日本旅行に感激した両親=「また行きたい場所、また会いたい人」こそが旅のお土産―中国人学生

日本僑報社    2017年5月28日(日) 13時50分

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日本に短期留学していた中国人民大学の郭可純さんは、両親の日本旅行で「日本の両親」との橋渡しを行った時の思い出を、作文に次のようにつづっている。写真は京都の花見小路通。

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旅行の目的にはそれぞれさまざまなものがある。中国人観光客といえば、ほんの2、3年前は爆買いが代名詞だったが、現在では個人旅行が増え、日本の伝統文化の体験を希望する人も増えてきているという。以前、日本に短期留学していた中国人民大学の郭可純さんは、両親の日本旅行で「日本の両親」との橋渡しを行った時の思い出を、作文に次のようにつづっている。

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「ご両親に、1週間の日本旅行で一番印象的だったのはなにか聞いてみて」。中井さんは微笑みながら、そう尋ねた。「そうですね。やっぱり茶道の点前(てまえ)を学んだことや、和服を着て花見小路通を歩いたことですね」と私は両親の答えを訳した。

旧正月の連休の最終日、両親の日本旅行が終わりを迎えようとしていた。神戸の浜辺で、初対面の両親と中井夫妻は、私の通訳を通して話が弾んでいた。

中井さんは以前、私が神戸に短期留学した際にお世話になった「日本のお母さん」だ。彼女とはネット上のホストファミリー紹介プログラムを通して知り合った。今回、私が両親と一緒に関西で旅行するのを聞いて、わざわざ1日を空けて、ご主人とともに神戸を案内してくれたのだ。

「青空の下、絵本みたいな景色に見惚れ、隅々まで気配りが行き届いたサービスを受けた。おまけに日本の伝統文化の体験や、友好的な日本人の方々と生の交流もできて、この上ない旅だったわね」。わさび入りのお寿司を一口食べながら、母はかなり深遠な言葉を口にした。その場でなかなかうまく通訳できなかったが、中に込められている感謝の気持ちはきっと中井さんに伝わっただろう。

「よかったわ。郭さん一家の旅行は『爆買い』ならぬ『爆体験』という感じだったわね」。私が中井さんの言葉を訳すと、みんな笑い出した。

今回両親のガイド兼通訳を担当した私は、いわゆる「爆買いツアー」とは異なる何か日本ならではのことを両親に体験してほしいと思い、前もって中井さんに相談した。「1回きりじゃなく、また何度も行きたいって、ご両親が中国に帰った後、そう思ってくれればいいね」と中井さんはガイドブックを参考にしながら、旅行計画を練ってくれた。

両親が京都に辿り着いたその日に、私たちは一つ目の目的地である茶道教室に向かった。ひっそりと静まり返っている茶室で、両親が先生の点前にじっと目を凝らし、見よう見まねでお茶をたてた。茶道が終わった後、「さすが京都。落ち着いている雰囲気のおかげで旅の疲れが全部吹き飛んじゃった」とほろ苦い抹茶の余韻に浸るかのように感激していた。

また、清水寺に行った日には、母と一緒に和服に着替え、古きよき町で下駄をカラコロと鳴らし、まるで日本人女性のような1日を過ごした。そして最後の夜。神戸で中井さんと会い、浜辺でご飯を食べながら、日本旅行の感想や、親として子育てと老後の生活についての世間話、一衣帯水の日中関係や同文同種の日中の歴史まで、話が尽きなかった。国境も言葉の壁も越えて、私の二組の「両親」の間に、ご縁の橋が掛け渡されたのだ。

「次回会うとき、中国語で話せるように頑張るわ」。中井さんは私を見つめ、「郭さんのご家族も、ここを第2の故郷として、また戻ってきてください。待っているわ」と私の肩を軽く叩いた。「一期一会」という言葉が日本で好まれているようだが、私は今回この言葉を避けたい。なぜなら私たち家族にとって、日本での旅は今回一度きりのものではなく、また戻ってきて、大切な人と再会したいからだ。

観光地を大雑把に見て、デパートに押し合いながら入ること以上に、より意義深いことは多くあるはずだ。伝統文化の体験はもちろんのこと、機会があれば、日本人と交流し、友好の絆を結ぶことは何よりかけがえのない思い出になる。そして、そんな生きた体験や交流によって心に生まれる「また行きたい場所、また会いたい人」こそが、旅の最上の「お土産」ではないかと思う。

より多くの訪日中国人が、お店では買えない自分だけの「お土産」を見つけ、持ち帰ってくれたら、と思う。神戸駅前、二組の「両親」が手を振りながら、「再見(ザイジエン)」と繰り返し言い合った。この「再見」は決して「サヨナラ」と訳すべきではない。「またお会いしましょう」という言葉を伝えることが、通訳である私のこの旅での最後の仕事となった。(編集/北田

※本文は、第十二回中国人の日本語作文コンクール受賞作品集「訪日中国人『爆買い』以外にできること」(段躍中編、日本僑報社、2016年)より、郭可純さん(中国人民大学)の作品「『サヨナラ』は言わない」を編集したものです。文中の表現は基本的に原文のまま記載しています。なお、作文は日本僑報社の許可を得て掲載しています。

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