人民網日本語版 2018年7月20日(金) 17時10分
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安倍晋三首相、欧州連合の欧州理事会のドナルド・トゥスク議長と欧州委員会のジャン=クロード・ユンケル委員長は17日、東京の首相官邸で経済連携協定(EPA)に調印した。資料写真。
安倍晋三首相、欧州連合(EU)の欧州理事会のドナルド・トゥスク議長と欧州委員会のジャン=クロード・ユンケル委員長は17日、東京の首相官邸で経済連携協定(EPA)に調印した。これにより、世界最大規模の自由貿易圏が誕生することになった。米国抜きの環太平洋経済連携協定(TPP11、CRTPP)も急ピッチで進展している。世界規模の関税戦争が米国の同盟国の心をくじき、米国の予想した流れとは逆の方向に向かって誕生したこの超級経済圏は、トランプ政権への第一撃になる可能性がある。北京商報が伝えた。
■超級経済圏
EPAの調印により、国内総生産(GDP)で世界の約30%を占める自由貿易圏が誕生する。貿易額では世界の40%を占めており、EPAは世界最大規模の貿易協定の座に軽々と登り詰めることになる。
同協定に基づき、EUは日本からの輸入品の約99%の関税を撤廃し、これには主に自動車とテレビが含まれる。日本はEUからの輸入品の約94%の関税を撤廃し、主にチーズ、ワイン、農林水産品、鉱工業製品が含まれ、今後数年で撤廃率を99%まで引き上げる予定だ。
日本とEUの貿易協力が生み出すのはウィンウィンの局面だ。日本はEPAによってGDPが1%増加し、29万人の雇用が生まれると予想する。EUはEPAによって輸出企業のコストを毎年10億ユーロ(約1313億円)削減でき、加盟国の対日商品・サービス輸出を徐々に拡大できると見込む。
実際、日・EUは5年前から「連携」に意欲を見せていた。昨年7月にトランプ米大統領が保護貿易主義の傾向を鮮明に打ち出すようになると、EPA交渉は大枠で合意した。そして今、17日に調印されたEPAは発効まであと一歩のところまで来ており、日本の国会とEU各加盟国の政府・議会が承認すれば発効する。すべて順調にいけば、2019年に発効する見込みだ。
■CRTPPは徐々に進行
この2日間、日本は大忙しだった。EPAの調印が終わったと思ったら、一息つく暇もなく、翌日には「包括的および先進的環太平洋経済連携協定」(CRTPP)の交渉のテーブルに着いた。NHKの報道によると、米国を除くTPPの参加11カ国は18日、神奈川県箱根町で首席交渉官会合を開いた。
協定の規定によると、11カ国のうち6カ国が国内手続きを終わらせれば、TPPは60日後に自動的に発効する。すでにメキシコと日本が国内手続きを終えており、日本は予定通り2019年に発効することを目指す。このCRTPPは明確なシグナルを発している。「一致団結して自由貿易を推進し、保護貿易主義的政策をとるトランプ政権を牽制する」というシグナルだ。
経済に正しい軌道を外れる「オフ・トラッキング」はあり得ず、グローバル化が主旋律であることは変わらない。日本を取り巻く地域では、CRTPPだけでなく、ペルー・オーストラリア自由貿易協定(PAFTA)や太平洋同盟といった複数の多国間貿易交渉が平行して進められている。日・EU間の協定調印にしろ、CRTPPの交渉加速にしろ、そこには日本の影が色濃く差している。
中国社会科学院日本研究所の張季風(ジャン・ジーフォン)所長は、「CRTPPとEPAは同時進行で進められている。CRTPPをみると、トランプ大統領がTPP離脱を実行するまで、日本は米国の後ろにいて、米国のグローバル戦略を出発点とし、中国を包囲しようとしていた。経済面ではTPP加盟をてこに日本国内の経済改革を進めようとしていた。米国の離脱後も、中国を包囲し、経済改革を進めようとの狙いは実は変わらず、これは日本がCRTPPの維持に全力を注いできた理由の一つでもある。日本とEUにはある程度似通った事情がある。大きな戦略的視点から出発し、EPAが発効すれば、米国を牽制すると同時に、中国とロシアに対抗し、インドと太平洋諸国も巻き込むことが可能になる」との見方を示す。
■米国はみんなの攻撃の的
EUは今回は米国と対立する側に回った。トゥスク議長は調印後の共同記者会見で、米国を直接批判し、「米国の保護貿易主義的政策がグローバル経済のリスク要因になっている。米国は無責任だ」と述べた。安倍首相も、「EPAへの署名は、保護主義的な動きが世界で広がる中、日本とEUが自由貿易の旗手として世界をリードしていくとの揺るぎない政治的意思を世界に鮮明に示すためのもの」と述べた。
EPA調印の矛先は米国に直接向いており、日・EUが米国に拮抗するための伝家の宝刀は自動車産業につきつけられている。長年にわたり、欧州は米国社の主要な輸出先で、2016年の輸出額538億ドル(約6兆622億円)のうち20%は欧州への輸出額だった。今回のEPA調印に日本車が欧州市場を開拓し、EUの米国市場への依存度を低下させるための重要な突破口を提供するとの意味合いがあることは間違いない。
だがEPAに調印してもEUの自動車輸出問題にとっては焼け石に水のようなものであることも確かだ。米国がEUからの輸入車に20%の追加関税を賦課するという脅威に直面しながら日本と手を結んだEUだが、米国と話し合って事態を打開する希望をなお捨てていない。ブルームバーグ社が18日に事情通の話として伝えたところによると、ユンケル委員長は来週、米ワシントンでトランプ大統領と会談し、主要貿易パートナー数カ国に対する自動車関税削減の交渉を始める予定という。
ドイツのハイコ・マース外相がこのたび「米国はもはや相手国として信頼できない」と発言したことが、核心を突いている。EPA調印の前日、ユンケル委員長は、「EUと中国がWTO改革問題の共同チーム発足で一致したことを歓迎する」と発言した。さきにトランプ政権は鉄鋼・アルミ関税でグローバル貿易にわざわざ波風を立て、さらに「米国第一」のロジックで世界の経済秩序をかき乱した。同盟国が次々反撃に転じる中、米国は今やみんなの攻撃の的になっている。(提供/人民網日本語版・編集/KS)
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