むらさわりこ 2017年3月23日(木) 20時20分
拡大
中国人夫に仕事の愚痴を言うと私にとってはカルチャーショックなアドバイスが返ってきた。資料写真。
前の職場で仕事が嫌になった事があった。サービス残業は当たり前で、社訓を大きな声で読むことを強制された。給料は安く、賃金を支払われずに業務内容でないことをやらされる事など当たり前であった。
そんな時、中国人夫に仕事の愚痴を言うとこんな答えが返ってきた。「上司に給料上げてって言いなよ。自分はこれだけの仕事をしてる、成果を出してるって言いなよ。それで給料上げてくれないなら辞めるしかないね」。
まだ私はその当時就職して1年ぐらいで「石の上にも三年って言うし、こんなことで辞めちゃいけないんじゃないか…」とうじうじしていた。そんな私に、夫は上司との交渉を勧めてきた(!)私にとってはカルチャーショックを感じた出来事だった。
日本人は一度雇われたら上司や社長に歯向かうことなど最初から考えない。「会社」という大きな集団の一部に、肉体的にも精神的にも組み込まれてしまうからかも知れない。「最近残業ばっかりで忙しくてさ〜」というのは、日本人としては心から嫌で言っていない節があると思う。
一方、中国人は雇われていようが人を雇っていようが、あくまで「個人」と「個人」の契約なのだ。雇われた側はお金を稼ぐために決められた業務内容をこなし、納得できない所は話し合いをする。同じ所で3年は働かなければいけないなんて全く思っていないし(私は日本人なので少しは思った方が良いのでは?と思っている)「起業」至上主義なのでいつまでも会社員として同じことを毎日繰り返しているのはあまり歓迎されないところがある。
こうして比べてみると日本人と中国人の仕事観は真逆であるのが分かる。私は英会話講師という仕事上、英語圏の人々と毎日仕事をしているが、彼らの仕事観はどちらかと言うと中国に近いと感じている。ただ彼らは中国人ほど起業にこだわらない。ざっくりとした印象だが全体的に「仕事は仕事。やることやって、さっさと帰って家族との時間を大切にしよう」という雰囲気が強い。
夫の友人(中国人)に日本の企業に就職した人がいる。日本語も堪能で、周りの人にもぺこぺこしたり、かなり日本社会に順応しているように見える。比較的大きい会社で給料もそれなりにもらっているそうである。彼の中国人妻も働いており、仕事に関しては順調に見えるが、彼は自身の仕事に不満を持っている。
彼いわく「毎日同じことの繰り返しでロボットになったみたいだ。この年になって男で起業していないのは少し恥ずかしい。早く起業資金を貯めて会社を辞めたい」そうである(余談だが「ロボットになったみたい」は私の英語圏の同僚もよく言っている)。
「集団」を重んじて、どちらかと言うと「守り」思考の日本の仕事観。「個人」を重んじて、まさに「攻め」の姿勢の中国の仕事観。どこかの文化人類学者の本に「日本と中国―地理的には非常に近いのにこんなに文化が違う国は他にはない」と書いてあったが、正にその通りかもしれない。
■筆者プロフィール:むらさわりこ
1989年日本生まれ。22歳の時に2歳年上の福建省出身の中国人男性と結婚。英語を独学で習得後、英会話講師として働く傍ら中国のテレビなどを通し中国語も独学で習得。趣味は語学と読書。図書館があまりに好きで毎週通っている。結婚前はベトナム、ニュージーランド、モンゴル、カナダ、ラオス、フランスなど様々な国を一人で渡り歩く。自分のやりたい事や面白い事に国境や言葉の壁は関係ないと考えている。
この記事のコメントを見る
Record China
2017/1/25
2017/1/4
2016/12/10
2017/3/10
2016/10/1
ピックアップ
we`re
RecordChina
お問い合わせ
Record China・記事へのご意見・お問い合わせはこちら
業務提携
Record Chinaへの業務提携に関するお問い合わせはこちら
この記事のコメントを見る