八牧浩行 2017年11月23日(木) 5時20分
拡大
米国のウィリアム・ハガティ駐日大使が会見し、11月上旬の日米首脳会談で「日米FTA(自由貿易協定)を含むあらゆる選択肢を話し合った」と舞台裏を暴露。「対日貿易赤字の解消」の必要性を強調した。写真は会見する同大使。
(1 / 2 枚)
2017年11月17日、米国のウィリアム・ハガティ駐日大使が日本記者クラブで会見し、着任3カ月後の初登場で注目された。トランプ大統領と同じビジネスマンとしての経歴から、目立ったのは経済問題への言及。11月上旬の日米首脳会談で「日米FTA(自由貿易協定)を含むあらゆる選択肢を話し合った」と舞台裏を暴露し、日本側の「FTAに関する議論はしていない」との説明を一蹴した。大統領の意向を受けた形で、「対日貿易赤字の解消」の必要性を再三強調した。
【その他の写真】
ハガティ氏は日本企業進出が多いテネシー州で経済開発庁長官を務め、1980年代には東京で3年間コンサルタント会社に勤めた経験もある。会見で「とにかく一生懸命働きたい。大統領が私に与えた日本での挑戦に力を尽す」と決意を語った。
また「四半世紀前にここにいた頃、日米貿易摩擦はひどかった」と振り返りつつ、「米国第一」を掲げるトランプ大統領の目玉政策である「貿易赤字削減」の一環として日米2国間での自由貿易協定(FTA)締結の必要性に言及した。
自由貿易協定をめぐっては、オバマ政権時には、アジア太平洋の多くの国々が参加する環太平洋経済連携協定(TPP)の発効を日米で目指していた。ところがトランプ大統領はTPPは米国にとって不利になるとして、脱退を発表。代わって2国間でのFTA締結を各国に求めている。
11月6日の首脳会談について、日本側は「FTAについてやり取りはなかった」と説明したが、会談に同席したハガティ大使は記者会見の冒頭、「両首脳はFTAを含むあらゆる選択肢を話し合った」と明言。「継続する貿易赤字に対応する議論だった」と暴露した。
記者会見では、米国以外の参加11カ国が米国の復帰を待望するTPP(環太平洋連携協定)についてもトランプ氏の方針を代弁する形で、「(米国は)TPPに戻ることはない」と明言した。
一方、日米首脳会談でトランプ氏が求めた武器購入について、ハガティ大使は「結果として貿易赤字が是正されるかもしれないが、狙いは日本の安全保障のために米国の先端技術を提供することだ」と語った。(八牧浩行)
■筆者プロフィール:八牧浩行
1971年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務取締役編集局長等を歴任。この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務めたほか、欧州、米国、アフリカ、中東、アジア諸国を取材。英国・サッチャー首相、中国・李鵬首相をはじめ多くの首脳と会見。東京都日中友好協会特任顧問。時事総合研究所客員研究員。著・共著に「中国危機ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外国為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。
この記事のコメントを見る
八牧浩行
2017/10/28
Record China
2017/10/6
2017/9/7
2017/9/6
ピックアップ
we`re
RecordChina
お問い合わせ
Record China・記事へのご意見・お問い合わせはこちら
業務提携
Record Chinaへの業務提携に関するお問い合わせはこちら
この記事のコメントを見る