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<中国気になる話>「廃油」は西へ向かう=貧乏人が「下水油」を食べさせられる中国のエコシステム

Record China    2010年8月10日(火) 15時6分

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2010年8月、レコードチャイナのライターによるブログ「Kinbricks now」は、中国で最近目立つ北京ダック「廃油」バッシングについて取り上げた。写真は今年6月、河北省石家庄市で摘発された「地溝油」製造工場。

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2010年8月、レコードチャイナのライターによるブログ「Kinbricks now」は、中国で最近目立つ北京ダック「廃油」バッシングについて取り上げた。

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最近、中国では北京ダック製造過程で出る「廃油」の再利用が話題となっている。日本でも「屋台の食事にご用心!毎月500キロの発がん性『廃油』が市民の胃袋に―江蘇省宿遷市」(2010年8月8日付レコードチャイナ)という記事が話題を集めた。中国のニュースサイトを見ると、「寧波の北京ダック店は『鴨油』販売を継続=政府機関は禁止を法制化するべきだ」(8月9日付人民網)などという記事もあり、まだ鴨油(北京ダックをあぶった際にしたたり落ちる油)バッシングは続いているようだ。

だが、突然の「鴨油」バッシングには正直、驚いた。そもそも北京ダックに使う鴨の油は最高の食材だったはず。一部の北京ダック店では、「鴨油焼餅」(焼餅は小麦粉を発酵させ薄くのばし、油を塗って焼いたもの)という料理を出していたほどだ。どうやら高温で加熱された鴨油はベンゾピレンなどの発がん性物質を含む、ゴミなどが混入する危険が多いというのがバッシングの理由らしい。確かに健康にはよくないのかもしれないが、今までおいしく食べていたものをいきなり「廃油」(原文では「ゴミ油」)呼ばわりはひどいのではないか。

8月7日付レコードチャイナでは、「宿遷市人民医院の栄養学専門家である朱秋霞(ジュー・チウシア)氏は、北京ダックの油は『地溝油(下水油)』以上に危険だと懸念している」と紹介されていたが、果たしてそうだろうか。素人考えだが、発がん性があるとはいえ長年食べてきた鴨油と比べれば、素人考えでは「地溝油」のほうがよっぽど恐ろしいように感じる。

「地溝油」というと、字面からして「下水からすくいあげてきた油」のことだと思っている人もいるようだが、それは正確ではない。

「地溝油は実際には広範な概念で、生活の中に存在するさまざまな品質の悪い油の総称。以下、3種類に分類できる。(1)狭義の地溝油。すなわち下水道に浮かんでいる浮遊物やホテル、レストランの残飯を加工し、製造した油(2)品質の悪い豚肉、ブタの内臓、ブタ皮から製造された油(3)揚げ物用の油として何回も使った後に、新しい油と混ぜて使われる物」(百度百科より)

私が聞いた話では、特に(3)の一度使用された油の再利用が多いようだ。高級レストランから庶民のレストラン、そして屋台へ。あるいは上海など東部沿海地域から中部、そして西部へという、いわば油のエコシステムのようなものがあるという。レストランの油が信用できないため、自分で油を持ち込む人が増えているという報道もあったほどだ(2007年5月18日付レコードチャイナ)。

さて、私が日本で通っていた大学の近くに学生御用達の定食屋があった。揚げ物が売りなのだが、日によってトンカツの色が全然違う。油を変えたばかりの日は輝く薄黄色だが、日が経つとどす黒いカツが出てくる。いつ油を変えるか、統計的に読み取れないものかと同級生と馬鹿話をしたことを覚えている。

こうしたことは中国では起きないのかもしれない。格安レストランは最初から使用済み油を使っているため、いつでもどす黒いカツが出てくるという寸法だ。勘弁してほしいと思わないでもないが、よくもまあそこまでコスト削減を徹底するものだと感心もする。

逆に中国の視点に立てば、日本の高級店でまだ使えるうちに捨てられる油はどこに行くのかが気になる。そのまま捨てられるのか、あるいはどこかで再利用されているのか。

レストランで使われる油の行方。そこから日中両国の社会と国民性の違いが透けて見えるように思える。(筆者:chinanews)

■中国在住経験を持つ翻訳者Chinanews氏は、ニュースサイト「Kinbricks now」「21世紀中国ニュース」を運営。ネットの流行から社会事情、事件、スポーツ、芸能など中国関連のトピックを幅広く紹介している。

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