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日本語専攻の学生に苦境の冬、日中情勢に翻弄される就職事情―中国

Record China    2012年11月3日(土) 17時48分

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1日朝6時、中国の北国・瀋陽。大学院で日本語を専攻する24歳の許倩さんは、日中関係の冷えこみによって希望する就職の道を断たれそうになっている。

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2012年11月1日朝6時、中国の北国・瀋陽。室外の温度はマイナス4度。

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許倩(シュー・チエン)さんは目が覚めるとすぐ静かに服を着て、寝ているルームメイトを起こさないように気をつけながら机のノートパソコンを立ち上げた。メールを確認したが、彼女が待ちわびる採用面接に関するメールはなく、あったのは数件の迷惑メールだけだった。つまり、彼女が応募した企業は書類選考の段階ですでに落とされたということだ。24歳の彼女の最大の悩みは、就職についてだ。

窓は一面の結露で、中から外は見えない。

安徽省出身の許さんは、遼寧省瀋陽市の東北大学日本語学科の大学院修士課程2年の学生。同大学には博士課程がないため、彼女はこの大学の日本語学科で一番上の先輩だ。

日本と異なり、中国の卒業シーズンは毎年7月。日本語専攻の学生たちにとって、就職活動の一番の山場は卒業する前の年の9〜10月。年末になれば日系企業の求人は少なくなり、明けて1月や2月は日本の正月と中国の旧正月が相次ぎ、就職活動はできない。つまり、年を越すと選択肢はかなり少なくなり、早い者勝ちになってしまう。

許さんの夢は、語学力を活かせる日系企業に務めることだという。この9月に修士2年生に進級してからは、そのためにさまざまな準備をしてきた。ところが、日中間ではこの春からトラブルが続出、中国メディアによる日本批判はますます激しくなり、長期化の様相を見せている。

9月11日、日本が尖閣諸島を国有化したと報じられて以降、中国国内の反日感情は一気に噴出した。反日デモでは日本車の運転手が襲われたり、日本料理店が破壊されたり、日系スーパーが侵入被害に遭ったりなどの事件が次々と発生した。許さんの両親も心配して、日本語を勉強していることを周りに隠すように注意した。許さん自身も、事態がここまで進展するとは夢にも思っておらず、恐怖感すら感じたと話している。

その後、東北大学で開催予定だった日系企業の説明会は続々と中止になり、あわてた学生たちはインターネットで関連情報を検索していた。あまりにも突然の事態。さらに、日本と少しでも関係している人はすぐ攻撃対象になるムードが蔓延していて、日系企業の求人情報はとても見つからない。

日系企業の求人説明会を積極的に招へいしてきた学校側も動揺を隠しきれない。東北大学国際交流部の周而立(ジョウ・アルリー)部長は、学校の複雑な立場を語った。

「学校は学生の就職活動をサポートするのが義務だが、この時期、日系企業が学内で説明会を開催するのはリスクが伴う。万が一、事件でも起きれば学校側の責任は重い」と語っていた。事実、日本の人材紹介企業の担当者の紹介によると、多くの日系企業もリスクを避けるため、説明会の代わりに求人サイトを利用して募集要項を出している。しかし、キャンパスでの説明会と比べると、なかなか希望している人材を募集できないという。一方、学生にとってはインターネット上の求人は競争率が高いので、あきらめる人が多い。

11月に突入し、許さんは日系企業への就職を断念。地方大学の日本語教員も視野に入れて就職活動を続けている。「名門大学の教員になるには博士号が絶対条件ですが、それほど有名でない学校に応募してみます」と、今後について話してくれた。「これでも駄目なら、語学力を生かす道自体を断念しなければいけないので、最後の選択としてチャレンジしてみる」とも語っていた。

許さんが置かれている現状は、同じ研究室の後輩たちにも影響を与えている。彼らが大学院まで進学した目的は、少しでもいい職に就くためだ。しかし、入学直後に日中関係が悪化。先輩たちの窮状を目の当たりにして、大きなショックを受けている。日中関係が改善しない限り、先輩たちの現状はそのまま自分たちの未来になるのではと心配している。22歳の栗富陽(リー・フーヤン)さんは、「武器になるのが日本語だけではリスクがあるので、大学院の2年間は日本語以外の課程も積極的に勉強する」と話した。

瀋陽では早くも冬が到来した。10月下旬にはすでに初雪が観測され、まるで冷え込んだ日中関係を象徴しているかのようだ。市の人口は約800万人。中国・東北地方で最大の都市であり、その歴史的背景によって国内でも日本語教育が盛んな土地柄だ。同市には日本語学科を設ける大学が7校あり、1900人近い学生が日本語を学んでいる。しかし、彼らの運命は日中関係に大きく翻弄されている。(取材・構成/RR、愛玉)

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