中国で日本の建築家が人気、「男神」と呼ばれる―中国メディア

人民網日本語版    2017年6月13日(火) 0時20分

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5月31日、取材のため北京朝陽区のあるクリエイティブパークを訪れた。ここは、日本の建築家・青山周平さんのデザイン事務所がある場所だ。

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5月31日、北京市朝陽区のあるクリエイティブパークを取材に訪れた。モダンな低層オフィス、新緑に覆われた赤い壁、オシャレなガラスのショーウインドーなど、「新」と「旧」、「クリエイティブ」と「伝統」がいたる所でコラボしているこの場所は、日本人建築家・青山周平さんのデザイン事務所がある場所だ。

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◇「男神建築家」のプロフィール

広島県出身の青山さんは高校時代に父親の影響で建築デザインに興味を持つようになり、大阪大学と東京大学を卒業。大学院を卒業した2005年に青山さんは初めて中国を訪問した。

多くの中国人から青山さんが知られるきっかけとなったのは、中国版「劇的ビフォーアフター」とも言える人気テレビ番組「夢想改造家」への出演。同番組に出演した初の外国人建築家となった青山さんはシーズン2では胡同(北京の伝統的な民家が建ち並ぶ細い路地)の街並みが今も残る「南鑼鼓巷」からほど近い場所にある35平方メートルの民家を見事にリフォームし、シーズン3では、レンガ作りの建物の外壁と塀の間にあるL字型の空間に三世代が生活できる家を見事に作り上げた。こうした伝統文化をうまく残す新しいスタイルにより、多くの中国人が青山さんを知るようになり、慕われる存在となった青山さん。そして温和で礼儀正しく、謙虚でおとなしい性格の青山さんは、「男神建築家(イケメン建築家)」と多くの女性ファンを抱えるようになった。

◇建築デザインについて

急速に変化し、新しいものが好きな中国

卒業後に就職活動をしていた青山さんは友人の紹介で、北京の建築会社で実習することになった。青山さんは、「当時はちょうど北京五輪の前で、中国では大きな建築プロジェクトがたくさん実施されていた。興味を抱いた日本の学生も多く、私も実際に見に行きたいと思った」と語る。半年の実習期間を経て、青山さんは北京に残ることを決意。「中国の社会は急速に変化し、まだ成熟しきっていないため、若い建築家にとってはチャンスがたくさん転がっている。例えば、中国ではクライアントの多くは私よりも年下だ。日本ではそんなことはほとんどない。また、中国人は新しい変化が好きで、新しいものを進んで受け入れ、リスクがあってもチャレンジする勇気がある。一方、日本では、よく分かっていないことや新しいものはあまり受け入れられない。そして中国では、社会の変化と共に、生活空間も日に日に変化している。こうした環境は建築デザイナーにとっては、とても刺激的」と青山さん。

デザイン事務所「B.L.U.E.」

北京で暮らして十数年の間に、青山さんはSAKO建築デザイン工社のデザイナーから、清華大学建築学部の博士学位の取得、北方工業大学建築学部の教壇に立ったりと、様々な経験を積んできた。14年、青山さんは自ら会社「B.L.U.E.建築デザイン事務所」を立ち上げた。青山さんは、「B.L.U.E.は英語で青という意味で、私の苗字の『青』を意味するほか、北京環境研究所という意味の『Beijing Laboratory for Urban Environment』の略称でもある。社会や文化、環境の研究を通して、新しいライフスタイルを作り、多くの人に都市での生活を楽しんでもらいたいと思っている」とした。

伝統的であり未来的でもある胡同

デザイン事務所を立ち上げてから3年間、青山さんは大小様々なプロジェクトを手掛けてきた。その中でも、青山さんが印象深かったと感じているのは、昨年テレビ番組「夢想改造家」で北京灯市口の胡同で民家をリフォームしたプロジェクトだ。40平方メートルの家に一家6人が住んでおり、「L字型」の構造ゆえ1日中太陽の光が入らず、老朽化による各種トラブルが原因で、6人は非常に不便な暮らしを強いられていた。青山さんのチームは、その手狭な家を見事にリフォームし、リフォーム後は、外観は現代的であるものの、実際は胡同の特徴を取り入れ、そのライフスタイルを活用している。全てのスペースが胡同とつながっており、行き来することのできる一続きの空間となっている。また、オープンで光の入りやすい空間スタイルや、屋内と屋外の境を曖昧にすることで、住んでいる人の活動範囲が屋外の庭や胡同にまで広がっている。伝統的な胡同の環境に、オープンで自由な太陽の光に満ちた快適な居住空間を作り出したのだ。

