私の持ち物を見て怪訝な顔をしなかったのは、その日本人の先生だけでした―中国人学生

日本僑報社    2018年11月4日(日) 13時50分

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日本語を学ぶ青島職業技術学院の趙景帥さん。「初めて話をした日本人」である日本語教師の影響で、自らの進む道を見出したようだ。

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日本語を学ぶ青島職業技術学院の趙景帥さん。「初めて話をした日本人」である日本語教師の影響で、自らの進む道を見出したようだ。以下は趙さんの作文。

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私は大学に入る前まで、人生の目標は全くありませんでした。ただ、毎日学校に行き、勉強するだけです。「何のために勉強するのか」なども考えたことがなく、親に言われるまま過ごす毎日でした。そんな私を両親は心配し、私にある提案をしました。「このまま内モンゴルで生活していても、いままでと同じ人生しか歩めないかもしれない。思い切って知らない町に行って新しい人生を始めよう」と。普段の私なら、何とも思わないはずです。でもその時に両親の話を聞き心を動かされました。そして、遠く離れた青島で私の人生を変える出会いがあったのです。

大学に入学し一年生の最初の授業から坪井先生の会話授業がありました。初めて直接話した日本人も坪井先生でした。故郷で勉強していた日本語。通じた時の感動は今でも忘れられませんし、私の日本語を褒めてもくれました。子どもの時からアニメが好きで、耳から覚えた日本語。話すことはなんとなくできました。ですが、正式に勉強したわけではありませんから、文法は全く知りません。でも、「少し勉強すればできる」と舐めていました。基礎日本語は毎週試験があり、淡い期待は木端微塵に打ち砕かれました。試験のたびに私の成績はどんどん下がるばかりで、多くの先生から、毎日のように怒られて自信を無くしていきました。でも、坪井先生だけは私のことを怒らず、優しく話しかけてくれるのです。

ある日、坪井先生は、「趙君は毎日アニメの描いてあるカバンや文具を持っているけど本当にアニメが好きなんだね」と話しかけてくれました。私は、高校生のころからこのようなものを持っていました。高校の先生は私のアニメグッズを見ただけで、怪訝な顔をするか非難をするばかりでした。でも坪井先生は、「アニメが好きなのは悪いことではないよ。原文でわかるように頑張ろうね」と言うのでした。アニメを否定しない先生を見たのは初めてでした。その日から原文でアニメを理解したいと思うようになり、日本語に興味を持つようになったのです。そして、将来「アニメと日本語で何かをしたい」という漠然とした目標を立てるようになりました。

志は高くなったのですが、やはり、試験は全く駄目でした。一年生の春学期。能力別クラス編成が始まりました。私は、会話以外他の成績は悪く、Bクラスに入ることになりました。落ち込んでいる私を見て、坪井先生は、「趙君はなんでアニメが好きなの?」と聞くのです。「面白いですからです」と答えると、「『好きこそものの上手なれ』だよ。だから、趙君も好きなアニメのために勉強すれば。一度しかない人生、好きなことをしてみたら」と言い、「私も、教えることが好きなので、先生をしているんだよ」と話してくれました。そうなのです。一度しかない人生、何の目標もなく生きていても面白くないのです。私は若いのです、失敗してもまだ取り返しがつきます。

その日から、日本でアニメを学ぼうと決めたのです。ダメ学生だった私は、勉強方法も変え、毎日必死で勉強しました。そして、学校代表としてスピーチ大会の選手として全国大会に出場できるような学生に変わったのです。スピーチ大会の成績は2位でしたが、それでも十分満足です。ダメ学生だった私が、先生に認められるようになっただけでも大きな進歩です。そして、なによりの収穫は、正しい方法で一生懸命努力すれば、良い結果が得られるということが分かったことです。今までの私は、漠然と勉強しているだけでした。でも、先生の指導のおかげで、勉強方法も学ぶこともでき、今は何事も絶対に成功できるという自信を持てるようになりました。私は、来年日本でアニメを勉強することが決まりました。留学したら、辛いことがたくさんあるでしょうが「好きな物のためなら何でもできる」。その気持ちでこれから頑張っていこうと思っています。(編集/北田

※本文は、第十三回中国人の日本語作文コンクール受賞作品集「日本人に伝えたい中国の新しい魅力」(段躍中編、日本僑報社、2017年)より、趙景帥さん(青島職業技術学院)の作品「忘れられない日本語教師の教え」を編集したものです。文中の表現は基本的に原文のまま記載しています。なお、作文は日本僑報社の許可を得て掲載しています。

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