人民網日本語版 2018年7月21日(土) 7時30分
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日本で6月中旬に施行された「住宅宿泊事業法」(民泊新法)が、引き続き日本の夏休み観光市場に影響を与えている。資料写真。
日本で6月中旬に施行された「住宅宿泊事業法」(民泊新法)が、引き続き日本の夏休み観光市場に影響を与えている。日本の風土や人情をじっくり体験するため、民泊施設に泊まるのが中国人観光客の新たな選択肢になっている。だが「新法」により、民泊仲介サイトの中には「無届け民泊施設」となって掲載をやめた施設が約8割に上るところもあり、夏に日本に行けば泊まるところがない可能性もある。環球時報が伝えた。
■「無届け民泊施設」にダブルパンチ
民泊ビジネスはこれまで日本ではグレーゾーンで、法律や条令に規制されることはなかった。空き室があって、空きベッドさえあれば、ネットを通じて短期賃貸に出すことができ、オーナーは収入を得られるし、繁忙期のホテル不足問題も解決できた。このように一挙両得にみえる民泊ビジネスだが、監督管理が不十分なことから、安全に関わる問題も生じる。たとえば男性のオーナーが女性客を盗撮する、わいせつ行為に及ぶといったケース。宿泊者が正当な理由もなく部屋の住人に「不法侵入」と断定され、巨額の「罰金」を要求されるケースがあった。犯罪者が民泊施設で麻薬の取引をしていたという大きな問題も起きた。
こうした背景の下、日本政府は昨年に「住宅宿泊事業法案」を閣議決定し、今年6月15日に施行した。「新法」の規定によると、民泊ビジネスを行おうとする者は都道府県知事等に届け出を行い、登録を受けて届出番号を記した標識を届出住宅に掲げなければならない。そうしなければ違法行為となる。また、「新法」はホテルと区別するため、年間の営業日数の上限を180日(泊)と規定する。米ニュースサイト・ビジネスインサイダーによると、ある民泊仲介サイトは民泊施設6万2000件を掲載していたのが、ほぼ一夜にして4万8000件の掲載を取りやめることになり、施設が約80%減少と激減したという。日本の観光庁がまとめたデータでは、6月8日現在、届出の申請書を提出した施設は2707件にとどまり、合法的施設が減少を続けているという。
■民泊のハードルが上昇
鄭芳茹さんは北海道で経営する3軒のホテルを対外的に開放しており、民泊ビジネスとしては届出を申請している段階で、来月には届出番号を取得する見込みだ。鄭さんが発信する動画と写真をみると、民泊施設の部屋は非常に広々としており、コンパクトさを売りにする日本のホテルよりも大きくゴージャスで、アジアムードと西洋ムードを兼ね備え、きれいで清潔だ。浴室、キッチンからキッチン用品、トイレマットに至るまで、なんでもそろっている。鄭さんは、「必要な設備を整えるのに大体50万円くらいかかった」と話す。「新法」施行前には、在日の中国人でこのようなビジネスを手がけたいとする人が大勢いた。中国人のオーナーは中国人客が何を求めているかをよく知っており、よいよいサービスを提供したいという思いも強いため、いろいろな点で日本人オーナーよりもうまくやることができる。
実際、日本での民泊の急速発展は背後にある管理代行会社と切り離せない。民泊を経営するなら、相当の時間を費やしてネットで世界中の顧客とやりとりする必要があり、人気サイトでの宣伝活動も必要で、オーナーは時間的にも、体力的にも、また外国語のレベルという点でも大きな試練に立ち向かわなければならない。そこで機に乗じて管理代行会社が誕生した。
在日中国人の王海琳さんは以前、民泊施設管理代行会社を経営し、東京エリアで約500件の施設を管理していた。王さんは「日本政府の規定に従って民泊施設の届出を申請するのはそれほど大変なことではない。ネットに手続きの流れも詳しく説明されているし、大量の文書や資料を準備するだけでのことで、オーナーに時間がないなら管理代行会社に委託すればよい」と振り返る。
王さんは続けて、「届出の最大の難関は、民泊施設が条件に合致しているかどうかだ。前はとりあえず空き部屋があれば貸し出すことができたが、今はその施設が商業地にあるのか、住宅地にあるのか、周辺に学校があるかどうか、施設の入った建物の管理組合が許可するかどうかなど、一連の具体的な条件をクリアしなければならなくなった。管理組合が許可しなければ、申請しても届出番号をもらうことはできない。その上、毎年の営業日数が180日(泊)までとされたこともオーナーの積極性をくじくことになった。地域によっては『新法』に加えて個別の条例を定めるところもあり、たとえば住宅地にある民泊施設の営業日を土曜日午後から日曜日までと限るところもあり、これでは資金と体力・気力を注いで民泊ビジネスに取り組む意味がほとんどなくなる。こうした新規定は日本の民泊ビジネスにとって致命的な打撃だといえる」と話す。王さん自身はさまざまな点を考慮して、民泊ビジネスから手を引くことにしたという。
王さんのケースはまれなものではなく、日本人のオーナーで同じ選択をした人も多い。大阪で民泊ビジネスを手がけていた山田さんは、「空き部屋を長期賃貸に出した場合のリターン率は毎年大体4~5%だが、短期賃貸なら10~12%になる。新たに『民泊新法』が打ち出されて、毎年半年間は施設を空き部屋にしておかなければならなくなったので、いろいろ検討して、民泊はやめて長期賃貸に出すことにした」と話す。
■立地がよければもうかる
日本政府は2020年の東京五輪開催時に、訪日外国人観光客がのべ4000万人に達すると見込む。ほとんどの都市がホテルの供給不足問題を抱え、民泊ビジネスからの撤退が相次ぐ今、民泊市場には巨大なビジネスチャンスが潜在しているともいえる。
王さんは、「民泊施設なら何でももうかるわけではない。立地がすべてだ」と言う。「場所がよくて、交通が便利な部屋はリターン率が高く、利用率も70~80%に達する。閑散期と繁忙期に合わせてうまく調整できれば、一月のうち最低でも22日は予約でいっぱいにすることができる。これならもうけられる。前に手がけた東京の新宿エリアや渋谷エリアの部屋はよく利益を出していた。こういった地名は検索頻度が高く、利用者が民泊施設を目にする機会も多い。外国人が検索しないようなエリアの民泊施設は、利用者の注意を引くことができない。立地がわかれば、その施設のリターン率は大体わかる。オーナーの中には長期賃貸より短期賃貸の方が割に合うと率直に話す人もいる」という。
実際、東京をはじめとする日本の人気エリアの民泊資源はすでに「顧客争奪戦」が始まっている。王さんは日本の民泊市場に進出を考える中国企業に対し、「十分な資本を準備することが必要」とアドバイスする。次に必要なのは、「『民泊新法』に基づいて民泊施設が申請条件に合っているかどうか確認すること」だ。「『民泊新法』は民泊施設に必要なものは特に規定しないが、建物の持ち主の許可が必要だとし、さらに消防施設や衛生環境をめぐっても厳格な要求を打ち出しているからだ」という。(提供/人民網日本語版・編集/KS)
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