米国の「インド太平洋戦略」はどこまで行けるか?

人民網日本語版    2018年8月3日(金) 17時10分

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米国のマティス国防長官は以前アジア安全保障会議(シャングリラ・ダイアローグ)で、米政府として「インド太平洋戦略」を全面的に明らかにした。

米国のマティス国防長官は以前アジア安全保障会議(シャングリラ・ダイアローグ)で、米政府として「インド太平洋戦略」を全面的に明らかにした。トランプ政権発足後、政府上層部は「アジア太平洋」から「インド太平洋」への移行を鼓吹し、「自由で開かれた」「インド太平洋ビジョン」を打ち出し、「国家安全保障戦略」で現在のインド太平洋地域の様々な「世界秩序間の地政学的競争」を明らかにしてきた。マティス長官の演説は米国の「インド太平洋戦略」の本格化を示すものだ。(文:呉正竜・元駐クロアチア中国大使。北京日報掲載)

「米国の『インド太平洋戦略』はどこまで行けるのか」「予定した目標を達成できるのか」と人々は問わざるを得ない。

米国の「インド太平洋戦略」を詳しく見ると、前進の道には幾重もの障害があることに難なく気づく。

まず、中心となる国々の思惑が一致していない。「インド太平洋戦略」の中心となる4カ国のうち、日豪印は米国と心を一つにしておらず、それぞれの利益上の訴えがある。中国抑制という米国の目標を一致団結して達成するのは困難だ。

米政府の推し進める「米国第一」政策のために、米日関係はぎくしゃくし始めた。今年初めに日本は対中政策を調整。自らの「インド太平洋戦略」と中国主導の「一帯一路」イニシアティブを連携させて推し進める方針を打ち出した。中国牽制という戦略目標を変え、これを中日両国の新たな協力の礎とすることにした。

一定の意味において、オーストラリアの外交政策、つまり自らの「インド太平洋戦略」には強い二面性がある。「中国との強大で建設的な関係の発展に尽力する」とする一方で、中国の台頭がもたらす試練を誇張して、インド太平洋地域における米国のプレゼンス維持を呼びかけている。中米間で均衡を図ることがオーストラリア外交の最大公約数だ。オーストラリア側は米国の「インド太平洋戦略」を積極的に受け入れる一方で、「グローバルな試練の解決には中国の働きが不可欠だ」とも強調している。

インドのモディ首相はアジア安全保障会議の基調演説で、「インド太平洋」は地理的概念であり、戦略的概念ではないと強調。「インドはインド太平洋地域を1つの戦略、1つの排他的クラブ、あるいは主導権を追求する1つの集団とは見ない。われわれがそれを、特定の国を標的にするものと考えることも決してない」と述べた。モディ首相の演説と米国の「インド太平洋戦略」の息が合っていないのは明らかだ。習主席とモディ首相の武漢会談を境に、インド政府は中国と対抗する以前のやり方を変え、両国関係は改めて協力・友好の道を歩み始めた。

さらに重要なのは、「米国第一」政策が米「インド太平洋戦略」実行の不確定性を増したということだ。トランプ政権の中心的基調は、「米国第一」原則の下、米国が不公正な待遇を受けて、他国が不当な利益を得ていることに焦点を合わせ、同盟国の軍事費負担率を大幅に高めること、親疎の別なく高額の関税を課すことなどだ。「米国第一」政策のために世界が傷を受けているだけでなく、インド太平洋の同盟国とパートナー国も懸念を募らせている。これは米国の「インド太平洋戦略」方針を根本からかき乱し、始動も難しい苦境に陥れている。

以上をまとめると、米国の「インド太平洋戦略」の展望は暗く、インド太平洋地域の平和と発展という大勢を変えることはできない。(編集NA)

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