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「日本人が酒の席ごときで舐められたらアカン!」―中国人の酒宴に呼ばれるたびにといらん底意地を見せ、倒れる寸前まで飲んでいた私。彼らの流儀に慣れるにしたがって、遠慮や配慮のなさにに心地よささえ感じるようになっていた。資料写真。
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※中国に渡って10年。現在、「中国で最も有名な日本人俳優」と称される矢野浩二氏によるコラム。
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間もなく中国では春節(旧正月=2012年は1月23日)に入る。1年のうちで中国が最も盛り上がる時期。各家庭では家族や親せきが一堂に集まり食事やお酒を飲んで新年を祝う。異国から来た私たち外国人にとってはある意味、孤独感を思い知らされる時期でもある。
北京に来たばかりの頃、旧正月期間に独りで家に閉じこもっていた私を、そんな団らんの席に引っ張り出してくれた中国の友人は少なくない。何かと気を遣ってくれる彼らは、「食べて食べて!」としきりに食事を勧める。一番困るのは、「浩二、飲め」と言って、やたらと酒を注いでくることだ。
「日本人が酒の席ごときでなめられたらアカン!」といらん底意地を見せ、倒れる寸前まで飲む。やがて限界が来て、つぎ足される酒を断るようになると、彼らは「どこか具合でも悪いのか?」と本気で心配し始める。そこで「いいや、そんなことはない」と返そうものなら、「じゃあ、飲め」と宴は朝まで延々と続くことになるのだ。
毎年、この時期になると宴の最後は便器を抱きながらのた打ち回るハメになる。彼らは気前よく酒を勧めることで日本人である私にも好意を示し、心を温めてくれているのだ、そう思う部分がこちらにはある。さらに、彼らの無遠慮さや配慮の無さに、私は「彼らの仲間だと認めてもらえたのだ」とも実感していた。そう、彼ら中国人の人付き合いには、 “遠慮が美徳”という日本の概念は通用しないのだ。
当初こそ勝手の違いに戸惑ったものだが、個人的に言えば、彼らの流儀に慣れるにしたがって、こうしたやり方に心地よささえ感じるようになっていた。礼儀や奥ゆかしさとは無縁かもしれないが、関西人でO型で大ざっぱな性格の私には、それが妙にハマったのかもしれない。それは、大陸気質とでもいうのか、50を越える多民族で構成された13億人を抱える大陸の果てしない度量の一端に違いないと思えたからかもしれない。
●矢野浩二(やの・こうじ)
バーテンダー、俳優の運転手兼付き人を経てTVドラマのエキストラに。2000年、中国ドラマ「永遠の恋人(原題:永恒恋人)」に出演し、翌年に渡中。中国現地のドラマや映画に多数出演するほか、トップ人気のバラエティー番組「天天向上」レギュラーを務める。現在、中国で最も有名な日本人俳優。2011年、中国共産党機関紙・人民日報傘下の「環球時報」主催「2010 Awards of the year」で最優秀外国人俳優賞を日本人として初受賞。中国での活動10年となる同年10月、自叙伝「大陸俳優 中国に愛された男」(ヨシモトブックス)を出版。
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