Record China 2018年9月29日(土) 14時10分
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日韓首脳会談で韓国の文大統領は、従軍慰安婦の被害者を支援する財団の解散に言及した。韓国紙は「解散すれば15年末の韓日合意の破棄とみなされる可能性がある」と指摘。「外交信頼度の下落が避けられない」と危惧している。写真は韓国の大統領府。
韓国の文在寅大統領は安倍晋三首相と25日に米ニューヨークで会談した際、旧日本軍慰安婦の被害者を支援する「和解・癒やし財団」の解散に言及した。韓国紙は29日までに、「財団が解散すれば15年末の合意の破棄とみなされる可能性がある」と報道。破棄なら「国際的な外交信頼度の下落が避けられない」と危惧している。
財団は朴槿恵政権当時の2015年12月の日韓両国政府の合意に基づき、翌16年7月に韓国に設立された。日本が拠出した10億円で被害者と遺族に対する「癒やし金」の支給事業を行い、存命している被害者34人(15年12月の合意当時)と死亡者58人に計44億ウォン(約4億4500万円)を支給した。
しかし、2017年5月の文政権発足後、韓国政府は慰安婦合意に対する検証作業を実施。日本が拠出した10億円全額を政府の予算で置き換えることを決めたため、財団は存廃の岐路に立たされていた。
聯合ニュースによると、25日の日韓首脳会談で、文大統領は財団について「慰安婦被害のハルモニ(おばあさん)と国民の反対により、正常に機能することができず、枯死せざるを得ない状況」と説明し、「知恵を出し、けりをつける必要がある」と述べた。同発言をめぐり、韓国の当局者は「財団の処理に関して具体的なスケジュールは決まっていない」と説明したとされるが、聯合ニュースは大統領が「けりをつける必要」を表現したことから、「関連する議論が速やかに進められるとみられる」と報じた。
朝鮮日報は財団の問題について「1998年に当時の金大中大統領と小渕恵三首相が発表した『韓日共同宣言』が10月8日に20周年を迎え、さまざまな行事が予定されている中、歴史問題がまたしても韓日関係の障害として浮上した格好だ」と憂慮。「日本側は財団の存在と活動自体を『合意の履行』と考えているだけに、財団の解散は『合意破棄』と見なされる可能性がある」との見方を示した。
中央日報は文大統領の発言の意図を「韓日慰安婦合意の結果として発足した財団を事実上、解散するという意向を日本政府に伝えたものだ」と解説。「市民団体など一部では10億円を日本政府に返還しようと主張しているが、現実化の可能性は高くない。事実上、韓日慰安婦合意の破棄を意味するためだ。国家間の外交的合意を政府が先に破棄してしまえば、韓日関係のみならず国際的な外交信頼度の下落が避けられなくなる」と警鐘を鳴らした。
中央日報は日本語版で他紙の論調も紹介。「日本との関係硬直化につながらないよう管理しなければならない」(国民日報)、「北朝鮮問題などでは日本と緊密に協力するツートラック戦略を維持するべき」(ソウル新聞)、「少し先まで見通す開かれた見識で調整・解決していく知恵が両国共に必要だ」(韓国日報)など、各紙とも文政権に慎重な対応を求めているという。(編集/日向)
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