八牧浩行 2017年6月9日(金) 5時20分
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田中浩一郎・日本エネルギー経済研究所中東研究センター長と高橋和夫・放送大学教授が日本記者クラブで講演。イランは「中国からの資金供給を歓迎するが、中国製品と中国人の労働者が入ってくることに対して歓迎しない」などと語った。写真は講演する田中氏(左)と高橋氏。
2017年6月8日、イラン情勢に詳しい田中浩一郎・日本エネルギー経済研究所中東研究センター長と高橋和夫・放送大学教授が日本記者クラブで講演。イランの中国との関係について、田中氏は「欧米の対イラン制裁による厳しい時に、(経済支援などで)一番付き合ってくれた中国に対し恩義を感じている」と指摘した。中国主導のインフラ投資銀行(AIIB)や一帯一路(海と陸のシルクロード)構想に関しては、「資金が供給されるのは歓迎するものの中国製品と中国人の労働者が入ってくることに対して歓迎しない」と語った。高橋氏は「イランと中国は古代から文明国同士だったとの歴史認識を共有、現在も欧米など“野蛮国”に囲まれていると認識。イランは日本が米国ににらまれたら守ってくれないことをよく知っているので、中国の方を頼りにしている」と分析した。
両氏の発言要旨は次の通り。
田中氏=サウジアラビアはじめ大半の中東諸国がAIIBに加盟、イランも遅れて加盟した。欧米の対イラン経済制裁による厳しい時に、(経済支援などで)一番付き合ってくれた中国に対し恩義を感じている。米国の意向を気にすることなく動いてくれたのが中国だった。ありがたいが、とんでもないものを売りつけられたとの批判が(イラン国内で)あるのも事実だ。
イランは一帯一路にも入っているが、隣国パキスタンに対する警戒がある。資金が入ってくるのは歓迎だが、中国製品と中国人労働者が入ってくることに対して歓迎しない。中国は国連安保理で拒否権を持っているので、いざとなった時に頼りになる相手だと認識している。
高橋氏=イラン人は中国人に対し「かなわないな」という印象を持っている。中国人と一緒にいると、中国人も自己を主張するので、自分を見せられているようで嫌になるのではないかと思う。
イランと中国はともに野蛮人=欧米人に囲まれた古くからの文明国であるとの歴史認識と被害者意識を共有している。中国の場合は欧米だけでなく日本にも辱められてきた。イランは日本が米国ににらまれたら守ってくれないことをよく知っているので、中国の方を頼りにしている。(八牧浩行)
■筆者プロフィール:八牧浩行
1971年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務取締役編集局長等を歴任。この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務めたほか、欧州、米国、アフリカ、中東、アジア諸国を取材。英国・サッチャー首相、中国・李鵬首相をはじめ多くの首脳と会見。東京都日中友好協会特任顧問。時事総合研究所客員研究員。著・共著に「中国危機ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外国為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。
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