Record China 2009年5月27日(水) 13時22分
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個人ブログ「全人類の中国分析2」は、中国メディアの盧武鉉前大統領自殺報道について、儒教の喪失により腐敗に対する本質的な批判ができなくなってしまった、と指摘した。写真は韓国大統領官邸。
2009年5月、レコードチャイナのライターによる個人ブログ「全人類の中国分析2」は、盧武鉉韓国前大統領の自殺に関する記事を掲載した。
<盧武鉉前大統領自殺>腐敗は中国も直面している問題―中国メディア
http://www.recordchina.co.jp/group/g31688.html
盧武鉉(ノ・ムヒョン)韓国前大統領が自殺したというニュースを、驚きをもって受け止めました。日本人のわたしですらそうですから、韓国人にとっては、その衝撃はどれほどのことかと思います。
各中国メディアも次々と前大統領の自殺を報道し、最近は積極的に評論も発表しているようです。
上の記事のタイトルにもあるように、「韓国だけでなく、腐敗は中国も直面している問題だ」というとらえ方をしているメディアも少なくないとのこと。
これはわたしの哲学の先生に教えられたことです。
「刑不上大夫(刑は大夫に上らず)」という言葉が礼記の中に出てきます。
その反対が「礼不上庶人(礼は庶人に上らず)」。
科挙によって高い位を得た人々(士大夫以上)には、刑罰を与えることはない。なぜなら、礼、つまり高い倫理規範を有しているはずの人々が、刑罰を受けるような行いをするはずがないからです。
それとは対照的に、庶民は、礼(倫理規範)を備えていないから、刑罰によって抑えつけるのが最良の方法だ、というわけです。
この話には続きがあります。
高官は、あらゆる刑罰を免れられる特権があるかわりに、もし倫理規範に反する行為があったならば、自害を選ばなければならない。
確固とした倫理規範が彼らの中にあるからこそ、です。
それが高官の誇りです。
韓国の前大統領は、自殺の道を選びました。
わたしは「礼記」に則ってこれを賞賛しようとは思いません。個人的には、自分の命を絶つというその行為は、生命倫理に反すると思っています。それは、生きることからの逃避でもあります。
また、大統領に罪があったかどうか、現時点では何とも言えません。
しかし、中国のメディアが「腐敗は中国も直面している問題」と報道するときに、どれだけ真剣に中国の腐敗と向き合おうとしているのかを、今、問いたいのです。
中国は儒教を捨てました。
にもかかわらず、「刑不上大夫(刑は大夫に上らず)」、そして「礼不上庶人(礼は庶人に上らず)」という考え方は、中国政治の中にそのまま残っています。
都合のいい部分だけが残っている。
高官の誇りはどこに行ったのですか。
「刑」を逃れる特権を持っている者にこそ「礼」がないというのは、皮肉という言葉では片付けられないほど、かつて儒教の大国を誇った国にとって致命的な欠陥です。
今回の韓国前大統領に関する一連の報道で、なぜ中国メディアはそこを突かないのか。
儒教を忘れてしまったからでしょう。
■「全人類の中国分析2」は、中国ニュースを材料に、情報を正しく解読することの大切さを伝える、あるレコードチャイナ・ライターのブログ。Livedoor Blogに掲載。
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