厳しい夏が本格的に到来しようとしている。酷暑を逃れ、涼しい避暑地に逃避したい気分にもなりそうだが、東西南北に広大な国土を持つ中国の人々にとっては、その選択肢は山のようにある。今特集ではそんな中国の名だたる避暑地の中でもBEST10に数えられるものを紹介する。第10回は江西省の廬山。中国ネットの編集。

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幾重にも重なりあう峻嶮な峰々。奇岩の描き出す厳しい稜線。「雄(たけだけしく)、奇(珍しく)、険(けわしく)、秀(優美な)」と形容される廬山の美しさはまさに剛健の美、男性的な魅力に満ち溢れている。最高峰は標高1474m、かつて数々の文人墨客や政府要人、高僧などが身を寄せ、文化的色彩も濃厚なことから世界文化遺産に指定され、また中国四大避暑地のひとつにも数えられている。1年に190日は霧に覆われるという降雨量の多さ、霧や雲の多さも廬山の魅力を増している。時を追ってうつろう変化に富んだ風景を見せてくれるからだ。また、泉や瀑布など水の豊かさにも恵まれ、かつて中国茶道の開祖・陸羽が「天下第一の名水」と賛美した泉もまた廬山の山中にある。

李白、白居易、陶淵明ら多くの詩人がその美を讃えた。とくに「不識廬山真面目，只縁身在此山中(廬山の真の姿が分からないのは、自分自身が廬山の山中にいるからである)」(蘇東坡)という一節が有名。こうした「山水詩」のほかに山水画の発祥の地としても知られ、中国芸術を代表し中華民族の精神的支柱となっている山水文化の揺りかごとなった。また、中国仏教が生まれた東林寺をはじめ仏教寺院が360か所、道教寺院が200か所点在し、聖山としての威厳も放っている。(翻訳・編集/愛玉)