朝鮮半島危機、中国にはチャンス?打開の道筋つければ地域でリーダーシップ確立、対米関係では正念場にも

Record China    2017年4月15日(土) 21時30分

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米国と北朝鮮が鋭く対立する朝鮮半島。カギを握るのは中国だ。危機打開の道筋をつけられれば、地域で名実ともにリーダーシップを確立できるが、同時に習近平指導部にとっては対米関係の正念場でもある。写真は中朝国境。

2017年4月15日、米国北朝鮮が「チキンゲーム」を繰り広げ、ますますきな臭さが漂う朝鮮半島情勢。カギを握るのは北朝鮮の後ろ盾とされる中国の動向だ。危機打開の道筋をつけられれば、地域でリーダーシップを名実ともに確立するチャンスだが、同時に習近平指導部にとっては対米関係の正念場でもある。

中国の王毅外相は3月初め、全国人民代表大会(全人代)に合わせて記者会見。米国と北朝鮮について「向かい合って加速し続ける二つの列車のように、正面衝突する準備でもしているのだろうか。双方が赤信号をともして、同時にブレーキを踏むことが必要だ」と強調した。その上で、核・ミサイル開発に突き進む北朝鮮を批判する一方、米国にも自制を求め、米韓合同軍事演習の中止を提案した。

しかし、米韓合同軍事演習は予定通り始まり、それに対抗して北朝鮮はミサイル発射を繰り返し、緊張は高まるばかり。トランプ政権は「全ての選択肢がテーブルの上にある」と広言し、先制攻撃の可能性をちらつかせている。

今月6、7日に開かれた米中首脳会談で、トランプ大統領は習主席に中国にさらなる行動を促し、「米国は単独で対応する用意がある」と強調、北朝鮮への制裁の強化を迫った。最終的に両首脳は北朝鮮の核・ミサイル開発が「深刻な段階」に達したとの見方を共有し、協力を強化することで一致しただけだった。

トランプ大統領は11日にも「中国が助けてくれれば素晴らしいが、そうでなければ我々が解決する」とツイート。改めて中国に圧力を掛けたが、「中国が北朝鮮問題を解決するなら、米国との通商交渉ははるかに良いものになる」とも書き込んだ。習主席は翌12日、トランプ大統領と電話会談。その後、トランプ大統領は米メディアとのインタビューで、中国の「為替操作国」認定を見送る方針を明らかにした。電話会談で習主席は前向きな対応を約束したともみられる。

問題は北朝鮮に対する中国の影響力。金正恩氏が最高指導者の座に就いてから5年が経過したが、この間一度も中国を訪問していない。朝鮮戦争の「血の友誼(ゆうぎ)」で固められたはずの2国間関係としては極めて異常な事態だ。韓国による南北統一を嫌い、朝鮮半島の現状固定を望む中国の本音を見透かすように北朝鮮は暴走している。

世界貿易機関(WTO)によると、北朝鮮の昨年1年間の貿易総額は60億2000万ドル(約6615億3800万円)。うち中朝貿易額は55億1000万ドル(約6054億9400万円)と全体の91.5%を占める。原油も年間50万トンを供給しているとされ、中国が本気で経済制裁に乗り出せば、北朝鮮からトランプ大統領が振り上げた拳を下せるような譲歩を引き出せる可能性もある。

一方で手をこまねいて、業を煮やしたトランプ政権が軍事力行使に踏み切った場合、中国には米国と事を構える選択肢はなく、座視せざるを得ない状況にも追い込まれる。今年秋に5年に一度の中国共産党大会を控えた習主席にとっては最悪のシナリオだ。(編集/日向)

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