北朝鮮問題はクールダウン必要、6者協議などを通じて平和的に解決すべき=日中関係改善へ相互信頼の醸成を―程永華・中国駐日大使

八牧浩行    2017年9月26日(火) 18時10分

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26日、中国の程永華駐日大使は日本記者クラブで会見し、北朝鮮問題は6者協議などを通じて平和的に解決すべきだと強調。また日中関係改善へ「両国の各界が共に重要なチャンスを逃さず、協力的パートナーになることを再確認すべきだ」と訴えた。

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2017年9月26日、中国の程永華駐日大使は日本記者クラブで会見し、「今年は日中国交正常化45周年の記念すべき年、両国の各界が共に重要なチャンスを逃さず、協力的パートナーになることを再確認すべきだ」と強調した。その上で、「日中は互いに引っ越すことができない最も重要な隣国であり、貿易投資観光などの面で切っても切れない関係である。官民挙げて両国間の相互信頼を醸成し、戦略的互恵関係を全面的に推進したい」と呼び掛けた。

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また、北朝鮮問題について「複雑で危険な状態にあり、クールダウンさせる必要がある」と懸念。「制裁・圧力は目的ではない。対話と組み合わせて、最終的には『6者協議(日・米・韓・中・露・北朝鮮)』などを通じて平和的に解決すべきである」と訴えた。

程大使は、中国の駐日大使として最長の在任8年。揮毫は「継往開来(今までの信頼・成果を受け継いで未来を開く)」と揮毫(きごう)した。

同大使の会見要旨は次の通り。

中国は責任ある大国として、世界経済をけん引する主要なエンジンとなり、グローバル経済の拡大へ積極的に取り組み、世界経済の発展に貢献する。世界第2、第3の経済大国である中日両国は地域と世界の重要な国として、平和と発展に対し重要な責任を担っている。中日関係の発展は、両国国民の利益に合致し、地域と世界の平和と安定に資する。中国は一貫して中日関係を重視している。近年、中日関係は一時重大な困難に直面していたが、関係の改善・発展に力を入れるという中国の基本的な立場に変化はない。

今年は国交正常化45周年の記念すべき年。来年には平和友好条約締結40年を迎える。両国の各界が共に重要なチャンスを逃さず、責任感を強め、互いに脅威にならない協力的パートナーになることを再確認すべきだ。両国関係を安定させ、改善させると同時に正常な発展の軌道に戻すよう努力すべきだ。日中は4つの政治文書と4つの原則的共通認識を踏まえて、官民挙げて両国間の相互信頼を醸成し、戦略的互恵関係を全面的に推進したい。

釣魚島尖閣諸島)を巡っては1972年の日中国交正常化交渉と1978年日中平和条約締結交渉時に(棚上げで)合意・了解しており、この合意に基づいて、両国はこの安定的な繁栄を享受してきたが、2012年の日本政府による動き(島の国有化)により約束が破られた。今後対話を通じて解決していく方針は明白であり、あくまでも協議継続により平和的に問題を解決したい。

日中関係は領土問題、歴史認識、海洋問題を巡り、政治面での相互信頼がダメージを受けた。日本の一部の人たちは冷戦思考で、中国包囲網の考え方をとっている。これをどう牽制し防ぐかが課題である。

日中間の貿易総額は巨額であり、投資も拡大し双方向になっている。経済的な結びつきは強力で、中日の各分野におけるポテンシャルも増大している。貿易構造も変化しており、かつて中国からの対日輸出は石油・石炭が主流だったが、今は工業製品の比率が上昇。垂直分業から水平分業に移行している。

国民の交流をもっと拡大しなければならない。近年、訪日中国人観光客が急拡大し、減少していた訪中日本人観光客も昨年後半から戻りつつある。

北朝鮮の問題は複雑で危険な状態にある。これ以上(米朝間が)ヒートアップしないようクールダウンさせる必要がある。私はかつて6者協議を担当したことがあったが、対話が続けられていたときは、(今日のように)悪化しなかった。中国は朝鮮半島の非核化を求め、国連の対北朝鮮制裁決議にも積極的に賛成してきた。ただ制裁・圧力は目的ではない。対話と組み合わせて、最終的には平和的に解決すべきであり、6者協議に関心を持つ国も多い。(八牧浩行

■筆者プロフィール:八牧浩行

1971年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務取締役編集局長等を歴任。この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務めたほか、欧州、米国、アフリカ、中東、アジア諸国を取材。英国・サッチャー首相、中国・李鵬首相をはじめ多くの首脳と会見。東京都日中友好協会特任顧問。時事総合研究所客員研究員。著・共著に「中国危機ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外国為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。

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