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過激なダイエット、最終的に脳障害を誘発し「記憶喪失」に=21歳女性、身長167cm・体重25kg―中国

Record China    2018年8月22日(水) 0時20分

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Qさんは、ステージの上に立つことを目指す芸術系の学生だ。過激なダイエットを続けた結果、体重が25キログラムにまで減少。最終的に、脳のトラブルで記憶を喪失することになった。1枚目の写真はQさんの体調が改善しはじめてから、2枚目以降は当初撮影と思われる。

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黒龍江省メディアの新晩報は20日、SNSを通じて、過激すぎるダイエットと摂食障害(拒食症)で、身長が167センチあるにもかかわらず、体重が25キロにまで減少してしまった21歳の女性Qさんの話題を紹介した。

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■将来ステージに立つために…幼いころから母親が厳しく体重管理

Qさんがダイエットを始めたのは3年前の18歳の時だった。学校の寮暮らしだったが、ルームメートと比べて自分は太っていると悩んでいた。そのため、皆で街に遊びに行く時も加わらなかった。

Qさんは芸術系の学生で寮暮らしだったという。詳しい専攻は紹介されていないが、幼い時から練習をしており、体重については母によって厳しく管理されていたというから、バレエや民族舞踊などのダンサーの道を目指していた可能性が高い。

当時の体重は55キロだった。Qさんは母親のしつけもあり、自分の体重には敏感だった。特にショックだったのは、教師から「最近あなた、太っているね」と言われたことだった。

■食事の後に嘔吐、「食べずにすんだ」と喜び感じる

そこでQさんはダイエットを試みることにした。外国製のダイエット食品や酵素などを買って試した。1日に1食にした。体重が目立って減り出した。すると、ますます食事をしたくなくなった。チョコレートを取り出したこともある。香りを嗅いだだけで放り出してしまった。食べる気にならなかった。食後には縄跳びをした。食後の運動が激しすぎて吐いてしまうこともあった。Qさんは「うれしく思えた」という。

Qさんは3年間で体重を30キロも落とした。身長167センチで体重25キロ。まるで枯れ枝のような体型だ。弱ってしまい満足に歩けなくなった。手には赤い発疹ができた。背中には青あざが出来た。顔もやせこけて、口だけが大きく見える。「だれも直視できない」ような外観になってしまった。

たまりかねた母親が、まずQさんの写真をハルビン医科大学附属病院に持って行って栄養科の閻雅更(イエン・ヤーグン)主任医師に見せた。閻主任は、血液関係の病気ではないかと疑った。そして母親に「危険な状態です。とにかく本人を連れてきてください」と言った。

■病院の医師も驚く「生きていたのが奇跡です」

Qさんが病院に来たのは5月17日だった。そのまま入院ということになった。Qさんは1日に450キロカロリーしか摂取していなかったことが分かった。最低限必要とされるカロリーの3割程度だ。閻主任は「3年間もこんな食生活で、まだ生きているのが奇跡です」と話した。

Qさんは、よい患者でなかった。自分でカロリー計算をして、出された食事をきちんと食べなかった。閻主任はは鼻から挿入した管や点滴により栄養を投与したが、あまり多くを与えた場合、内臓に負担がかかる恐れがあるので、ある程度までにとどめざるを得なかった。

入院して10日あまりが経過した5月27日。Qさんは病院内で転倒して、神経外科で治療を受けることになった。検査の結果、Qさんは脳出血を起こしていたことが分かった。手術をすべきか。それともQさんの体力を考えて諦めるべきか。それが問題だった。

■脳出血が連続発生、医師「全身麻酔したら生きる確率はゼロ」

脳外科の医師は、手術をすべきと判断した。ただし、考えられるかぎり「最速」の手術を施すことにした。実質的な手術時間はわずか10分間だった。医師の決断と見事な手腕で手術は成功した。ところが、次の問題が発生した。Qさんは血圧が上がり始め、翌日には最高血圧が180mmHgに達してしまった。最高血圧は上限が130~140 mmHg程度までが正常とされている。

