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日本が通貨スワップ協定の規模拡大、裏にあるのは?―中国紙

人民網日本語版    2017年5月14日(日) 15時10分

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日本は最近、ASEANにしばしば秋波を送っている。このほど行われたアジア開発銀行年次総会では、ASEAN諸国と4兆元規模の二国間通貨スワップ協定を結ぶ意向を明らかにした。資料写真。

日本は最近、ASEANにしばしば秋波を送っている。このほど行われたアジア開発銀行年次総会では、ASEAN諸国と4兆元(1元=約16円)規模の二国間通貨スワップ協定を結ぶ意向を明らかにした。「国際商報」が伝えた。

4兆元のスワップ協定は小さい数字ではなく、人々は否応なく日本の動きの背景に何があるかを考えてしまう。

▽想定内のこと

中国現代国際関係研究院日本研究所の劉雲・副研究員は、「日本がASEANと通貨スワップ協定を結ぼうとしているのは、実際には(中国、日本、韓国やASEANが緊急時にドルを融通しあう)チェンマイ・イニシアチブマルチの一部であり、マクロ調整によって国際金融リスクに対処する手段だといえる」と述べた。

資料をみると、チェンマイ・イニシアチブマルチの前身は、2000年にタイ・チェンマイで行われたASEAN+3(日中韓)財務大臣会議で合意された「チェンマイ・イニシアチブ」で、金融危機の発生による打撃に対処することを目的として締結された地域レベルの通貨スワップのネットワーク構築に関する合意だ。主な内容には、ASEANのスワップ協定の数量と金額の拡大、中日韓ASEAN二国間スワップ協定の構築などがあった。

中国社会科学院アジア太平洋・グローバル戦略研究院大国関係研究室の鐘飛騰室長(副研究員)は、「日本とASEANの協力の進展ぶりはこれまでずっと順調で、通貨スワップ合意の締結は想定内のことだ。米国政府に比べ、日本は地域化の推進により傾いている。日本にとっては、経済開放にこそ日本の根本的利益がある。ASEANと日本は貿易、投資、支援など各方面の協力をめぐって阿吽(あうん)の呼吸の関係であり、いずれ通貨協力を強化するとみられていた」と指摘する。

劉副研究員は分析を進めて、「4兆円の通貨スワップ協定は規模は大きいが、日本はASEANが1998年の金融危機発生時にチェンマイ・イニチアチブに調印した時のようなせっぱ詰まった状況にはないことを認識すべきだ。今のASEANは、全体として十分な外貨準備を保有し、ここ数年は輸出も好調で、もはや昔日のASEANとは同日に論じられない。よって、通貨スワップ協定の成立を後押ししたいなら、日本はタイおよびマレーシアとの二国間交渉によって一歩ずつ話を進めていくべきだ。今のASEAN諸国が必要としているのは、通貨スワップ協定よりもインフラ建設への投資だ」と指摘する。

▽円の地域化を促進

日本が通貨スワップ協定の締結を急ぐその立場を考えてみる。日本の財務省はコメントの中で、「今回の動きはASEANで事業を開拓する日本企業に便宜をもたらすことがねらい」などとしているが、別の分析によれば、日本は実は通貨スワップ協定を通じた円の使用範囲の拡大を目指しているだという。

劉副研究員は、「通貨スワップ協定の締結のもつ日本にとっての明確なメリットは、日本がASEANで支援や融資を行う際に、円建ての決済をより多く行えるようになり、円の影響力が高まるということだ」と指摘する。

データをみると、16年下半期現在、日本企業がアジア向け輸出取引で円を使用する割合は46%で、米ドルの48%と基本的に同じ水準にあり、円の存在感が高まっているといえる。

鐘室長は、「1980年代後期以降、日本は円の地域化の構築を試みている。だが米国の反対や、97年の東アジア金融危機で日本経済が打撃を受けたことなどにより、日本はなかなか機会をつかまえられずにいた。米国が環太平洋経済連携協定(TPP)から離脱して、アジア太平洋地域での影響力が弱まったことから、日本の円の地域化推進の窓が開かれることになった」と指摘する。

日本の動きをみると、ここ数年の加速を続ける人民元国際化のプロセスを思わずにはいられない。

劉副研究員は、「円にとって、人民元国際化は障害ではない。不確定性は米国から来るものの方が多く、このことは米国政府の円相場に対する批判によく表れている。日本が真っ先にやるべきことは、米国の政策のリスクをヘッジすることで、これには日本の貿易政策に対する米国からの打撃、6月に米連邦準備制度理事会(FRB)がかなりの確率で行うとみられる利上げ、米国政府が推進する現税政策がもたらすとみられる資本の国境を越えた広い範囲での流動がもたらすリスクが含まれる。米国の4月の農業分野を除く雇用データの力強さが、FRBの利上げの可能性を高めており、利上げによって資本が新興市場国から急速に流れ出して米国に還流する可能性もあり、日本は事前に警戒する必要がある」との見方を示す。

劉副研究員は人民元国際化について、「現時点で、円による通貨スワップ協定の推進はそれほど大きな影響を生じることはない。国際通貨基金(IMF)がまとめたデータによると、各国が保有する外貨準備のうち、円の割合は4.21%、元は1.07%だ。円であれ元であれ、この地域におけるドル弱体化の影響を穴埋めし、地域のリスク抵抗力を高めることがより必要になる」と話す。

鐘室長は、「人民元の国際化や地域化はすでに基本的な形ができている。日本はアジアにおける元の地位向上のじゃまをすることはできない。また日本とASEANが通貨協力を強化することは、アジアのエネルギーの安全保障の向上に一定のメリットがあり、将来はエネルギーの安全保障の分野で、日中がさらに協力を進める必要がある」と指摘する。

劉副研究員は、「現在の元について言えば、第一の任務はやはり中国国内の金融の安全性を保障すること、金融リスクを予防することだ。国際化の過程で、リズムはコントロールが可能で選択も可能だ。国内の金融の安全性の保障により多く精力を傾けることを第一の任務としなければならない」と提起する。(提供/人民網日本語版・編集KS)

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