台湾で発生した大規模停電、背景に厳しい電力事情=蔡英文政権の「原発撤廃」に産業界から反発

Record China    2017年8月16日(水) 14時0分

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台湾で15日、大規模停電が発生した。発端は操作ミスだったが、背景には台湾における慢性的な電力事情の緊張がある。政府方針の「原発撤廃」に、産業界から改めて異議が出た。

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台湾で15日、大規模停電が発生した。発端は火力発電所への燃料供給の操作ミスで、停電は台湾本島全体に広がった。大停電の背景には台湾における慢性的な電力事情の緊張がある。政府が掲げる「原発撤廃」への方針に、産業界から改めて異議が出た。中央通訊社など台湾メディアは関連ニュースを続々配信した。

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停電の発端は石油会社の台湾中油が操作ミスにより午後4時ごろ、大潭電廠への燃料ガスの供給がストップしたことだった。そのため午後4時51分、大潭電廠の発電ユニット6基すべてが停止した。

台湾では15日、台北市の最高気温が摂氏37度を上回るなど猛暑に見舞われ、午後1時58分には電力使用が3645万2800キロワットと過去最高に達していた。

大潭電廠は台湾第2の発電能力を持ち、台湾北部への電力供給の3分の1を担っている。台湾電力によると、大潭電廠の発電停止の影響により、各地の電力施設で安全装置が作動したことで、停電が広がった。

中央通訊社による15日午後10時ごろまでのまとめによると、台湾本島にある19の直轄市・省轄市・省轄県のうち、誼蘭・花蓮・台東の3県を除く16の市・県で停電が発生した。

16の市・県で電力供給がすべてストップしたわけではなく、停電した地域は「まだら状」になった。台湾高速鉄道を含む鉄道各線への影響は軽微だった。台湾メディアの蘋果日報によると、台北市内の主要医療機関は午後5時40分までに、停電の影響は出ていないことを明らかにした。

一方で、道路交通では信号機が使えなくなったために警察官が交通整理に当たったり、金融機関ではATMが使えなくなったりするなどの事態も発生。苗栗県では、停電のために使用したローソクの火が原因となり火災が発生し、男性1人が死亡した。中央通訊社によると、午後9時40分ごろには電力供給は再開された。

台湾では国営の台湾電力が発電から送電までの電力事業を一括して行っている。また、15日に発生した大規模停電の直接の原因になった台湾中油も、株式会社の形態ではあるが台湾政府・経済部の国営事業機構だ。そのため、停電については政府に直接の責任があることになる。蔡英文(ツァイ・インウェン)総統は15日、フェイスブックを通じて「政府を代表して全国人民にお詫びします」と謝罪の意を示した。

一方で、分散型のクリーン発電を推進し、原子力発電を撤廃していく方針には変わりがないことを表明した。蔡総統の属する民進党は、かねてから環境問題に強い意欲を持ち、原発反対を重要な政策の一つに掲げてきたが、電力事情の逼迫(ひっぱく)が続いてきた。中央通訊社によると、大規模停電を受け、中華民国工商協進会の林伯豊(リン・ボーフォン)理事長は「台湾で電力が不足していることは明らかだ。意固地にならずに原発の(新規)稼働を再開すべきだ」と述べた。中華民国全国商業総会の頼正鎰(ライ・ジョンイー)理事長も、「原子力発電は安全で高効率」として、原発推進を求めた。

大規模停電がきっかけで、電力問題を巡る蔡英文政権と産業界の対立が強まる可能性も否定できない。(翻訳・編集/如月隼人

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