犠牲にしてまで殺害事件への関与を否定し、隠蔽(いんぺい)を図るかのような動きを見せる北朝鮮。常軌を逸した「人質作戦」の展開には、核・ミサイル開発と相まって国際社会からの非難がますます強まりそうだ。(編集/日向)
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