先進国経済が政治機能不全で大変調―中国など新興国が今回も「救世主」になるか

Record China    2011年8月11日(木) 15時43分

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米国債の格付け引き下げ、欧州の債務危機、日本の復興財源議論の迷走。日米欧で進行中の一連の世界経済危機の背景には、政治の機能不全がある。写真は株価急落を伝える証券会社電光掲示板を心配そうに見る人たち(8月11日、東京都内で)。

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米国での国債発行上限をめぐる議会での混乱と米国債の格付け引き下げ、欧州の債務危機、そして日本の復興財源議論の迷走。日米欧で進行中の一連の出来事の背景には、政治の機能不全がある。このままでは世界経済がより激しい乱気流に突入しかねない。

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米国債は長く世界で最も安全な金融資産とされてきたが、大手格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が初めて引き下げた。これを受け、株式市場を中心に世界経済が震憾している。米国債への不信、収まらない欧州の債務問題、歴史的な円高ドル安など弱材料には事欠かない。投資家は米国債のリスクが高まった分、もっと危ない投資対象を減らしており、株式や格付けの低い債券に影響している。

日米欧の先進国は、市場からの圧力に耐え、景気悪化を防ぎ、しかも財政再建を進めなければならない。(1)先進主要国が腰を据えて団結し合えるか(2)中国など新興国の協力が得られるか―が課題となる。2008年のリーマンショックに端を発した世界同時不況の際は、中国の即効的な巨額財政支出が救世主となり、「100年に一度の大今恐慌」を脱した。

欧州、米国、日本で景況感を示す指数が再び悪化。企業や家計が警戒を一段と強めている。欧州では、ユーロ圏の一部諸国で債務危機が拡大。EU(欧州連合)は債務危機に陥った国々に対し、複数回の巨額支援や国民の痛みを伴う経済的犠牲を強いているにもかかわらず、適切に対応できていない。

米国でも政治の機能不全がまん延。前例のない財政・金融面での刺激策にもかかわらず、経済は依然として伸び悩み、失業率も憂慮すべき水準で高止まりしている。今後も財政の悪化が続く見込みで、政治家が財政赤字の上限をどこまで拡大すべきか「小田原評定」を続け、米国債格付けの引き下げにつながった。

日本は引き続き経済の低迷が続いている。大地震・大津波、そして長引く原発事故の発生から5カ月が経過したのに、抜本的な包括復興計画はまだ着手されていない。経済的な不確実性は、多年にわたる経済成長の低迷と公的債務悪化という構造をさらに深刻化させつつある。

先進国が直面しているのが大きく変動するグローバル経済。中国をはじめとする新興諸国が高度経済成長過程にある中で、日米欧の政治家の優柔不断さが混乱に拍車を掛けている。構造的改革が最優先課題だが、直近の痛みを伴うため、手を付けない傾向が強い。次の選挙までの任期が短ければ、なおさらである。混沌とした状況下の今こそ「政治」に与えられた使命は大きく、強いリーダーシップが求められる。(取材・編集/HY)

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