八牧浩行 2017年9月8日(金) 5時20分
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米安全保障筋によると、トランプ米政権は北朝鮮の6回目の核実験強行の後も、表面上抑制した姿勢を保っているが、攻撃された場合に備えて水面下で軍事的な対応シナリオを描いている。資料写真。
2017年9月7日、米安全保障筋によると、トランプ米政権は北朝鮮の6回目の核実験強行の後も、表面上抑制した姿勢を保っているが、攻撃された場合に備えて水面下で軍事的な対応シナリオを描いている。
今後の北朝鮮の動向によっては、米国による軍事行動の可能性が浮上している。そのケースとは(1)グアムや日本の周辺に着弾するミサイル発射(2)特別部隊の攻撃によって韓国や日本の市民が殺害され、施設が破壊されたとき(3)2010年に発生したような、韓国の島に対する砲撃(4)韓国、日本の軍艦に対する攻撃(5)米軍の偵察機の撃墜(6)北朝鮮のミサイルが日本上空を通過中、分解・墜落し、日本に人的被害が出たとき―などの場合とされる。
「軍事行動」への準備として、(1)在韓米大使館は韓国にいる約25万人の米国人の出国を促す(2)地上軍を増強し、海・空軍を拡充配備(3)2隻の空母艦隊の派遣と爆撃機B52のグアムへの移送―などが実施される。
いずれにしても非常事態であり、北朝鮮の反撃で何が起こるかは予測不可能である。ソウルに向けた化学・生物兵器やサイバー攻撃もあり得る。全力を挙げて反撃してくる覚悟が必要だ。
中国は中朝防衛協定があるにもかかわらず、参戦することはないだろう。ただ中国、ロシアには予測不可能な面があることは否定できない。
ティラーソン国務長官、マティス国防長官ら米主要閣僚は9月6日、米議会で北朝鮮情勢に関し、(1)北朝鮮と中国に圧力をかけ、北朝鮮の核計画を放棄させるための交渉の席に着かせる(2)米国と日本や韓国など同盟国のミサイル防衛網を増強する―の2つの戦略を説明した。
トランプ大統領は同日、軍事行動は「第1の選択ではない」と言明。当面は国連安保理決議による制裁などの圧力強化を目指しつつ、核・ミサイルの脅威に対処するため米国や同盟国のミサイル防衛強化も急ぐ方針である。
トランプ政権が北朝鮮との何らかの交渉を望んでいるとの見方もある。北朝鮮に対して、核兵器とICBMの保有を認知した上で、その抑止について協定するシナリオもあり得る。(八牧浩行)
■筆者プロフィール:八牧浩行
1971年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務取締役編集局長等を歴任。この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務めたほか、欧州、米国、アフリカ、中東、アジア諸国を取材。英国・サッチャー首相、中国・李鵬首相をはじめ多くの首脳と会見。東京都日中友好協会特任顧問。時事総合研究所客員研究員。著・共著に「中国危機ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外国為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。
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