2018年3月16日、中国共産党系の環球時報が中国版ツイッター・微博（ウェイボー）のアカウントで「台湾漁民が釣魚島（日本名：尖閣諸島）付近で中国本土に助けを求める映像」を公開した。

動画は漁船内で撮影されたものとみられ、台湾漁民とされる乗組員と広州市の当局者とされる人物の無線のやり取りが記録されている。記事によると、漁民が尖閣諸島は中国の管轄範囲に含まれるかと尋ねると、中国側は「その通りです」と応じた。さらに漁民が尖閣諸島の海域で中国に救援を求めてもよいかと尋ねると、「どの海域でどんなことが起きても救援を求めて構わない」との返答があったという。

人民日報海外版の海外網は、台湾漁民とされる人物が映像の中で「中国本土の漁民もいるから日本人は追い払いに来られない」などと話していると指摘。「日本側に妨害された台湾漁民が中国側に助けを求めている映像」だとしている。

一方で、この映像を取り上げた台湾・アップルデイリーは中国メディアの報じ方を客観的に紹介した上で、「映像は最近撮影されたものとされているが、台湾漁船がなぜ救援を求めたのか、その後、本当に救援を受けたのかは定かではない」と伝えている。

アップルデイリーの記事には台湾のネットユーザーから多くのコメントが書き込まれており、「本当なのか？うそであってほしい。我が中華民国は自国の漁船を守れないばかりか中国に助けを求めるとは」といった声がある一方、「どこから台湾漁船だということが分かるのか」「中国人と在台中国人がいいかげんなことをしているだけ」という指摘も出ている。

一方、中国では複数のメディアが微博アカウントでこの映像を転載しているものの、コメントの閲覧や投稿には制限がかけられている模様。確認できるネットユーザーのコメントは、「（映像の中の）後ろで聞こえる笑い声は一体何だ？」「船に乗っている人のいたずらみたいに見えるけど」というもので、やはり疑問を抱いている様子がうかがえる。（翻訳・編集/北田）