中国式年越しのために「帰省恐怖族」のプレッシャーが倍増―中国

Record China    2013年1月29日(火) 23時57分

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28日、中国では、春節(旧正月)は一家団らんの節日。外地で苦労している中国人は、悩み事を忘れて帰省し、年を越すことを待ち望むものだ。ところが近年、帰省を待ち望むのではなく、恐れる若者がどんどん増えている。写真は北京から帰省する人たち。

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2013年1月28日、中国では「独り異郷にありて異客となり、佳節に逢うごとにますます親を思う」と言われるように、春節(旧正月)は一家団らんの節日。外地で苦労している中国人は、悩み事を忘れて帰省し、年を越すことを待ち望むものだ。ところが近年、帰省を待ち望むのではなく、恐れる若者がどんどん増えている。中国新聞網が伝えた。

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■「心身ともに疲れる」帰途

交通に時間がかかり、体力も消耗する。北京のある証券会社に勤める董莉(ドン・リー)さんは、7年前に貴州省畢節市から進学のため上京し、そのまま就職した。春節に帰省して一家団らんすることを毎年心待ちにしているが、帰途の旅の疲れも頭痛の種だ。

董さんは北京市から貴州省貴陽市まで30時間列車に揺られ、さらに3時間車に乗ってようやく実家にたどり着く。列車がひどく混雑してトイレに困ることなどを別にしても「7日間の休暇のうち4日間が移動でつぶれてしまう」と話す。

今年は列車の乗車券がなかなか取れなくてお手上げ状態なので、董さんは飛行機で帰省することにした。「それがあまりにも高くて、買うまで1、2週間ためらった」とこぼす。北京市から貴陽市までの片道航空券が1900元(約2万7000円)もする。

■お年玉などで出費がかさみ「金欠」に

出費があまりにもかさむことも、多くの人が帰省を恐れる理由の1つだ。孫光遠(スン・グアンユエン)さんはここ数日、年越しの帰省の費用を計算している。孫さんは大学で教鞭をとっており、実家は河南省駐馬店市にある。昨年結婚したばかりで、慣習に従い、今年の新年からお年玉をあげ始める。

孫さんの月収は8000元(約11万円)。北京市での日常の出費にはまだ足りるが、帰省して年越しをするとなると「赤字の危機」に直面してしまう。「双方の祖父母、両親への贈り物だけで少なくとも1万2000元(約17万円)はかかる」。結婚したばかりの2人は親戚の子どもたちにお年玉をあげなければならない。両家の甥などで9人おり、予算は1800元(約2万6000円)だ。さらに両家のおじ、おば、いとこへの贈り物にも少なくとも1400元(約2万円)が必要。こうした費用に加え、往復の旅費や食事をご馳走すると、若い夫婦が年を越すのに少なくとも2万元(約28万円)かかってしまう。「年越しに帰省するのはやはり少しかなわない」と孫さんはため息をつく。

■親戚や友人に結婚をせかされる「耐えがたい煩わしさ」

「今年も結婚できない『売れ残り女』になってしまった。年越しに帰省すれば、両親が毎日見合いをセッティングするに決まっている」と語るのは、広東省珠海市に実家のある鄭怡(ジョン・イー)さん。今年25歳の鄭さんは小さいころから両親の自慢で、卒業後は外資系弁護士事務所に勤務し、月給は4万元(約57万円)近くに上る。だが結婚適齢期になっても独身であることで、「模範」の地位を徐々に失っていった。「男性と知り合い、恋愛感情を育む時間が全然ない」。「弁護士は強い仕事なうえ、同僚は女性が多いため、『優秀で頼りになる男』に巡り会う確率は本当に低い」と鄭さんは話す。年越しに帰省すると両親は毎日「女は大きくなったら嫁入りするものだ」と彼女を「洗脳」するだけでなく、タイミングを逃さずお見合いをセッティングして「機会を創造」する。このため鄭さんは本当に「帰省恐怖」症気味になってしまった。

■成功を報告しなければならない「すごいプレッシャー」

呂宋(リュー・ソン)さんは昨年の春節、就職後初めて年越しのために帰省した。清華大学で化学工業を学んだ後、国有化学工業企業の研究開発職に順調に就職。北京戸籍も手にして、同郷の人たちを大変羨ましがらせた。

「彼らの頭の中では、清華大学に進学すれば党中央入りし、国有企業に就職すれば指導者になるのが当然」と呂さんは憂鬱そうに眉をひそめる。昨年の春節に山東省の実家に到着するや、「北京人」となった呂さんを「拝顔」するために同郷の人たちが次々に駆けつけ、羨望と期待に満ちた言葉で「帝都」での「壮大な成功」について相次いで尋ねた。

北京、上海広州は一見きらびやかだが、実際には辛かった。呂さんの月給は手取りで4500元(約6万5000円)。同僚とシェアして部屋を借りている。家賃だけで毎月2000元(約2万8000円)が飛んでしまい、生活は実にきつい。まだ衣食のお金にも困っている自分は、今年の年越しは同郷の人たちにどう「釈明」すればいいのかと呂さんは悩んでいる。

取材を通して、1980年代生まれを中心に若者の間に「帰省恐怖」が徐々に広がっていることが分かった。また、普段は「対応」が必要なだけで「直視」する必要のない収入や昇進、結婚や出産などの話題が、春節の帰省時には隠しようがなくなるために、焦りが集中的に押し寄せる時期となっている。

専門家は「1980年代生まれは順番に『三十にして立つ』の人生の段階に入るに伴い、『子ども』から大人として『上にも下にも付け届けをする』責任を突然担うようになる。これには時間が必要で、若者自身が積極的に調整し、適応することも必要だ」と指摘する。

別の専門家は「都市と農村の格差はあまりにも大きいため、あまりにも多くの若者が北京、上海、広州へと急ぎ、生計を立てようとする。郷里の親戚や友人も北京、上海、広州に過度の幻想を抱いている。親戚や友人の期待に応えるのは困難なうえ、煩わしい儀礼や決まり事があるため、年越しに帰省すると若者の出費はひとりでに増大する」と指摘した。(提供/人民網日本語版・翻訳/NA・編集/内山

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