Record China 2012年1月31日(火) 9時11分
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中国に渡って10年。中国で最も有名な日本人俳優と称される矢野浩二氏は、「今後の中国エンタテインメント界は、インターネットが支配するかもしれない」と考えている。写真左から2番目が矢野氏。
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※中国に渡って10年。現在、「中国で最も有名な日本人俳優」と称される矢野浩二氏によるコラム。
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最近、日本のテレビのインタビューで「中国で成功された矢野さん」というふうに言っていただける。しかし、“成功”というのはいったい何なのだろうか?
途中経過のある一点を成功と呼ぶならば、その状態に至るのは簡単ではないが、不可能でもない。本当の意味での成功というのは、最後の最後に“最高の自分”と言える状態でいることかもしれない。だとすると、よく言われる“成功”というのは、「不確かな、あてにならないもの」と思ってしまう。ただ、この11年、中国で定住しながら今日までやってこられたことに関しては、自分でも「よくやれたかな」とは思う。
話は変わり、ここ数年でバラエティ番組の露出も増え、そこから認知度を上げつつある私だが、やはり戦争もののドラマを通して私の存在を知ってくれている視聴者層も少なくはない。特に、インターネットから縁遠い50〜80歳代の方々はそうだ。8年前の作品なので「もう再放送はやめてくれ」と言いたいが、「小兵ジャンガー」という抗日戦争を題材にしたドラマもそのひとつだ。年がら年中再放送していたため、幼児から大人までが知るドラマである。矢野の出演作と聞いて、これだと答える人は少なくない。
そこへ台頭してきたのがインターネットである。中国のインターネット人口は日本の5倍強、アメリカの2.5倍の5億2000万人に迫る勢いだ。(法体制をかいくぐりつつではあるが)今や日本の着うた市場をはるかに凌ぐヒットが生まれ、ネット小説もネット・ドラマも猛烈な勢いで伸びている。今後の中国エンタテインメント界は、インターネットが支配するかもしれない。
私が現在撮影中の、商社を舞台にしたドラマ「浮沈」も国内で大ヒットしたインターネット小説のドラマ化作品である。メディアが変遷したとしても、今も、これからも、ただただよい作品と出会い、懸命に演技に集中していたいと思う。そしてあくまで“生の仕事”を通じ、生活上の疑問やメッセージを日中国の視聴者に伝えていければと思う。最後に“最高の自分”を築き上げるためにも。
●矢野浩二(やの・こうじ)
バーテンダー、俳優の運転手兼付き人を経てTVドラマのエキストラに。2000年、中国ドラマ「永遠の恋人(原題:永恒恋人)」に出演し、翌年に渡中。中国現地のドラマや映画に多数出演するほか、トップ人気のバラエティー番組「天天向上」レギュラーを務める。現在、中国で最も有名な日本人俳優。2011年、中国共産党機関紙・人民日報傘下の「環球時報」主催「2010 Awards of the year」で最優秀外国人俳優賞を日本人として初受賞。中国での活動10年となる同年10月、自叙伝「大陸俳優 中国に愛された男」(ヨシモトブックス)を出版。
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