<コラム>日本のテロ対策、甘すぎないか…新幹線利用で「荷物検査不要」に中国人は驚き

如月隼人    2018年4月9日(月) 19時40分

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先日、東京・上野の国立博物館に出かけた。人気のある特別展で、会場の外も中も、人、人、人。そして驚いたことがあった。これだけ人が集まるイベントなのに、所持品の検査はなし。もし、テロ犯に狙われたらどうなるのか。怖くなった。資料写真。

先日、東京・上野の国立博物館に出かけた。人気のある特別展で、約2時間もまたされた。会場の外も中も、人、人、人。そして驚いたことがあった。これだけ人が集まるイベントなのに、所持品の検査はなし。もし、テロ犯に狙われたらどうなるのか。怖くなった。

新幹線火災事故、本当に教訓を得ることができたのか

世界中でテロ事件、あるいは思想的背景が特になくても銃乱射などが発生している。日本でも以前に比べれば警戒の度合いは高まったが、まだ甘すぎるのではないだろうか。

思い出すのは2015年6月に発生した東海道新幹線火災事故だ。71歳の男が車内に持ち込んだガソリンをかぶりライターで点火。男は焼死し、女性1人が巻き添えで死亡した。この事件を機に、新幹線の利用時にも航空機利用と同様の手荷物検査が必要ではないかとの議論が発生したが、結局は下火になってしまった。新幹線の膨大な利用客数を考えると、検査スペースの確保は現実的でないとの考えが主流になったという。

しかしそれでよいのか。JR東日本は3日、今年度以降に新造するすべての車両などに防犯カメラを設置すると発表した。一歩前進とは言える。ただ、防犯カメラで周到に準備された凶悪犯罪をきちんと防げるのか。テロなどが発生した場合、事件後に容疑者を逮捕できたとしても犠牲者は戻ってこない。

▼中国人は「新幹線利用に手荷物検査はなし」に驚く

ここで中国の事情を考えてみる。列車利用の際の手荷物検査は常識だ。乗車券購入の際にも乗車の際にも公安(警察)が発行する身分証の提示を求められる。身分証の提示には、乗車券の転売、つまりダフ屋行為を防止する意味もあるが、安全性の向上に役立っていることは間違いない。

中国では2015年の新幹線火災事故をきっかけに「新幹線利用で手荷物検査がない」と紹介する文章が盛んに発表された。このことは、高速鉄道利用に際して安全検査が行われていないことに中国人が驚いたことを意味する。その後も時おり、手荷物検査がない理由の説明を試みる文章が発表されることがあるが、結局のところ「日本の治安は極めてよい」程度の結論であることが多いようだ。

中国の場合、個人のプライバシーなどよりも社会の秩序維持が優先される傾向が強いので、「人民の管理」はさらに突出している。例えば、街頭での大量の監視カメラ設置だ。顔認識とも組み合わせ、「だれが、いつどこで、何をしているのか」の情報も割り出すことができる。一部地域では、信号無視をして車道を横断した人物を街頭のモニターに表示する「さらし者の刑」を実施しているほどだ。

▼中国のような「監視社会」は望まないが、日本の「緩さ」も気になる

日本にそこまでの「監視社会」になってほしいとは思わない。ただ、中国や中国人について調べ、「日本は違うな」と思える場合、改めて考えてみるとどちらも極端であると感じる場合が多いのだ。「公共の場における安全の確保」は典型的な例のひとつで、中国の監視体制も極端に強力だが、日本の「緩さ」も気になる。

日本の防止策の緩さは「自分がテロ実行犯」になったつもりで街を歩くとよく分かる。冒頭に挙げたようなイベント、多くの人が利用する商業施設や鉄道の駅などだ。もちろん警察官や警備員などが目を配っている。しかし「もし自分が爆弾を持っていて、ここで爆発させたら周囲の人は全滅だろうな」と思える状況は、あまりにも多い。

繰り返すが、テロへの対策は発生してからでは遅い。日本ではオウム真理教サリン事件も発生しているが、その経験はきちんと生かされているのか。2020年の東京オリンピックでは多くの外国人客の訪日が見込まれている。心からの「おもてなし」に努めたいところだが、「悪意ある招かざる客」が皆無とは言えない。対策は万全なのだろうか。こういった思いが杞憂に終わればよいと、心から願っている。

■筆者プロフィール:如月隼人

日本では数学とその他の科学分野を勉強したが、何を考えたか北京に留学して民族音楽理論を専攻。日本に戻ってからは食べるために編集記者を稼業とするようになり、ついのめりこむ。「中国の空気」を読者の皆様に感じていただきたいとの想いで、「爆発」、「それっ」などのシリーズ記事を執筆。

■筆者プロフィール:如月隼人

1958年生まれ、東京出身。東京大学教養学部基礎科学科卒。日本では数学とその他の科学分野を勉強し、その後は北京に留学して民族音楽理論を専攻。日本に戻ってからは食べるために編集記者を稼業とするようになり、ついのめりこむ。毎日せっせとインターネットで記事を発表する。「中国の空気」を読者の皆様に感じていただきたいとの想いで、「爆発」、「それっ」などのシリーズ記事を執筆。中国については嫌悪でも惑溺でもなく、「言いたいことを言っておくのが自分にとっても相手にとっても結局は得」が信条。硬軟取り混ぜて幅広く情報を発信。

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