福岡旅行で感じた日本人と中国人の「親切」の違い―中国人学生

日本僑報社    2018年3月4日(日) 13時0分

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同済大学の呉佩遙さんは日本の商店街でのある出会いについて、作文につづっている。資料写真。

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日本を訪れる中国人観光客たちは、以前のように都会を巡るツアー旅行でショッピング三昧というスタイルから、現地の文化体験・地元住民との交流へとその趣向をシフトしている。日本人の実生活を肌で感じたいという人も増え、ディープなところに足を踏み入れる人も少なくないようだ。同済大学の呉佩遙さんは日本の商店街でのある出会いについて、作文に次のようにつづっている。

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私は夜の人情社会を体験しようと思った。なぜかというと、『深夜食堂』という日本のドラマから感銘を受けたからだ。「一日が終わり、人々が家路へ急ぐころ、俺の一日が始まる」というセリフは、いかにも温かみが感じられる言葉だと思われた。目の前に一日の仕事を終えた人々が、お酒を酌み交わし、楽しく語らう光景が広がった。このセリフに引きつけられた私は、日本の夜の人情を実際に体験するために、福岡への旅に出た。屋台や居酒屋、商店街などで人々との出会いの中から、「一期一会」の真の意味を実感することができた。

一番印象に残ったのはある居酒屋でのことである。靴を脱ぎ、丁寧に揃えている時、ちらりと見ると、奥の席でお年寄り三人が話をしていた。和やかな雰囲気だった。チーズをのせたお好み焼きを味わいながら、店員さんと話しているところに、一人のお年寄りがやってきて、私に話しかけた。「中国の学生さんですか。長旅、大変だったね」と、まるで隣に住んでいるおばあさんのような口調で、都会の人によく見られるよそよそしさとは正反対だ。

私は最初、こんな親切な態度に慣れていないせいか、びっくりして話し方もぎこちなかった。だが、だんだんその緊張感も失せ、おばあさんと楽しく話せるようになった。おばあさんは私を自分の席まで誘い、福岡の方言や名物、そして、急に話題を変え、自分の若い頃のことをいろいろ教えてくれた。11時近くになると、「お会いできて、嬉しいです」と言い、私にお辞儀をして帰っていった。それっきりで、このおばあさんと二度と会うことはなかった。この忘れがたい出会いの中で、私は自分なりに日本での旅行を満喫した。

サービス業での礼儀作法を通して世界中に認められた日本では、ごく普通の商店街も温かい人情の魅力に溢れていることがわかった。それは、おばあさんと出会ってから三日後のことであった。名も知らぬ商店街をぶらぶら散歩していた時、「田中時計屋」(正式名称は「タナカ時計店」)というお店に気づいた。ウインドー越しに見ると、色彩の鮮やかな折り紙人形があちこち並べられていた。中に入ると、「いらっしゃいませ」と言いながら、一人のおじいさんがにこにこして椅子から立ち上がった。足が不便そうで、そのまま立って私に話しかけた。時計屋をやっているが、折り紙のほうに興味を持っており、息子さんもいま「折り紙の芸術家」という身分で、世界を舞台にして活躍しているという。二十分ぐらい話すと、ふと何かを思い出したように、「折り紙、教えようか」と、田中さんは言った。

それから、五、六枚の色紙を引き出しの中から取り出した。服からズボン、それに、船や傘など、覚えやすいものの折り方を口で説明しつつ、ゆっくりと折って見せた。おかげで、さすがに手先が不器用な私でも、本物っぽいものを折ることができた。帰り際に、田中さんは「かぶと」と「蝶々結び」の折り紙をくれた。そして、「人に喜んでもらうのは折り紙の一番の楽しさだ」と言わんばかりに、満足そうに笑った。

中国人もよく「親切」と言われているが、私に言わせれば、中国人の親切さは「相手を家のお客さんとして扱う」というものであり、日本人のそれは「相手を隣人として扱う」、そよ風のようなものである。「爆買い」以外に、日本への旅でこんな親切さを感じることもできる。これによって、中日間に横たわる「壁」も少しずつ取り払われていくのではないだろうか。人と人との関係に国境はない。「人情」にも国境はない。(編集/北田

※本文は、第十二回中国人の日本語作文コンクール受賞作品集「訪日中国人『爆買い』以外にできること」(段躍中編、日本僑報社、2016年)より、呉佩遙さん(同済大学)の作品「日本の人情社会―人情に国境はない―」を編集したものです。文中の表現は基本的に原文のまま記載しています。なお、作文は日本僑報社の許可を得て掲載しています。

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