日本人がまたノーベル賞を受賞、その意味することは?―中国メディア

人民網日本語版    2018年10月9日(火) 15時50分

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毎年のように日本人がノーベル賞を受賞しているのは、日本が基礎研究を長期にわたって安定してサポートし、危機感を抱き、若い科学者の育成を重視してきたことと切っても切れない関係があることが分かる。資料写真。

また日本人が自然科学部門でノーベル賞を受賞した。スウェーデンのノーベル財団は1日、がんの免疫療法において多大な貢献を行ったことに対し、京都大学特別教授の本庶佑氏(76)と、米国のジェームズ・P・アリソン氏にノーベル生理学・医学賞を授与することを発表した。21世紀に入り、ノーベル賞を受賞した日本の科学者は、米国籍の日系科学者を含めると合わせて18人になった。毎年、日本人1人がノーベル賞を受賞している計算になる。新華網が伝えた。

よく調べると、毎年のように日本人がノーベル賞を受賞しているのは、日本が基礎研究を長期にわたって安定してサポートし、危機感を抱き、若い科学者の育成を重視してきたことと切っても切れない関係があることが分かる。

自然科学部門のノーベル賞は、主に基礎科学の分野で画期的な成果を上げた人物に授与される。基礎研究は通常、成果が出てからそれが高く評価されるまでにかなりの時間がかかる。日本の文部科学省が発表している統計によると、1940年代以降、世界のノーベル賞受賞者が受賞の根拠となる研究成果を得た平均年齢が37.1歳、実際に受賞した時の平均年齢が59歳で、研究成果を得てから受賞まで平均22年かかっている。本庶氏も、70年代に免疫抗体の研究を始めて、1992年に免疫を担う細胞の表面にある「PD-1」というタンパク質を見つけたと発表し、それからノーベル賞受賞まで26年かかった。

人気のテーマで成果がすぐに出る手っ取り早い研究なら、たくさんの論文を発表することはできても、他の人の研究を基礎にしているため、ノーベル賞を受賞することは永遠にできない。本庶氏は、ノーベル賞受賞会見で、「今回の基礎的な研究から臨床につながるような発展ということで受賞できたことによって、基礎医学分野の発展が一層加速し、基礎研究に関わる多くの研究者を勇気づけるということになれば、私としてはまさに望外の喜びだ。基礎研究は非常に重要だが、成果が社会に還元されるまでにかなりの時間がかかる。社会にはもっと寛容な気持ちで基礎研究を見てもらいたい」との見方を語った。

近年、日本人が相次いでノーベル賞を受賞し、世界の注目を集めているものの、日本の各界はそれに甘んじることなく、常に危機感を抱いていることは非常に印象的だ。日本政府は毎年、日本の科学研究の実力や存在する問題をまとめ、世界の主要国と比較する「科学技術白書」を発表しているが、近年はその中で、「日本の科学技術の開発力が衰退の兆候を見せ始めている」と何度も指摘している。

2018年度の「科学技術白書」によると、世界の主な科学研究大国の中で、日本の研究者の論文発表数だけが減少し、04年の6万8000本をピークに、15年には6万2000本に減った。また、被引用度で世界トップ10%に入る質の高い論文数のランキングでも、日本は世界4位から9位に下落した。政府の科学技術関連予算も、18年の投入額3兆8401億円は2000年の1.15倍にとどまり、世界の主な科学研究大国の中で増加率が最も低い。

今年2月、雑誌「東洋経済」の特集記事「大学が壊れる」は、日本の大学が直面している危機をさまざまな角度から指摘し、「過去数十年間にわたり、日本の科学研究は質も量も、急激に落ちた」と指摘。また、ノーベル賞受賞者の益川敏英氏や梶田隆章氏も、「日本の科学研究は危機に直面している」と警鐘を鳴らしているという。梶田氏は、「論文の数は研究資金、時間と人員の数で決まる。日本がこの三要素を悪化させ続ければ、将来ノーベル賞を得るのは難しくなるだろう」との見方を示している。

日本にはもう一つ、若い科学者の育成やサポートが不足しているため、若者の科学研究離れが進んでいるという懸念もある。16年のノーベル生理学・医学賞の受賞者・大隅良典氏ら有識者は、「日本の社会は、若者たちが、目先のことを心配せずに、5年、10年後のことを安心して考え、安心して研究に打ち込める環境を作らねばならない」、「日本は若い研究者を育成する体制を作らなければ、日本の科学は空洞化する」と指摘している。18年度の「科学技術白書」は、「日本は科学研究への資金投入を強化し、若い研究者にもっと良い科学研究の環境を提供するべきだ」と指摘している。(提供/人民網日本語版・編集/KN)

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