＜特集＞ハッピー・チャイニーズ・ニュー・イヤー「恋人レンタルサービス」（2）

中国正月の帰省を控え、恋人のいない汪（ワン）さんは「レンタル恋人」と一緒に里帰りすることを思いついた。早速汪さんは、インターネット上の紹介記事の指示に従って、「お正月に彼女募集！」というタイトルで次のような書き込みをした。

【その他の写真】

●勤務地：ハルビン

●勤務期間：2月16日〜2月23日

●勤務内容：彼女として付き合うこと。（セクハラ行為など、危険行為は一切無し）

●報酬：1000元

●その他：期間中のすべての交通費や食泊代はこちらで負担

●条件：容姿端麗、上品で優しい女性、できれば料理が得意な人

●注意事項：勤務地のハルビンはマイナス20℃と寒いので、その気候に合わせた冬服を準備してほしい、食事は麺類中心なので、慣れない人は予め心構えをしてほしい

これに加えて、連絡先として自分のメールアドレスを掲示板に残した。

書き込みから数日が経ち、なんと数人から連絡が入った。汪さんはその中から、張（チャン）さんを選んだ。大学を卒業して学歴もある張さんは、現在は会社員。東北出身のため、ハルビンの気候も心配ない。そして彼女に決めた一番の理由は、「料理が得意」ということだった。

出発を翌日に控えた2月15日夜、簡単な打ち合わせをするため、2人は初めて顔を合わせた。現在28歳の張さんは、想像以上の美人で、幼い頃に離婚した両親はそれぞれ再婚し、今はひとり暮らしで正月の予定が特にないという。どうやって長い休みを過ごそうか考えていたことろ、掲示板の書き込みに新鮮さを感じ、応募を決めた、と汪さんに話した。

翌16日、恋人として広州からハルビンへ飛んだ2人。打ち合わせ通りに、張さんは汪さんの恋人になりきって、いとこの結婚式に同席した。張さんを見た親戚や友人たちは、汪さんをうらやましがり、「いつ結婚するの？　式には招待してね！」と話しかけてきた。張さんは、「まだわかりません」と答え、答えられない質問の時は笑顔で汪さんの顔を見た。すべて打ち合わせ通りだった。

汪さんは「もっと会社を大きくしてから結婚するよ！」と落ち着いて答え、大勢の前で恋人同士を演じるという、2人だけが知っている見せ場は、誰からも疑われることなく幕を閉じた。（編集・饒波 貴子）