高学歴は就職に不利、学歴を低く詐称する院生も―中国

Record China    2013年1月11日(金) 22時10分

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10日、大学院受験者数が100万人の大台を初めて突破した。2005年から2009年まで、院生の就職率は下降の一途をたどっている。写真は今月6日、北京市で行われた大学院生向けの就職会。

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2013年1月10日、中国湖南省武漢市でこのほど、大学院修士課程に在籍する女子学生が就職活動に行き詰り、履歴書の学歴を「院卒」から「学部卒」に改ざんして就職活動を再スタートさせるという珍事件が起こった。この一件は院生の就職難に対する社会の関心を広く誘発した。5日付武漢晨報の記事を引用して中国青年報が伝えた。

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全国大学学生情報相談・就職指導センターがまとめた「全国大学卒業生就職状況」によると、大学院受験者数が100万人の大台を初めて突破した2005年から2009年まで、院生の就職率は下降の一途をたどっている。2009年と2010年には、院生の就職率は学部卒の就職率を下回った。江蘇省人材市場の統計データによると、2011年卒業者の就職率を学歴別に見ると、修士課程院生は86.6%、学部生は90.3%、専科生(短大生)94.1%と、院生の就職率は専科生より約8%も低く、就職率と学歴が反比例するという現象が起こった。

このような状況から、高学歴はもはや、理想的な仕事に就くための「通行手形」ではなくなったという事実が見て取れる。2003年の教育関連統計データと2012年の全国大学院学生募集要項を見比べると、年間の院生募集人数は、約22万人から51万7200人に増加、10年間で大きく拡大した。それに伴い、就職難という状況も生まれた。中国人力資源・社会保障部(人社部)が発表した最新の労働統計年鑑によると、2010年の都市部における失業人口のうち、25歳から29歳までの男性の場合、学部卒業者の失業率は28.7%、大学院修士課程修了者は53.3%。同年齢層の女性では、学部卒業者の失業率は37.8%、大学院修士課程修了者は57.1%だった。この年齢層の院生のほとんどが新卒で、初めての就活にチャレンジしたものの、実際の失業率は学部生に比べ約20%も高い結果に終わった。30歳から34歳の場合も、院卒の失業率は学部卒より高い。特に女性でこの傾向が顕著に見られ、学部卒の失業率が8.2%であるのに対し、修士卒は28.6%だった。

教育部の統計データによると、現在、在校生を含め就職を希望している大学院生は全国で約160万人いる。毎年、卒業シーズンになると、大学院修士課程修了者約50万人が、この群に新たに加わる。一方、人材市場では、増加の一途をたどる求職者に対して就職口が全く追いついていないのが、ここ数年の現状となっている。

院生の就業難の背景には、次の3つの問題点がある。1)大学院生の募集人数が拡大された後も、一部の大学ではハード面とソフト面とのアンバランス現象が生じ、院生教育のクオリティーアップが進んでいないこと。2)就職に対する院生の希望や期待が総じて高いこと。長年、苦労して学業に励んだ彼らは、職種や報酬についてかなり高い理想を持っている。妥協して望まない就職をするくらいなら、むしろ理想の仕事に就くまで「自宅待機」もいとわない構えだ。3)多くの企業の立場からすると、院生には高額の報酬を支払わなければならず、また、院生が「待遇に関する希望は高いが、実務能力がそれに伴わないのでは」という心配も常につきまとう。損得勘定をした場合、明らかに学部生の方が「費用対効果」に優れている。

また、「参考信息」の報道によると、院生募集人員を大幅に増加したことから、多くの大学では院生の数が学部生を上回るようになった。しかし、中国の大学院教育における科学研究能力は依然低く、「産学研(民間企業・教育機関・研究機関)」連携チェーンが繋がっておらず、理論(セオリー)教育を実践する力や院生を十分に指導できる「理論・実践とも教える力を備えた教員」に不足しているという問題が存在している。このような状況が、一部の大学院生の能力向上の足かせとなっている。

さらに、「新華網」によると、現在、大学や研究院で院生の指導にあたっているのは、ほとんどが教授や研究員で、その多くは理論の研究を専門としており、学生の実際の需要や成長をバックアップする力は限られている。実務トレーニングの機会を提供することは、当然不可能だ。院生を育成するプロセスで、理論の研究レベルを引き上げることだけに重点を置くあまりに、彼らがいざキャンパスを出た時の問題解決能力はほとんど育っていない。その結果、多くの院生が輩出されても、就職市場の需要を無視した教育を行ってきたため、大学・企業がいずれも「消化不良」状態に陥り、院生の価値は「下落」するほかなかった。

企業の状況に目を向けると、現在、国内で就職口を提供しているのは主に中小企業だが、中小企業は院生に人気がない。院生が中小企業を就職先として選ぶことに二の足を踏む理由として▽産業構造が企業の雇用動向に影響を及ぼしている▽中小企業の発展の可能性には限界があり、従業員の雇用基準も規範化されていないなどが挙げられる。

以上から、院生の「生産過剰」という現状を変えるためには、「大学」「個人」「市場」の3つの側面から変革のメスを入れる必要があることが分かる。大学は学生育成をめぐる価値観の転換を行い、「社会で実際に役に立つハイレベル人材」の育成を目標に掲げる必要がある。院生自身は実践力の基盤強化に努めるとともに、求職における自らの考え方や心理状態を適宜調整していかなければならない。市場は産業構造の調整・アップグレードと経済成長モデル方式の転換によってハイレベル人材の就職難を根本的に変えていくことが求められる。(提供/人民網日本語版・翻訳/KM・編集/内山

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