医師によると、Qさんの脳組織は弾力が極端に低下し、60歳の人と同様の状態だった。そのため、手術後に正常に回復せず、位置がずれてしまった。結果として再び出血し、血だまりができてしまった。そのことに関係して、血圧が上昇したと考えられるという。

医師らは、改めて難題を抱えてしまった。再び全身麻酔を施して手術をすれば「Qさんが生きながらえる可能性はゼロ」だったという。考え抜いた結果、局部麻酔だけで、頭蓋骨の2カ所に小さな穴を開け、脳内にたまっている血液を取り除くことにした。

担当した医師は「見事な手術だったとは言えません」と説明。と言うのは、通常ならば100%除去できる脳内の出血が、特殊な方法を採用したこともあり80%程度しか除去できなかったからだ。しかし手術時間は通常の10分の1にすることができた。Qさんを救命できたことを考えれば、手術は成功したと言える。

■手術成功も意識戻らず、輸血も思うようにできず

ところが、再び問題が発生した。Qさんの意識が戻らないのだ。10日たっても変化が見られない。看護スタッフは、特に厚い敷布団や水枕、発泡剤の上にQさんを横たえた。皮下脂肪が極端に少ないので、床ずれが発生する可能性が高かったからという。

Qさんは造血作用も衰えているので、輸血が欠かせなかった。しかし、大量の輸血をすれば心臓に負担がかかる。だから、1日に3度に分けて少しずつ輸血した。閻主任は毎日2回やって来て、Qさんの様子を確認して必要な指示をした。その他の専門医師も来た。しかし、状況に変化はなかった。首を振りながら、「このままでは命が助かっても、植物人間になってしまうかもしれない」と言う医師もいた。

■40日後に目を覚ます、最初に口にした言葉は…

Qさんが意識を回復したのは、6月末だった。手術から40日近くが経過していた。全くの突然だった。しかも、最初の言葉は「お腹がすいた。何か食べる物がほしい」だった。Qさんはそれからも、食べ物をしばしばねだるようになった。

問診してみたところ、意外なことが分かった。Qさんは、3年前にダイエットを始めてからの記憶を全く失っていた。「何が何でも痩せたい」という意識も消えていた。医師らは、脳出血などの影響で、外傷性の記憶障害が発生したと考えている。

Qさんは7月になり退院した。ただ、しばらくして胃からの出血があり、再び治療を受けた。食べ物を受けつける胃の能力が低下していたのに、食べ過ぎてしまったからという。

■医師も驚く回復、記憶喪失のおかげで拒食症も解消

8月15日になり、診察を受けるためにQさんはハルビン医科大学付属病院にやってきた。Qさんを診た閻主任によると、想像以上に良好な状態だった。Qさんは閻主任に「私、体重を60キログラムまで、どうしても増やしたいんです」と言ったという。

閻主任は「(治療中には)生き延びられたら上出来と考えていました。今は徐々に、正常な状態に近づいています。思いもよりませんでした」と述べた。

ふっくらとした体型を理想とするか、やせ型をよいとするかは、その社会が持つ価値観によるという。食物が不足している社会では、ふっくら型がうらやまれ、飽食の社会ではやせ型が理想とされるともいう。中国では1990年代後半ごろから肥満の問題が深刻になりはじめ、それと前後するように、痩せることを目指す女性が増えたという。Qさんのような極端な事例が発生するのも、国全体として「飽食の時代」に突入したことと関係がありそうだ。

閻主任は「科学的でないダイエットは、神経性の拒食症を引き起こす場合があります。減量したい人は、自分だけで肥満しているかどうかを判断せずに、専門家に肥満の度合いとその原因を評価してもらい、科学的にダイエットに取り区でください。食事を消費カロリーより減らす減量には、拒食症のリスクがあります」と説明したという。(翻訳・編集/如月隼人

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