<点描・北京五輪>朝倉浩之の眼・最後の五輪に向け…ソフトボールを成功させよう!

Record China    2008年8月15日(金) 7時42分

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各競技で次々と金メダリストが誕生し、スタジアムは大いに沸いている。今大会でぜひ注目したい競技はソフトボール。2012年のロンドン五輪では正式種目から外れることが決まっており、今大会は一応「最後の五輪」となる。写真は12日、中国対オランダ。

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各競技で次々と金メダリストが誕生し、スタジアムは大いに沸いている。中国は、射撃の第1人者、杜麗がメダルを逃し、がっかりさせた以外は順調に有力選手がメダルを重ね、10日時点で中国の金メダルは6個でトップ。まだ米国が強い陸上が始まっていないものの、中国としては幸先のいいスタートといってもいいだろう。

さて、今大会で私がぜひ注目したい競技はソフトボールだ。2012年のロンドン五輪では正式種目から外れることが決まっており、今大会は一応「最後の五輪」。それもあって、優勝候補の米国、日本、そして比較的強い中国もかなり気合が入っている。

この大会にかける思いが強いのは、選手たちだけではない。会場の豊台ソフトボール場で大会運営にあたるスタッフ、ボランティアも同じ気持ちだ。中国では決してメジャーとはいえないソフトボール、野球だが、「最後の五輪」となれば思いは格別となる。

あるスタッフがその決意表明のとき、「この大会が成功すれば、“次の次”からソフトボールが復活するかもしれない」「IOCの人たちに素晴らしい大会を見せたい」と意気込みを語っていた。もちろん、中には「ソフトボールって何?」というレベルのボランティアもいるが、選手と一丸になって大会を成功させようという機運は盛り上がってきている。

12日、ソフトボールの第1戦が始まり、21日の決勝まで熱戦を繰り広げる。

10日は、生中継を担当するBOB(国際映像を制作する会社)のカメラ信号テストにあわせて、運営スタッフの最後のシミュレーションが行われた。

今にも雨が降りそうな天候の中、フィールドでは、ブルーの服に身を固めたボランティアたちが「選手役」をし、実際にソフトボールをやって、テストを行った。設定は、決勝戦で、米国対日本。このあたりは非常にリアルだ。

ゲーム開始の円陣から、音楽に乗って選手が登場するシーンなど、全て本番どおりに「演じる」。日本と異なり、子供のころから野球に親しむ機会がない中国では、何とも危なっかしいソフトボールだったが、一生懸命にボールをおいかけ、楽しみながら「演じて」いる様子は微笑ましい。シミュレーションでは、米国が日本に勝ち優勝。表彰式では、「選手役」たちにメダルをかけ、国旗が空にたなびいた。

試合終了後の選手取材から、記者会見の流れまでの流れも予行練習が行われ、私も急遽、日本人記者の「役」として、架空の質問をする役割を仰せつかった。

スタッフに笑顔は絶えないものの、一つ一つの動きを確認しながら、最終チェックを重ねる姿は真剣そのもの。「結果」は何となく気に入らなかったが(笑)、日本の優勝シーンは本番までとっておこう。

今日は、午前中、監督会議などが行われ、明日いよいよプレーボール。選手にとってはもちろんだが、運営スタッフにとっても試練の10日間が始まる。

私は、単なる試合の一喜一憂ではなく、一つの会場に密着して、現場にある人々の思い、苦労を一つ一つ拾って、日本の皆さんにお伝えしたいと思っている。

<注:この文章は筆者の承諾を得て個人ブログから転載したものです>

■筆者プロフィール:朝倉浩之

奈良県出身。同志社大学卒業後、民放テレビ局に入社。スポーツをメインにキャスター、ディレクターとしてスポーツ・ニュース・ドキュメンタリー等の制作・取材に関わる。現在は中国にわたり、中国スポーツの取材、執筆を行いつつ、北京の「今」をレポートする中国国際放送などの各種ラジオ番組などにも出演している。

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