黄 文葦 2018年12月29日(土) 14時20分
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12月22日、私は高田馬場にある日本福祉教育専門学校に行った。毎月の最後の土曜日、ここでは「MeMoカフェ」が開催される。いわゆる認知症カフェである。写真はMeMoカフェの「JAMESの紙芝居」。筆者提供。
12月22日、私は高田馬場にある日本福祉教育専門学校に行った。毎月最後の土曜日、ここでは「MeMoカフェ」が開催される。いわゆる認知症カフェである。資料によると、認知症カフェは厚生労働省が2015年に発表した「新オレンジプラン(認知症施策推進総合戦略)」の一環である。認知症のご本人とご家族が、地域住民の方や、介護・福祉・医療の専門家と身近な場所で集い、交流できる場であり、ケアラーズカフェ、オレンジカフェとも呼ばれている。
その日、ちょうどクリスマスの前だったので、MeMoカフェでささやかなクリスマスイベントが行われた。日本福祉教育専門学校の学生によるミニコンサートや、専門家による「暮しを健康に過ごそう」の講座、爪もみ・指のツボなどのプログラムもあった。
「JAMESの紙芝居」というプログラムでは、75歳の高井さんがやさしい声でやさしい物語を語っていた。子ども向けの童話であるが、大人をも魅了した。お年寄りたちと若者が一緒に感動を味わい、最後には老若男女皆で「きよしこの夜」を合唱した。私は特別なクリスマスの気分を味い、考えさせられたことが多く、心から平和と愛情のような暖かさを感じた。
実は先日、フェイスブックの友人であるNPO法人「なやまんと」代表の工藤春人さんが同じく豊島区在住の高井さんを紹介してくれた。高井さんは長年「JAMESの紙芝居」を中心にボランティア活動を行っている。公園、病院、介護老人施設、福祉専門学校、区民ひろば、教会、としま産業振興プラザなど、さまざまなところで活躍している。活動内容は紙芝居、絵本読み聞かせ、童謡、ハーモニカ演奏、折り紙遊びなど。つまり、お年寄りと子どもを支援しているスーパーボランティアである。
先日、若年性認知症を患う主人公の愛の物語を描くTBSテレビのドラマ「大恋愛」を見た。主人公は記憶を失うに切なく幸せな大恋愛に恵まれた。これも人生の幸運だと言える。
ところで、現実の世界にはそんなロマンチックなことはめったに起きない。厚生労働省が2014年に公表した調査結果によると、軽度認知障害または認知症の高齢者の数は全国で約862万人。つまり、65歳以上人口の4人に1人の計算になる。認知症カフェはそれらの高齢者と家族を支える存在だと思う。そして、高井さんのようなボランティア活動に熱心な人たちが認知症患者・家族と一緒になって、誠心誠意サポートしている。
人生で必ずしも「大恋愛」ができるとは限らない。それでも、できる限り周りの人たちと一緒にいい思い出を作れればいい。人を助けることができればいい。
読者諸賢、あなたの街に認知症カフェはあるだろうか。見つけたら、是非とも一度でもいい、参加してみてほしい。認知症への理解を深めることができるはずだ。人を助けることだけではなく、きっと自身も豊かな心を育むことができると思う。
■筆者プロフィール:黄 文葦
在日中国人作家。日中の大学でマスコミを専攻し、両国のマスコミに従事。十数年間マスコミの現場を経験した後、2009年から留学生教育に携わる仕事に従事。2015年日本のある学校法人の理事に就任。現在、教育・社会・文化領域の課題を中心に、関連のコラムを執筆中。2000年の来日以降、中国語と日本語の言語で執筆すること及び両国の「真実」を相手国に伝えることを模索している。Facebookはこちら「黄文葦の日中楽話」の登録はこちらから
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