もし日本人観光客が中国に来なくなったら?―中国メディア

Record China    2012年11月19日(月) 14時47分

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19日、「もし中国人観光客が日本に行かなくなったら?」という文章を以前書いたところ、「もし日本人観光客が中国に来なくなったら?」とのコメントがあった。確かに比較することで日中観光業界の実情をより理解できるかもしれない。写真は福建省の人気観光地・武夷山。

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2012年11月19日、以前、「もし中国人観光客が日本に行かなくなったら?」という題で文章を書いたところ、ネットユーザーから大きな反響があり、多くのコメントが寄せられた。その中に、「もし日本人観光客が中国に来なくなったら?」とのコメントがあった。確かにこのように比較することで、日中観光業界の実情をより多面的に理解できるかもしれない。

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2012年初め、両国の関連部門は日中国交正常化40周年を記念する様々なイベントを計画した。また、2012年の訪日中国人観光客数をのべ200万人、訪中日本人観光客数をのべ400万人とし、日中間の往来者数を過去最大ののべ600万人とする目標を掲げた。しかし、日本の尖閣諸島国有化が9月11日に発生した。これにより真っ先に、しかも最も直接的な打撃を受けたのが観光業だ。日中間の往来者数600万人の目標は泡と消えた。

日中国交正常化後の1979年に日本政府が訪中観光を解禁して以来、訪中日本人観光客数は初期の年間のべ10数万人から、1992年には58万人を超え、1997年には初めて100万人を突破、2010年には373万人に達し、その後も年間400万人の大台に向けて増加しつつあった。しかし、天災や人災に伴う起伏のせいで、今に至るまでこの目標は達成されていない。ただし、中国は日本人の短期訪中ビザ(15日以内)を免除しており、統計に含まれない個人旅行客の人数もかなり多いと思われる。

長年にわたり、日本人観光客は訪中外国人観光客のうち多くを占めてきた。観光を通じた日中交流により、両国は相互理解に向け良好な社会的基礎を築いた。また、観光により、日中国交正常化およびその後の政治、経済、文化などの分野における交流・協力が促進された。経済・社会的なけん引作用を考慮すると、今や3000億ドル(約24兆円)に達した2国間貿易額の中で、観光業の功績は大きい。しかも、日中双方は「観光交流は両国にとって大きな発展の余地と潜在力を有している」との共通認識を持っている。

島をめぐる争いが始まって以来、両国メディアはそれぞれ相手国が被った被害の大きさに注目し、互いの報道にはやや矛盾があるように見える。まるで世論の力を利用して士気を奮い立たせ、相手を圧倒したいかのようだ。しかし、真相はどうなのか、当事者自身が一番よくわかる。統計データは客観的現実を冷静に反映する鏡であり、人の感情や意志で曲げられるものではない。

国土交通省の発表した情報によると、日中関係の緊迫化を受け、10月中旬の時点で、日本人の中国旅行の約半数がキャンセルされた。キャンセルの理由は反中感情のほか、一部の都市で発生した日本関連の抗議デモに伴う安全問題だという。

日本の各大手旅行会社を見ると、JTBの中国観光の予約数が前年同期比51%減となったほか、近畿日本ツーリスト、日本旅行なども軒並み半数以下となった。最新の統計によると、10月19日の時点で、日中間の1週間当たりの定期便(約740便)の16%にあたる週122便が減便となった。うち、日本側(JALとANA)が週21便、中国側が同101便だった(この後、さらに50便が減便された)。

また、日本旅行業協会が10月24日に発表したデータによると、今年9月、日本の大手旅行会社7社の中国行きパッケージツアー予約状況は前年同期比44.5%減となった。10〜12月の予約状況も7割以上減少した。

さらに、日本の2大航空会社(JALとANA)によると、9〜11月の中国路線の団体客キャンセルは計5万2000席を超えた。日本メディアは、「統計によると、2011年の訪日中国人観光客数は130万人だが、訪中日本人観光客数は350万人に上る。日本人が中国旅行をキャンセルすれば、中国は大きなビジネスチャンスを逃すことになる。中国側の損失は日本よりも大きい」と分析している。

しかし、日本観光庁が2012年に発表したもう1つの統計データによると、訪日中国人観光客の1人当たり消費額は16万円に達するが、訪中日本人観光客の1人当たり消費額は10万円に満たない。

尖閣問題が起こる前の今年初め、業界関係者もこれについて「日本人の中国旅行価格は現在『底値』に達している」と指摘している。このことは、日本人観光客は多いが、消費への貢献度はそれほど高くない原因の1つとなっている。

2010年、訪中日本人観光客は373万人のピークに達し、人数的には同年の訪中外国人観光客の14.3%を占めた。しかし一方で、中国の国際観光収入は、観光収入全体の約20%しか占めていない。

日本が最近発表した貿易データは、尖閣問題により日本経済が大きな打撃を受けたことを示している。日本の9月の貿易総額は30年ぶりの低水準に達した。海外メディアは「日中の領土紛争を背景に、第4四半期の日本のGDPは0.8ポイント押し下げられるだろう」と予想した。あるアナリストは、「日中間の貿易が減少すれば、中国よりも日本が受ける打撃の方が大きい」と指摘した。

財務省の最新データによると、9月の日本の対中輸出額は14.1%減となり、貿易赤字は3295億円に達し、同期では30年ぶりの過去最大となった。

日中の経済貿易という大きな枠組みにおいて、観光業の収入およびその地位はそれほど重要ではないのかもしれない。しかし、日本の家電や自動車産業がすでに「身を切るような痛み」を感じている今、観光業が「痛み」を逃れられないのは明らかだ。

日本メディアはこのほど、「アジア最大規模の観光見本市が15日から18日にかけて中国上海市で行われ、10万人以上が来場すると予想される。日本からは観光庁や地方自治体など29の団体が参加を計画していたが、観光庁によれば、主催者側から日本側に対し、観光庁の参加を見合わせてほしいとの申し入れがあった。日本観光庁は不参加を決め、他の29団体も同様の決定を下した」と報じた。

日本の政治家は最近、「世界第2、第3の経済体である両国が相互に制裁を行えば、世界経済のさらなる衰退を招きかねない」という言い方をよくする。これはまるで日本が「無責任な大国」になろうとしているかのようだ。権力争いと国民の人気取りのために、国家利益を無視していざこざを引き起こせば、過去であれ今であれ、失敗が唯一の結果であることが証明されるだろう。

経済戦争は、静かで残酷な一種の戦争である。平和にはコストが必要であり、実力も必要だ。戦争のための犠牲は必須であり、その価値もある。勝敗はこの苦難にどちらが最後まで耐えられるかにかかっている。作者:中国中日関係史学会理事、中日桜花文化交流センター主任・周冬霖(ジョウ・ドンリン)氏。(提供/人民網日本語版・翻訳/SN・編集/内山

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