伝統的な胡同の文化をいかに残すかという点について青山さんは、「胡同は都市と密接につながっており、胡同で生活している人々は都市空間を共有している。今、1平方メートル当たり十数万元(1元は約16円)という高値で取引されている胡同の家がほとんどで、多くの人にとって手が出せないのが現状だ。また、家屋自体が古いため、多くの人から敬遠されている。胡同やそこに詰まっている胡同文化は多くの人にとってどんどん遠い存在になってしまっている。胡同文化の中で一番重要なのは、そこに住んでいる人の生活状況だと思う。今の北京では、胡同を改造する工事もたくさん行われており、そのシンボルとなる屋根やレンガなどを残すだけでなく、オープンで自由な胡同の生活を残すことも大切だと思う。だから、胡同にある家を快適で便利な現代風にリフォームすることで、多くの若者に住んでもらえるようにできると思う」との見方を示した。

◇家について

胡同にある家での暮らし「家は買わない」

他の人のために夢のような家をたくさん手掛けてきた青山さん自身はどんな家に住んでいるのだろう?「私が住んでいるのも胡同にある家で、その生活を楽しんでいる。数年前に北京の胡同にある家を借りて、自分でリフォームし、トイレやバスルームなどを設置した」と語る青山さん。「北京で家を購入を考えたことはないのか?」との質問に、青山さんは笑いながら、「買うつもりはない」と首を振った。「私の家の庭には木が一本あるが、実際には、それは隣人の木でもある。夏にはその木の陰で涼しく過ごし、冬には木漏れ日を楽しむことができる。これは、胡同にある家特有の生活」と、胡同にある家での暮らしを満喫している様子。「また、胡同にある家の屋根の角度は、北京の冬と夏の太陽の光の角度と絶妙に関係している。学生時代に関連の知識を学んだが、実際に自分で胡同にある家に住んでみて、そこでの生活は一体どんなものなのかがやっと分かった」とした。

「家」の概念は絶えず変化

青山さんは、「社会や経済が発展するにつれ、『家』の概念も変化している。以前は一家3世代が一つの家に住み、『大家族』で暮らしていた。でも近年は、故郷を離れて大都市で生活する若者が増えている。そして、夫婦と子供だけの『小さな家族』が増えている。一部の大都市、例えば、東京などでは一人暮らしや二人暮らしの世帯も増えている。今の社会において、『家』は単なる『建物』ではないのかもしれない。家族や生活の思い出こそが、『家』の代名詞だ」との見方を語った。

◇今後について

「0からスタートするプロジェクトにチャレンジしたい」

今後の計画について、青山さんは、「デザイン事務所を立ち上げて以降、請け負っているプロジェクトは内装や建物のリフォームなどがほとんど。今後は、『0からスタート』するプロジェクトにチャレンジしたい。設計図から始めて、一つの建物を作りたい」と語る。また、青山さんは現在、家具のデザインも手掛けており、「建築デザインとほぼ同じで、人と人、人と空間が効果的に対話するスタイルの一つ」とする。生活する都市については、「とりあえず北京からは離れない。でも、上海も好き。上海は現在、中国のアートの中心となっており、日本人にとっては教育や医療などの面でもとても便利。今後、中国のいろんな所に行く機会があることを願っている。よく出張で他の土地に行くものの、そこに滞在できる時間はとても短い。街を歩き、街の変化を感じるというのが、私が建築デザインのインスピレーションを得る方法。今後は中国の大都市、小都市をゆっくりと歩いて、おもしろい所をたくさん探したり見つけたりする時間があることを願っている」と話す。

「実際に感じることが日中友好の秘訣」

今年は日中国交正常化45周年。今後、どのように日中友好に貢献したいかという質問に対し、青山さんは、「実際に感じることが一番大切。中国人の友人と会話していると、ニュースや本を通して日本を知っており、そのイメージは実際の日本の状況とは差があると感じる。反対に、中国の事を誤解している日本人もたくさんいる。例えば、私の家族や日本の友人は、北京は毎日、大気汚染が原因の煙霧に覆われていると思っているけど、実際は違う。実際に見たり、聞いたり、体験したり、感じたりして初めて、客観的、そして正確に物事を知ることができると思う」と語った。(提供/人民網日本語版・編集/KN)

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