日本僑報社 2019年5月27日(月) 11時30分
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近年、中国では日本への医療ツーリズムに注目が集まっている。医療水準の高さだけでなく、医師や看護師の応対など「医療サービス」の質の高さが評価されているようだ。安交通大学の王雄凱さんは、日本と中国の病院についてつづった。写真は中国の病院。
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近年、中国では日本への医療ツーリズムに注目が集まっている。医療水準の高さだけでなく、医師や看護師の応対など「医療サービス」の質の高さが評価されているようだ。西安交通大学の王雄凱さんは、日本と中国の病院について、作文に次のようにつづっている。
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「痛い!」
宅配便が届いたとき私は叫んだ。箱を開けようとしたとき、ハサミで手を切ってしまったのだ。そばにいた先輩が病院に連れて行こうとしたが、私は嫌だった。何せ学校の病院は怖いし汚い。扱いは乱暴だし、本当に嫌だった。
「何言ってんだ。病院って本当はいいところだぞ。俺、日本ではよく病院に行ったよ」
「先輩、それは日本の看護師さんがきれいだったからですよね」
「バカ、何言ってるんだ。そんなんじゃない。日本では病院も看護師さんもとても優しかったんだよ!」
先輩は日本に半年間留学していた。彼は少し体が弱く、何度も病院にお世話になっていたらしい。そのときの経験が忘れられないらしく、いろんな話をしてくれた。先輩によれば、医療技術や設備よりも、心優しい病院の人たちに心打たれたそうなのだ。
ある日、彼は胃炎にかかり病院に行った。入口で非常に細かい問診票を渡された。診察室では医者がとても細かい質問をして生活習慣まで聞いた。「何々のあとにこれこれを食べると良くないよ」と、そういう食生活のアドバイスもしてくれたそうだ。薬の出し方も違った。中国では治療が終わるまでの薬を一気に出す。しかし、日本では三、四日分の薬しか出さず、また病院に来たときに副作用が出ていないかなどを確かめるそうだ。渡された処方箋には薬の成分はもちろんのこと、起こりうる副作用まで詳細に書いてあった。
さらに、日本の病院は中国の病院のように薬のにおいが強くなく、病院全体にリラックスした雰囲気らしいのだ。私はその話を聞き、日本が本当にうらやましくなった。
私は今まで、入院するほどの病気にかかったことはない。でも、家族が病気になり、何度も病室へ行ったことがあった。ある年の夏休み、祖父が交通事故に遭い、家族みんなで世話をすることになった。父も母も忙しく、私が世話をするときもあった。中国の病院では患者が非常に多く、二人分のベッドしか入れられない病室に四人も入っていた。そればかりか、廊下に簡易ベッドが置かれ、そこに患者が寝ていることも珍しくなかった。しかも、時間帯によっては看護師や医師と連絡の取れないこともあった。中国は患者が多すぎる。それに対する医療スタッフがまったく足りていないのである。多くの中国人が、日本の医療に憧れるわけだ。
中国で日本のような医療を実現しようとする場合、まだまだ大きな壁がある。まずは人手不足の解消が急務だ。若い医師や看護師の待遇を良くし、働く環境にも気を配り、多くの学生が医学を目指しやすいようにする。
また、医学部を増やすのはどうだろうか。各地の大学の医学部を多くし、専門学校や副専攻で医師の資格が取れたり看護師の資格が取れたりするようにすればどうだろうか。私は日本語学科で勉強しているが、もし可能ならば専門学校でも学び、医療関係の資格を取りたいと思っている。
将来、私は学んだ日本語を活かし、日本と中国の医療交流、ないしは中日の医療に関わる仕事をしたい。私の夢は中国人の誰でも、どの国から中国に来た外国人でも、中国で日本みたいな医療サービスを受けられるようにすることだ。特に、日本人でもここで安心できるようにしたい。言葉が通じないだけではなく、医療の状況も自分の国に及ばない場所なら、日本人にとっては決して楽ではないだろう。
中国の医療はこのままだと日本人、または他の国から来た外国人が中国に長く滞在する障害になる。私はそれを何とかしたいと思う。そのため、自分で一所懸命日本語を勉強し、医療に関する知識を広めたい。医療界にとどまらず、中国人の全体が中国の医療の不足を知り、日本のような医療先進国に学ぶという意識を持つようにさせたいのである。(編集/北田)
※本文は、第十四回中国人の日本語作文コンクール受賞作品集「中国の若者が見つけた日本の新しい魅力」(段躍中編、日本僑報社、2018年)より、王雄凱さん(西安交通大学)の作品「中国の医療を変えていく、一つのヒント」を編集したものです。文中の表現は基本的に原文のまま記載しています。なお、作文は日本僑報社の許可を得て掲載しています。
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