Record China 2008年10月31日(金) 18時22分
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扉や仕切りのない中国式公衆便所、いわゆる「ニーハオトイレ」が絶滅の危機に瀕している。かつては社交の場でもあったというトイレだが、都市部では生活水準向上に伴い、トイレも国際仕様に変化している。写真は浙江省杭州市の公園に設置された「5つ星トイレ」。
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長く外国人旅行者を悩ませ、そのカルチャーショックが語り継がれてきた「ニーハオトイレ」。従来の中国式公衆便所には“個室”という概念が薄く、扉や仕切りの存在しない様式が一般的だった。国や民族によって「恥」の概念が異なることを痛切に感じさせるこのトイレ、用を足す者同士が対面するため「ニーハオトイレ」という俗称がついたのである。
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中国にはかつて、やたらと公衆便所が多かった。その理由は、自宅にトイレを付設しない住宅が多かったためである。これまでは、数世帯で屋外に設置した共用トイレを使用するのが一般的であった。そのため、トイレは隣近所の人たちとの交流の場としての役割すら担ったのである。この点、かつての日本の銭湯に近い部分がある。「排泄」を恥とするのか、「全裸」を恥とするのかの違いである。従って、お互いが丸見えの「ニーハオトイレ」では、連れ同士がかしましくおしゃべりしながら用を足している光景も珍しくない。
「ニーハオトイレ」は便器と便器の間を低い壁で仕切ったタイプ(扉はない)と、その仕切りすら存在しない2タイプがある。最もワイルドなスタイルは、1本の長い溝が掘られただけのもの。用水路のように水が流れる溝をまたいで事に及ぶ。複数で利用する際には、仲良く縦に並んで用を足すかたちになる。
しかし、この「古きよきニーハオトイレ」は現在、衰退の一途をたどっている。都市部では生活水準の向上に伴い、国際仕様に個室を設置したトイレが増えている。北京市では五輪開催に際し、60億円をかけて公衆トイレを大改造、旧態依然としたトイレは排除されたという。ただし、農村部ではまだまだ健在のようだ。
最後に、再びトイレにまつわる恥の概念の話。中国人は同性同士なら、排泄姿を見られたり裸を見られたりすることに抵抗がないようだが、こと異性同士となると、非常に警戒心が強い。従って、日本のレストランなどで見られるような男女兼用のトイレを使うことに、非常にカルチャーショックを受けるとも聞く。(翻訳・編集/愛玉)
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